「麻雀放浪記」「怪盗ルビィ」の和田誠監督、最新作!

1999年東京国際映画祭コンペティション正式出品作品

1999年/日本/カラー/110分/シネマスコープサイズ/ドルビーSR 配給:東北新社

2007年12月21日よりDVDリリース 2002年07月26日よりDVD発売開始 2002年3月8日ビデオレンタル開始 2001年8月4日よりテアトル新宿他にて公開

公開初日 2001/08/04

配給会社名 0051

公開日メモ 20年以上にわたり、週刊文春の表紙を飾る屈指のイラストレーターとして、監督デビュー作『麻雀放浪記』で報知映画賞新人賞を、2作目『怪盗ルビィ』でブルーリボン賞を受賞した映画作家として、その非凡な才能を高く評価されている和田誠監督の新作映画。

解説


イラストレーターとして、「ビギン・ザ・ビギン」などのエッセイや「お楽しみはこれからだ」「いつか聴いた歌」などの執筆者として、また監督デビュー作『麻雀放浪記』で報知映画賞(新人賞)を、2作目『快盗ルピイ』でブルーリボン賞を受賞し、映画作家として多彩な才能を発揮してきた和田誠監督。『怖がる人々』以来5年ぶりに手掛けた本作は、監督自身による初のオリジナル脚本作品でもある。

主演は、『麻雀放浪記』『快盗ルピイ』『怖がる人々』など和田監督の作品で、これまでも主役を務めてきた真田広之。事件に巻きこまれるジャズ・トランペッターを演じ、久々にアクションも披露している。外国人クラブのホステスを演じるのは、ウォン・カーウァイ監督作品『天使の涙』や資生堂のCMで一躍脚光を浴びた香港女優ミッシェル・リー。また、2人を執拗に追う汚職警官はじめ主要キャストを岸部一徳、國村隼、柄本明といった個性派俳優が演じ、物語に奥行きを与えている。さらに、大竹しのぶ、唐沢寿明、三谷幸喜、戸田菜穂など多彩な顔ぶれがカメオ出演し、ワンシーン毎に妙演を披露する。

和田監督をサポートするスタッフにも日本映画を代表する人材が集結。撮影は『スワロウテイル』『四月物語』『死国』の篠田昇、照明は『太陽を盗んだ男』『学校』の熊谷秀夫が担当し、全編夜のシーンでありながらネオンを活かした鮮やかな映像美を創出している。『鉄道員』の福澤勝広が美術を担当。そして、本作でもう一人の主役ともいえる音楽を立川直樹が監修し、トランペッターの五十嵐一生ら日本を代表するジャズ・ミュージシャンがダイナミックに、ある時は甘美で切ないメロディを奏でる。

ストーリー




PM10:35銀座のライヴハウス。ジャズトランペッターの守山(真田広之)にとって今夜は特別な夜だった。憧れのG.P.サリバンが12時のステージを聴きに来るのだ。彼の心を掴めば、日本人として初めてNYの彼のバンドに招かれるかもしれない。屋上で練習をしようと急ぐ彼に、店のオーナー(斎藤晴彦)が客に優しくしてくれと忠告する。ついさっき守山は『月の砂漠』をリクエストした女性(大竹しのぶ)を、ジャズではないと冷たくあしらったのだ。

同じ頃、隣の立体駐車場では取引を終えたばかりの南部(岸辺一徳)と大場(國村隼)が外国人クラブの会計係、佐久間(春田純一)にゆすられていた。彼は、南部がたった今クラブから受け取った金をホステスの為に使うと言う。「おい、会計係。いつから福利厚生係になったんだよ!」キレた南部が銃を抜き、はずみで大場が佐久間の腹を刺した!倒れる佐久間。彼はこと切れる瞬間、決定的な物証があることを匂わす意味深な言葉を残す…。その模様をクラブのホステス、リンダ(ミッシェル・リー)が見ていた。逃げ出すリンダ。二人が彼女を追い詰め、ナイフを突きつけた時、トランペットを手に守山が非常階段を呑気に降りてきた。
リンダがとっさに彼の後ろに逃げ込む。事情が呑み込めない守山だが、二人の攻撃をかわし、彼女の手を取り、夜の街を走り抜け、路駐してあったオープンカーの陰に身を隠す。そこで彼が見たものは、騒ぎを聞いて駈けつけた警官に、南部が差し出した警察手帳だった。南部に気づかれた二人は持ち主からキーを奪い、車で逃走…。
リンダの働くクラブのオーナー田崎(笹野高史)はホステスに密輸をさせ、現職の警官である南部と大場は店に情報を流すかわりにリベートをもらっていたのだ。リンダは佐久間の恋人だった。事情を聞いた守山は彼女から強引に頼みこまれ、とうとう11時半までという約束で一緒に証拠探しをすることに…。時計は既にPM10:55。

