原題:Australia

2009年/アメリカ/カラー/??分/ 配給:20世紀フォックス映画

2010年09月02日よりDVDリリース 2009年2月28日(土)より、日々谷スカラ座他全国ロードショー

(C)2008 TWENTIETH CENTURY FOX

公開初日 2009/02/28

配給会社名 0057

解説


遥目を奪うほどに壮大で美しく、空想をかきたてる叙事詩のようなオーストラリアの大自然を舞台に、さまざまな人々との出会いと運命的な愛の力によって、ひとりの英国貴族の女性が、それまでの人生を大きく変えていく——。全世界で絶賛された『ムーラン・ルージュ』でハリウッドのミュージカルを再燃させた巨匠バズ・ラーマン監督が、ニコール・キッドマンとヒュー・ジャックマンという最高に贅沢なキャストを迎え、ハリウッドの黄金時代の映画を彷彿とさせる世紀のエピック・アドベンチャー・ロマンスとともに、スクリーンに戻ってきた。

第二次世界大戦を目前に控えたオーストラリア。イギリス人貴族レディ・サラ・アシュレイは、故国イギリスから遠く離れたオーストラリアに夫を探しにやってくるが、夫の領地に着いた彼女は、夫が何者かに殺されたことを知る。彼女に残されたのは抵当に入れられた広大な牧場と1500頭の牛だった。夫から相続した土地を守るため、ダーウィンにいる軍に牛を売ることに決めたサラは、現地で出会った野性的なカウボーイ、ドローヴァーと手を組んで、牛を引き連れ、美しくも過酷な土地を9000kmも横断する旅に出る。

バズ・ラーマン監督の故郷を舞台にし、『風と共に去りぬ』や『アラビアのロレンス』といった伝説的な大作に匹敵するともいわれている『オーストラリア』は、彼にとっても非常に個人的な思い入れのある作品だ。この物語が生まれたのは、バズ・ラーマンが妻のキャサリン・マーティンと「世界中のロケ地を転々とする自分たちの子供のルーツはどこにあるのか?」という疑問について話し合ったことがきっかけだった。生まれ故郷のオーストラリアとのつながりを強めたいと思ったラーマンは、オーストラリアの歴史や映画について学び直し、世界の他の国々にとって、オーストラリアはまだまだ不可思議な場所であり、実はほとんど知られていない国でもあることを実感。そこから、オーストラリアを舞台に歴史的な大作を撮るというアイディアを思いついたのだ。今回、ラーマンが作品を通して最も探究してみたいと思ったのは“変容”というテーマ。人はある年齢になると、ひとつの型にはまった生活に固定され、その後もそのまま変わらないことが多い。だからこそ、ラーマンは“成長”と“生まれ変わる”という考えに興味を抱いた。

オーストラリアという広大で息をのむようなキャンバス上で描かれる、ひとりの女性の自己発見へのオデッセイ。ロンドンで暮らしていた主人公サラが、遥かなる異国の地、オーストラリア大陸での経験を通して、大きな変化を受け入れ、人生で本当に価値のある大切なものに気づいていく。乾ききった砂漠のような土地が、雨季には一夜にしてエデンの園のように潤う様は、ミステリアスで想像もつかないスケールを見せるオーストラリアの土地そのものが、人を変身させる素晴らしいパワーを備えていることを感じさせてくれる。オーストラリア大陸の先住民であるエキゾチックなアボリジニとの交流によって得た、彼らのスピリチュアルな人生観もまた作品のテーマに大きな影響を与えている。

サラの旅は根本的には精神の再生だ。途方もなく勇敢なアドベンチャーの旅に出かけた彼女は、そこで数々の思いがけない愛を見つける。神秘性に満ちた土地を愛する気持ち、通常なら出会うことのなかったカウボーイ、ドローヴァーとの情熱的な愛、その後の彼女の人生を変えることになるアボリジニの少年との絆によって生まれた母性愛……。そして最後には、彼女の愛と人間性が、目の前に横たわっていたはずの階級や人種、文化の境界線をも超えていく。本物の愛を見つけたサラのたどる変身と成長の物語は、誰もコントロールできない不確かな激動の時代を生きる、現代の私たちの物語でもあるのだ。

