原題:Elysium

全米公開 8月9日

2013年アメリカ映画/スコープサイズ/本篇上映時間:1時間49分/字幕翻訳:松浦美奈 配給:ソニー・ピクチャーズエンタテインメント

2014年02月05日よりDVDリリース 2013年9月20日(金)より、新宿ピカデリーほか全国ロードショー!

公開初日 2013/09/20

配給会社名 0042

解説


『第9地区』で世界中に衝撃と感動を与えた監督が再び挑む
社会派メッセージを秘めたSFエンタテインメント!

荒れ果てたスラムの上空に浮かぶ謎の巨大宇宙船——。その強烈なヴィジュアル・イメージだけで世界の目を釘付けにした新鋭ニール・ブロムカンプ。彼の故郷でもある南アフリカのヨハネスブルクを舞台に人間とエイリアンの関わりをドキュメンタリータッチで描いたSFアクション『第9地区』は長編デビュー作にもかかわらず見事、2009年のアカデミー賞で作品賞・脚本賞・編集賞・視覚効果賞の4部門でノミネート。ヴィジュアルの衝撃性に留まらないメッセージ性とクオリティの高さが証明された。そんなブロムカンプが4年の空白を経て発表する長編第2作が『エリジウム』。再び彼自身のオリジナルストーリー&脚本によって22世紀半ば、150年後のデストピア的未来を描き出す。

その世界は、スラムと化した地球と、人類の楽園として造られたスペースコロニー“エリジウム”、対極的なふたつに分けられる。地球環境は大気汚染と人口増加によって著しく悪化し、ほんのひと握りの超富裕層はそんな故郷を捨て、地表から400キロの上空に浮かぶ楽園エリジウムへと移り住む。地球に残されたほとんどの人類は貧困と犯罪、汚染と病に晒され、ロボット支配の下、空の彼方に幽かに浮かぶエリジウムを見上げながら生きて行かなければいけない。まさに天国と地獄、ユートピアとデストピア、理想を享受する発展の裏には必ずその犠牲が存在するという格差社会のカリカチュアといえる。そこには、この私たちの時代と地続きかのようなリアルが息づき、怖ろしささえ感じてしまう。監督自らが脳裏に刻み込んだ故郷ヨハネスブルクの原風景。“差別”と“スラム”がここでもまた大きな意味をもち、その世界観を揺るぎないものにしているのだ。

そんな世界で繰り広げられるのは、過酷な工場労働に従事したあげく事故にあい余命5日と宣告された地球の男マックスの悲痛な闘い。彼を救えるのはエリジウムにだけ置かれた、どんな病も治すことが出来る医療ポッド、このポッドもまた、満足に医療を受けることさえできない地球の住民と永久の命をも手にすることができるエリジウムの住民との間に立ちはだかる“命の差別”の象徴であり、それは同時に現在も厳然と存在する医療格差問題を観るものにつきつけている。
マックスは、その楽園へのチケットを手に入れるために自らの身体をエクソスーツ(パワードスーツ)と結合させ、脳内チップに、エリジウムを支配するデータをダウンロードしなければいけないのだ。新しい肉体を得た男に勝ち目はあるのか。脳のデータは何に使われるのか?そして、その先にあるものは?地球とエリジウムの運命を変える壮絶な闘いが始まる——。

格差社会の底辺に生きる男が向かった理想郷
そこで彼が人類の未来を負って迫られる重要な選択とは?

孤児院で育ったマックス。物心ついたときから彼の頭上に“エリジウム”が浮かんでいた。子供たちは貧困にあえぐ現実から逃れるように、スペースコロニーに住める将来を夢見ていた。狐児院のシスターはマックスに「あそこはわたしたちが行ける場所ではない」と諭しながらも「あなたは特別な存在よ。いつかとても重要なことをする」と説いていた。そんなマックスは成人し、スラム街の工場労働者となる。だいそれた野心も欲もなく淡々と日々を生きるマックスの運命を大きく変えたのは、工場での照射線事故だった。余命5日と宣告され、使い捨てのように扱われたマックスは「生きたい!」ただその想いからエリジウムを目指す。生き延びたいというそれだけでエリジウムに降り立ったマックスが見たものは、美しい緑があふれ清潔で整然とした住居がならぶまさに理想の空間だった。だが、そこで彼を迎えたのは、地球人を人とも思わないデラコート長官とエリジウムの警備兵たち。ここで見せられるエクソスーツを身に着けたマックスの圧巻の肉弾戦は、次第に過酷な生活環境に苦しむ地球の住人たちの一条の希望を背負い、命を賭したマックスのその覚悟は崇高ささえ帯びてくる。敵は、何億という地球人の犠牲をものともせず人類の築いた恩恵を享受する一握りのセレブリティたち、それはその恩恵を決して分け合おうとしないエゴイストの集団であり、まさに人間の愚かさが具現化された偽りのパラダイスの住民。そう考え合わせるとマックスの姿は、人類をその原罪から救うために、磔刑になったイエスキリストにも重なって見えてくる。
ブロムカンプはここでも全く新しい救世主=ヒーロー像を確立してみせたといえよう。