最初に訪れた佐久間のアパートでは、昨日の日付の「深夜営業 犬山商会 75000」という領収書ぐらいしか見つからない。しかも、部屋を出た二人は田崎が差し向けた戸塚(柄本明〉と巨漢の蒲谷(高野拳磁)に見つかってしまう…。やっと戸塚達から逃れた二人は領収書の店へ行くが、女主人(もたいまさこ)に「客しか相手にしない」と言われ、守山は銀のマウスピースを買う。ところが、彼女は「領収書は主人が発行したもので、何を買ったかわからない」と言う始末。リンダはクラブの名刺に自分の携帯の番号を書き、わかり次第連絡をくれるよう頼む。最後に残された場所は一つ…クラブの事務所。しかし、そこは既に荒されていた。オーナーに見つかった二人はショー真っ最中の舞台を抜け、ダストシュートから路地へ…止まっているトラックの荷台に潜り込む。だが、ほっとしたのも束の間、トラックは高速に乗り東北へ向かっていた!

既にPM11:35。もう12時には戻れない…愕然とする守山のために、リンダはトラックを止めようと必死に叫ぶが、その声は届かない。諦めた守山はジャズについて語り始め、自分の話に真摯に耳を傾けるリンダに銀のマウスピースをプレゼントする。守山愛用のは金…それを見てリンダが『月の砂漠』を歌い出した。それは佐久間が教えてくれた曲だった。偶然に驚きながらも守山は伴奏をつけてゆ<...。その音に運転手(六平直政)が気づき、二人を送ってくれることになった。その時、リンダの携帯に女主人から連絡が入る。彼女は二人が佐久間殺しで指名手配されているニュースを見たのだ。どうやら佐久間は取引の現場をビデオカメラに収録していたらしい。だが、目前に迫る高速の出口には既に検問が敷かれていた...。 時刻はPM11:50。運転手の計らいで逃げることができ、リンダは守山に「まだ間に合う」とライヴハウスに戻るように促す。そこへ南部達が…なんとかリンダを逃がした守山だが、彼等に捕まってしまう。「もうだめだ...」その時、戸塚が現れた。彼はクラブに潜伏していた刑事だったのだ。戸塚に助けられ、リンダを救うために守山は急いだ。 ビデオカメラを手に入れたリンダは、南部にビルの屋上の足場わずか50cmの所に追い詰められていた。彼がリンダの腕を掴んだ瞬間、守山が飛びかかる。もみあう二人。リンダは助けを呼ぼうと、足元のトランペットを拾い、地上にいる戸塚達に向かって必死に吹<...が音が出ない。守山からもらったマウスピースを思い出し、それをつけて吹く...まだ鳴らない。守山が危ない...その瞬間、トランペットが鳴り響いた。一斉に見上げる戸塚達。時刻はPM12:10。 PM12:15ライヴハウスでは既に12時のステージが始まっていた。突然トランペットを吹きながら守山が登場し、歓声があがる。しかし、客席にG.P.の姿はない。守山はリクエストを断わった女性から帽子を取り、トランペットに被せて『月の砂漠』を吹き始める。パトカーの中ではリンダが静かに目を閉じている...守山の吹く『月の砂漠』が届いているかのように。そして時刻は「真夜中すぎ」。

スタッフ

監督・脚本:和田誠「麻雀放浪記」「怪盗ルビィ」「怖がる人々」
撮影:篠田昇「スワロウテイル」「死国」
共同脚本:長谷川隆
照明:熊谷秀夫
録音:橋本文雄
美術:福澤勝広
スタイリスト:宮本まさ江
ヘアメイク:小沼みどり
音楽監督:立川直樹

製作:東北新社

キャスト

守山:真田広之
リンダ:ミッシェル・リー
南部:岸部一徳
大場:國村隼
佐久間:春田純一
戸塚:柄本明
蒲谷:高野拳磁
クラブのオーナー田崎:笹野高史
女主人:もたいまさこ
運転手:六平直政
リクエストした女性:大竹しのぶ
オーナー:斎藤晴彦

高橋克美
大森博
佐藤仁美
唐沢寿明
戸田菜穂
柴田理恵
三谷幸喜
名古屋章
小松政夫

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