「Lifersライファーズ 終身刑を超えて」から10年、制作期間8年、遂に完成!

2013年/日本/カラー/119分 配給:アウト・オブ・フォーカス

2014年3月22日(土)〜 シアター・イメージフォーラムにてモーニング&レイトショー他全国順次

公開初日 2014/03/22

配給会社名 1524

解説


ドラッグ 依存症 レイプ HIV/AIDS 孤立 虐待 貧困 前科 偏見・差別 DV……
演劇で、声を取り戻していく“ワケあり”女たち
アタシたちをなめんじゃない!

女たちのアマチュア劇団 — それは芸術か、セラピーか、革命か?
舞台はサンフランシスコ。
主人公は、元受刑者とHIV/AIDS陽性者。
彼女たちは、自分たちの人生を芝居にした。
暴力にさらされ、“どん底”を生き抜いてきた現実とファンタジー。
舞台で、日常で、トークバック(声をあげ、呼応)する女たち。
彼女たちの演劇は芸術か、治療か、それとも革命か?
芝居を通して自分に向き合い、社会に挑戦する8人の女たちに光をあてた、群像ドキュメンタリー。

「Lifersライファーズ 終身刑を超えて」から10年。
坂上香監督はこの映画の制作に8年を費やした。
“どん底”を味わった女たちが、芝居を通して新しい生き方を模索する姿に、監督自身が強く心を揺さぶられ、そして、沈黙を強いられている多くの人々に、どうしても伝えたいという思いを抱いてきたから。

ストーリー




女性刑務所と演劇
女だけのアマチュア劇団「メデア・プロジェクト:囚われた女たちの劇場」(The Medea Project: Theater for Incarcerated Women)は、サンフランシスコの刑務所で生まれた。創設者で演出家のローデッサ・ジョーンズが、ギリシャ悲劇の「王女メデア」(作:エウリピデス)の主人公メデアを受刑者に重ね合わせ、こう名付けたのだった。

そもそもローデッサは1989年に、エアロビックスのインストラクターとして女性短期刑務所に雇われる。雑談を通して知った受刑女性たちの人生は凄まじいものだった。幼い頃から深刻なDVや虐待のなかで暮らしていた。しかも成人してからも暴力の被害は続いていた。何故罪を犯すに至ったのかを本人が理解し、自分の人生を取り戻す必要がある。社会もそのことを知る必要がある。そう感じたローデッサは、刑務所で演劇ワークショップを開始した。これがメデアの始まりだ。

HIV/AIDS陽性者とのコラボ
ワークショップの基本は、参加者が自らを語り、書き、読むこと。それがひとつの場面となり、振り付けが加わり、やがてひとつの芝居となっていく。そして劇場で公開される。こうした刑務所と社会をつなぐメデアの演劇活動を、メデアは20年近く続けた。

2008年に始まったのが、HIV/AIDS陽性の女性たちとのコラボレーションだ。カリフォルニア州立大学病院サンフランシスコ校の医者エディ・マッティンガーがメデアのアプローチに目をつけ、ローデッサに話を持ちかけたのだ。彼は、患者の死に心を痛めていた。医療の発展に伴って、HIVは死の病ではなくなったにもかかわらず、自殺や薬物依存、犯罪による死が後をたたなかったからだ。

マッティンガー医師は仮説を立てた。患者の死は、AIDSへの“スティグマ(偏見)”や自らの人生に対する“恥”から来る“沈黙”が原因ではないか。それは受刑者らの体験と共通するのではないか。患者の健康を改善するためには、自らを語り、社会にトークバック(声をあげること)していくことが必要なのではないか、と。

この映画では、HIV陽性女性の現実を描いた「愛の道化師と踊る」(Dancing with the Clown of Love)を軸にしている。作品はいかにして作られ、女性たちはいかに変容を遂げていったか。メデアはスティグマや恥に、どう対応してきたのか。またそれは、観客や周囲にいかなる影響を与えているのか。

女たちの声
メデアの創始者ローデッサは言う。
「社会は罪を犯した女性を忌み嫌う。マスコミにとっては恰好のネタで、世間も『悪女』として罰したがる。HIV陽性者への対応も同じ。」
HIVの告知から20年以上が経つカサンドラは言う。
「私はHIVだから価値がなくて、どん底の人生で当然だと思い続けてた。10年以上もよ!」
感染2年目のマルレネは言う。
「告知を受けて絶望した。薬より、セラピーより、メデアのほうが効果がありそうだった。」
元受刑者のアンジーは言う。
「どんなにサイテーな人生だったとしても、恥じることなんてない。顔をあげて、語るのよ!」

メデアの演劇は、芸術か、セラピーか、はたまた革命か?

スタッフ

監督・プロデューサー:坂上香
共同プロデューサー:麻生歩
撮影:南幸男
録音:森英司
編集:坂上香
音楽:伊藤彰教

キャスト

ローデッサ・ジョーンズ

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