随所に見られる日本のカルチャーからの影響
ブロムカンプにとって『第9地区』は低予算だったものの、本作はその数倍のバジェットを投入して作られた本格的SFアクション。スペースコロニー、エリジウムのゴージャスかつリッチな内部、地球のスラムに乱立する空洞と化した高層ビル……インパクトのあるヴィジュアルが次々と登場する。また、前作ではストーリーや世界観へのこだわりに“らしさ”を発揮したブロムカンプだが、本作では前回、見られなかった少々意外な“趣味”も投入されている。それが日本のサブカルチャーなのだから、より身近な作品としても楽しめるようになったといっていいだろう。
マックスを倒すための刺客として送り込まれるクルーガーの武器が日本刀であったり手裏剣であったり、彼の身を護るプロテクターもあたかも武士の甲冑的なデザインであったり、非常にジャパン・テイスト。そもそもスペースコロニーという発想からして日本人なら『機動戦士ガンダム』シリーズを連想してしまう。そのエリジウムの内部に人工的かつ和風な植物が設置されているのも、あながち偶然ではないはずだ。実際、ブロムカンプも「子どものころ、日本のTVアニメを食い入るように見ていたことは事実」と告白。彼の特異なSFセンスに日本のサブカルチャーが影響を与えたことはまちがいない。
現在のハリウッドを席巻する才能は、ジェームズ・キャメロンからクエンティン・タランティーノ、ウォシャウスキー姉弟、そしてギレルモ・デル・トロまで、日本のサブカルなくしては語れないほど。ブロムカンプも、その一員としての資質をきっちり備えているといえそうだ。

スケールアップした豪華キャスト陣!
『第9地区』の大成功によってブロムカンプが手に入れたもののひとつに“信頼”があった。多くの実力派スターや人気スターが彼に熱いラブレターを送ったのだ。
今回、主人公のマックスを演じたマット・デイモンもそのひとり。『第9地区』を見て、一緒に仕事をしたい監督リストのトップにブロムカンプが躍り出たというデイモンは、幸運にもすぐにこのマックス役を手にすることが出来たのだ。監督の期待に応えるべく、実際にスキンヘッドにし、いままで演じたことのない汚れ役でマックスの怒りと悲しみと痛みを巧みに体現している。彼と敵対するエリジウムの事実上の支配者、デラコート防衛長官には大ベテラン、アカデミー女優のジョディ・フォスター。もちろん、彼女もブロムカンプへの“信頼”から、この悪役を買って出た。
前作『第9地区』では切ない運命を背負った主人公を演じ、ブロムカンプと映画製作上でのパートナーでもあるシャールト・コプリーがデラコートの命令で動く、冷酷無比な刺客クルーガーを演じ、前作とは180度異なる個性を披露。彼のカリカチュアライズされたような邪悪っぷりは本作に勧善懲悪的な爽快感を付け加えている。
地球に暮らす人類の第二言語がスペイン語ということもあって、彼らの脇を固める役者はラテン系俳優が集められた。マックスの孤児院時代の幼なじみで、病の娘を抱える看護師フレイには『オン・ザ・ロード』『プレデターズ』等、インディペンデントからメジャーまで、幅広い活躍を見せるブラジル出身のアリス・ブラガ。
マックスの親友フリオには『天国の口、終りの楽園。』『ミルク』等のメキシコのディエゴ・ルナ。マックスにエリジム行きのチケットを渡すゲリラ組織のボス、スパイダーには、ブラジル警察の腐敗を描いた『エリート・スクワッド』シリーズで注目されたワグネル・モウラ。そして、アーマダイン社のCEOカーライルには『ダークナイト』『ローン・レンジャー』等の名脇役ウィリアム・フィクトナーがそれぞれ扮している。スター級の役者から演技派、個性派、名脇役まで、実にヴァラエティに富んだキャスティング。彼らが映画をより深く、面白くしているのは言うまでもない。

ストーリー





舞台は2154年。人類はスペース・コロニー”エリジウム”に住む富裕層と、荒廃した地球に住む貧困層とに二極分化されていた。”エリジウム”は永遠の命が手に入る人類の理想郷。どんな不治の病でも一瞬で完治する特殊な再生装置が存在した。地球に住む人々の頭上の空には”エリジウム”が幽かに浮かんでいる。手を伸ばせば届きそうなのに、決して到り着けない場所—。

 エリジウム政府高官のデラコート(ジョディ・フォスター)はエリジウムの完璧なまでに美しい生活を維持する為に、地球からの”移民”を禁じ、非情なまでに密入国者を一切排除していた。
地球に住むマックス(マット・デイモン)は、事故により余命はあと5日間。<生きたい—>。その強い思いから’永遠の命’を手に入れるべくエリジウム行きを決断。だが、エリジウムへ行ける唯一の方法は、レジスタンス軍の兵士として、ある任務を遂行する以外、なかった。
自らの身体にコンピューターを埋め込み、命の危険にさらされながら、厳しい移民法で防御されているエリジウムへ向かうマックス。

全人類の未来までをも背負って、いま、悲しくも壮絶な戦いが始まる・・・。

スタッフ

脚本/監督:ニール・ブロムカンプ
製作:ビル・ブロック、ニール・ブロムカンプ、サイモン・キンバーグ
製作総指揮:スー・ベイドン=パウェル
撮影:トレント・オパロック
美術:フィリップ・アイヴィ
編集:ジュリアン・クラーク、リー・スミス
視覚効果スーパーバイザー:ピーター・ミュイザーズ
音楽:ライアン・エイモン
衣裳:エイプリル・フェリー

キャスト

マット・デイモン
アリシー・ブラガ
ジョディ・フォスター
ファラン・タヒール
ウィリアム・フィクトナー
シャルト・コプリー
ディエゴ・ルナ
バグネル・モーラ

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