原題:REMIGES

第14回全州映画祭コンペティション部門・作品賞受賞

2013年/日本/カラー/88分/ 配給:アルケミーブラザース

2013年6月22日よりロードショー

© 2013「風切羽」製作委員会 All rights reserved.

公開初日 2013/06/22

配給会社名 1386

解説


風切羽とは、鳥の両翼の後縁にあって、飛ぶ時に風を切る長くて強い羽毛のこと。

インコをペットとして飼う場合、飼い主によってはインコが飛んで逃げてしまわないように、鳥が飛ぶときに一番重要な『風切羽』をハサミで切り落とす。いわば人間のエゴによって鳥の体の一部を傷付け、自由を奪うのである。
一方で、言うことを聞かない我が子を力で押さえつける「しつけ」という名の体罰がある。これは度が過ぎると「虐待」であり、鳥かごならぬ家庭という密室で不適切な扱いを受け続ける。

幸いにも鳥の羽根は再生し、再び飛べるようになるが、虐待を受けた子どもは実際にどういう経験をするのか。そして子どもの頃に負った傷は、大人になってどういった影響を及ぼすのか・・・。

監督は、若者のホームレスや機能不全家族といった切実な社会問題をテーマに映画を描き、初の長編映画「こもれび」が上海国際映画祭などの海外映画祭に招待され評価を受けた小澤雅人。「風切羽」でも綿密なリサーチを行い、過去に虐待を受けた若者が負った傷、悩みや葛藤を、独特な世界観の中で表現。説明的な要素を排除し、疾走感のある演出で彼らの心理を繊細に描写した。

主演は、映画・テレビで活躍中の新進俳優、秋月三佳と戸塚純貴。彼らが捌け口のない鬱屈した感情を瑞々しく演じている。そしてわが子を愛せない母親役を川上麻衣子が熱演し、その確かな演技力で物語の芯を支える。他にも実力派俳優が顔を揃え、物語にリアリティと厚みを出すことに成功している。

ストーリー







実の母や姉から激しい虐待を受けていたため児童養護施設に措置されているサヤコは、現在高校3年生。規定により、高校を卒業したら施設を出て行かなければならない。小さい頃バレエを習っていたサヤコは、高校を出たらダンスの専門学校に通おうと思っているが、親の援助や奨学金は期待できず、自分で学費を稼ぐ必要があった。サヤコは様々な方法でお金を貯め、それを少しでも学費への足しにしようと思っていたが、施設では児童のお金の管理も職員が行なっているため、自由にできない。また施設に入居している他の子ども達ともうまく折り合いがつかず、孤立してしまう。

そんな施設の窮屈な暮らしに嫌気がさしたサヤコは、面会に来ていた父の車に飛び乗って施設を逃げ出すが、結局一人ぼっちになってしまう。その足で姉のアパートを訪れるも、やはりうまくいかない。

そしてサヤコは藁をもつかむ思いで、久しぶりに母と暮らしていたアパートを訪れる。だが若い男と一緒にいた母はサヤコを拒み、家の中に入れてくれない。今更施設に帰るわけにもいかない。でも他に行く場所がない・・・。 居場所をなくしたサヤコは、行く宛もなく夜道を彷徨う。その道すがらサヤコはケンタという不思議な青年に出会う。彼は自転車で街を徘徊し、道行く人々に「僕の事、知りませんか?」と訪ね続けていた。

ひょんなことからケンタの自分探しの旅に付き合うことになったサヤコ。自分=アイデンティティを失った二人は、ネオン瞬く眠らない街を自転車で駆け抜ける。

道中、ケンタは会う人会う人に自分のことを知らないか聞いていくが、誰もケンタのことは知らない。ただサヤコのことは知っていて、声を掛ける人は多かった。しかしサヤコは自分の正体がバレると、決まってケンタに自転車を出すように促した。サヤコの過去には何が・・・。
そして、暗闇を切り分けるように進む二人の旅路は、紆余曲折を経て、ある事件を引き起こすのだった。

スタッフ

監督:小澤雅人
プロデューサー:近貞博
エグゼクティブプロデューサー:大勝ミサ
脚本:小澤雅人
撮影監督:藍河兼一
編集:小澤雅人

キャスト

秋月三佳
戸塚純貴
川上麻衣子
重松収
寺田有希
佐藤太
石田信之
五大路子
川口貴弘
石川龍馬
葉山昴
山崎登月
中島愛花里
澤田奈歩
川原侑女
山本真理奈
峯春花

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