もういちど
原題:Innocence
最後の瞬間まで愛される女でありたい
2000年カナダ・モントリオール国際映画祭グランプリ・観客賞受賞 2000年オーストラリア・インディペンデント映画賞作品賞ほか4部門受賞 2000年イタリア・タオルミナ映画祭批評家賞受賞 2000年フランス・サントロペ映画祭審査員賞受賞
2000年12月22日オーストラリア初公開
2000年/オーストラリア/1時間35分/カラー/ヴィスタ/日本語字幕:関美冬 後援:オーストラリア大使館 配給:コムストック
2001年9月21日DVD発売/2001年9月21日ビデオ発売&レンタル開始 2001年3月24日よりシネスィッチ銀座・関内アカデミーにて陽春ロードショー!
公開初日 2001/03/24
公開終了日 2001/05/18
配給会社名 0028
公開日メモ いつまでも"女"でありつづけたいと願い、何よりも"女"であることを選ぶ女性の行き方を、細やかに大胆に描いて、2000年カンヌ映画祭で、アメリカの著名な映画評論家ロジャー・エバートがベストワンに推し、モントリオール国際映画祭でグランプリと観客賞を受賞した心を打つ感動作『もういちど』
解説
70歳に近づいた主人公クレアのもとに、ある日1通の手紙が届く。若かった日。初めて愛した恋人アンドレアスからのその手紙に心を動かされ,50年ぶりに再会したことで、クレアの中の、長い間眠っていた”女”が呼び覚まされる。今まで抑え、いつしか忘れてしまったと思っていたが、体が覚えていたその感覚。もう一度輝きたい。もう一度花開きたい。残された時間の大切さを知っているからこそ、その思いは純粋で強いおおとないr、クレアは夫と別れて残りの人生をアンドレアスとともに過ごす決心をする。いつまでも”女”でありつづけたいと願い、何よりも”女”であることを選ぶ女性の行き方を、細やかに大胆に描いて、2000年カンヌ映画祭で、アメリカの著名な映画評論家ロジャー・エバートがベストワンに推し、モントリオール国際映画祭でグランプリと観客賞を受賞した心を打つ感動作『もういちど』
自分がいちばん美しく輝いていた時を知っているアンドレアスとの再会は、クレアに忘れていた情熱を甦らせる。いつの日からか、妻として、母として生きてきて、夫ジョンとは同じベッドで寝るだけで、夫婦生活そのものはもう20年もなかった。そんなクレアを、30年前に妻を亡くしていたアンドレアスは、若い恋人同士だったときと同じように、今も、女として愛し、求めた。かつて愛し合いながらもの別れてしまった忘れられない人が、こんなにも年老いた自分を求めている。その事実が、今まで穏やかな日々に満足していたクレアの心を揺さぶり、世間体を省みず、自分の気持ちに正直に行動させる。困惑し、嫉妬に苦しむ夫への愛情に引き裂かれながらも、限りある時間だからこそ、最後の瞬間まで女として生きることを選ぶクレア。年老いた自分を意識するからこそ、本当に大切なものを情熱的に求めて、”イノセンス(原題)”でありたいと願うのだ。
老いてから、情熱のままに愛に身を任せることは、一見無謀なようにも思えるが、残された時間の大切さを知るからこそ、その思いはいっそう純粋で切実なものになる。年老いたからといって、その情熱を消してしまうことはできない。むしろそこには覚悟と決断がある。何よりもクレアが求めたのは、肉体を伴った実感することのできる愛だった。体に刻まれたいた、若いアンドレアスに愛された記憶。あの日と同じように、アンドレアスは今のクレアを求め、必要とした。それが、クレアにとって、愛されることの実感だった。妻となり、母となっても、女として、愛し、愛されたい。クレアの強い思いは、末期ガンを宣告されたことを彼女に告げることができないアンドレアス、そしてクレアの突然の変化によって、彼女がこれまで抑えていた感情に初めて気づかされる夫のジョンの意識をもまた、揺さぶっていく。しかし、とまどいながらも良き理解者とんる息子や娘の存在が、クレアとアンドレアスを勇気づける。医者であるクレアの息子、夫とうまくいっていないアンドレアスの娘。それぞれが、それぞれの立場で、クレアの思いを受け止め、自分自身も大人らしく生きようとする。自分が情熱に正直に生きることで、周囲の人々にも、愛すること、生きることの本当の意味を問い掛けるクレアは、自身が愛に満たされているという歓びを実感しながら、最期の時を迎える。
監督は、人間の尊厳を描いた『ある老女の物語』で世界的に高い評価を受けたオーストラリアの名匠ポール・コックス。主人公クレアを演じるジュリア・ブレイクは、これまでにも何度かポール・コックスの作品に出演したことがあるが、今回はコックスが最初から彼女を念頭に置いて脚本を執筆し、撮影開始よりずっと前に、話し合いながら役柄の性格付けを行った。そのため、クレアには単なる役を超えて、ジュリア・ブレイクという人間自身が大きく反映されている。そして、クレアの夫ジョン役にキャスティングされたのは、実生活でもジュリア・ブレイクと30年来の夫婦であるテリー・ノリスで、結果としてこの夫婦像にも、自然と彼らの私生活の部分が映し出されることになった。こに二人に、アンドレアス役のチャールズ・ティングウェルを加えた、オーストラリア映画界で長年にわたって活躍してきた主演三人の、これまで積み重ねてきた人生と経験が、それぞれの役に投影されて、スクリーンの上にとどまらないリアリティと説得力をもたらすことになった。
さらに、プロデューサーのマーク・パターソンによれば、「ポール・コックスと働くためなら割れたガラスの上を歩くこともいとわない」ほどの深い信頼関係がスタッフ全体の良いチームワークを生み、「スタッフとキャストがともにいい時間を過ごせた特別な映画」となって、観る物の心を強く打つ宝石のように美しい作品が誕生した。
ストーリー
70歳に近づいた主人公クレアは、優しい夫と、立派に医者として成長した息子に囲まれ、毎日平穏な日々を過ごしている。
そんな彼女の元に、突然一通の手紙が届いた。
差出人は、彼女が50年ほど前に真剣に愛し合った初恋の相手、アントレアスだった。二人は、昔の待ち合わせ場所である、駅のプラットホームで半世紀ぶりの再会を果たす。
50年近い歳月は、一瞬にして消え去ったかのように、二人は20代の初々しい恋人同士の頃の気持ちに戻りながら、レストランで昔話に花を咲かせた。その日を契機に、クレアは自分が変わりつつあるのを実感していた。自分の中で眠っていた女としての自分が徐々に目覚めつつあったのだ。
数日後、アンドレアスから再びデートの誘いがあった。クレアは、その誘いを最初は断ったものの、自分の本当の気持ちを、もはや無視することはできなかった。2度目のデート場所は、彼の亡き妻の墓地であった。墓地の移転に立ち会い、亡き妻への熱い思いを吐露して泣き崩れるアンドレアスの姿を目前にしたクレアには、もう何も躊躇はなかった。「この人は私のことを必要としている。」
その夜、二人はベッドを共にした。50年間という空白を埋めるかのように…。
翌朝、クレアは夫ジョンに昨晩の出来事を告白する。自分の話を全く信じようとしない夫の態度に、クレアは傷つく。訪ねてきた息子には、夫とは20年もの間夫婦生活がないこと、優しい夫ではあるが自分は必要とされていない等、自らの本心を赤裸々に語り、人生は残酷だと告げる。
また、クレアは、自分の行動を全く理解できない夫ジョンに対しても、率直な質問を投げかける。
「私を愛している?」「どうして私と結婚したの?」
しかし、夫は即答できず、夫婦間のずれの深さを実感する。もう一度やり直したいと懇願する夫を振り切って、家を飛び出し、アンドレアスと一緒に暮らす決心を固める。
一方、アンドレアスは、末期ガンに冒されていることを宣告されるが、クレアにその事実を話すことができずにいた。
アンドレアスとクレアの二人の生活が始まった。アンドレアスの娘、クレアの息子は、二人の行動を温かく見守っていた。
しかし、クレアの夫ジョンだけは、嫉妬に駆られ、二人の後を尾行していた。
そんなある晩、二人は、最近までアンドレアスがオルガン奏者として勤めていた教会に忍び込む。愛するクレアだけのために、オルガンを弾き始めるアンドレアス。彼の渾身の演奏に聞き惚れるクレアは、まるでオルガンの聖なる響きと共に昇天するかのように舞い始め、そして、突然その場に倒れた。
クレアの葬式に参列したアンドレアスに
スタッフ
監督・脚本:ポール・コックス
撮影;トニー・クラーク
美術:トニー・クローニン
音楽:ポール・グラボウスキー
編集:サイモン・ウィティングトン
録音:ジェームズ・カリー/クレイグ・カーター
衣裳:スージー・ウォーハースト=スティール
製作:ポール・コックス/マーク・パターソン
製作総指揮:ウィリアム・T・マーシャル
製作補:ウィレム・ティッセン
キャスト
クレア:ジュリア・ブレイク
アンドレアス:チャールズ・ティングウェル
ジョン:テリー・ノリス
デヴィッド:ロバートメンジース
モニク:マータ・デュッセルドーブ
若いクレア:クリスティーン・ヴァン・ペリコム
若いアンドレアス:ケニー・アーンノーツ
牧師:クリス・ヘイウッド
ジェラルド:ノーマン・ケイ
サリー:ジョーイ・ケネディ
モーデイー:リズ・ウインザー
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