 主人公サラを演じるのは、『ムーラン・ルージュ』以来、バズ・ラーマン監督から厚い信頼を得ており、オスカー女優として名実ともにハリウッドの頂点に立つニコール・キッドマン。サラがひとりの女として深く愛し抜く男ドローヴァー役には、華のある個性で『ニューヨークの恋人』のようなラブストーリーから、SFアクションの『X-メン』シリーズまで幅広い作品で大活躍し、さらにブロードウェイの舞台でもトニー賞受賞の輝かしい実績を持つヒュー・ジャックマン。世界を代表するオーストラリア出身のスターである2人が、一生に一度といえる大役に、オーストラリア人としてのプライドを賭け、生命力あふれる存在感を大スクリーンに刻みつけている。とりわけニコールは、本作の撮影中に妊娠していることが判明。しかし、待望の妊娠を知り、ひどいつわりに苦しみながらも、1日14〜15時間にわたる過酷な撮影を止めることなく、全力を注いでサラを演じきった。困難にぶつかっても物事をやりとげようとする強い意志を持った彼女の真摯な姿は、サラというキャラクターとも密接にリンクし、現代女性の深い共感を呼ぶに違いない。

 バズ・ラーマン監督作品といえば、妻であり、2部門のアカデミー賞に輝くプロダクション&衣装デザイナーであるキャサリン・マーティンとのコンビネーションも最大の魅力のひとつ。オーストラリア中部・北部のノーザン・テリトリー、西オーストラリア、ニュー・サウス・ウェールズ、クイーンズランド各地で撮影をおこなった本作で、ラーマンが考えた1930年代のオーストラリアのアウトバックの世界を創り上げるため、マーティンと彼女のチームは膨大なリサーチを実施した。際立って優れた審美眼を持つマーティンは、今やラーマン作品には欠かせない構成要素となった、独自の豊かな想像力を注ぎ込むことで、視覚に訴える熟練の技を見せ、’30年代のオーストラリアの奥地とダーウィンを見事に再現した。また、今回は『ムーラン・ルージュ』の4倍にあたる2000着以上の衣装が作られ、特にサラの衣装には、ストーリーが進むにつれて、彼女自身が変わっていく様子を反映させている。さらにサルヴァトーレ フェラガモがニコールのために新たに20足の靴をデザインし、特別に制作した。バズ・ラーマンお得意のクラシカルなテーマと、独創性あふれる美的感覚とのケミストリーによる、比類なき映像世界。「子供の頃から、歴史大作の大ファンだった」と語るラーマンが2年の歳月をかけて生み出した本作は、すでに本年度アカデミー賞最有力候補との呼び声も高い。まさに名匠ラーマンの新境地として、世界中の注目を集める『オーストラリア』——これまでのエピック大作とは一線を画す、革命的で鮮やかな一大スペクタクルがついに幕を上げる。

ストーリー



第二次世界大戦が勃発前のヨーロッパ。ロンドンに暮らす英国人貴族のレディ・サラ・アシュレイは、一人でオーストラリアに行くことを決める。ロンドンの邸宅を守るための資金が必要なサラの夫が、最後に残された資産である“ファラウェイ・ダウンズ”と呼ばれる広大な牧場を売ろうと、丸々1年もオーストラリアで過ごしているのだ。しかし、オーストラリア北部のダーウィンに着いた彼女を待っていたのは、夫ではなく、ドローヴァー<牛追いの意味>という名前で呼ばれる粗野で無骨なカウボーイだった。

ドローヴァーは、サラを牧場へ無事に送り届ければ、1500頭の牛を追う仕事を約束されていた。貴婦人然としてとりすましたサラと、荒くれ男のドローヴァーはお互いに反感を抱きながらも、“ファラウェイ・ダウンズ”までの大陸横断の旅を続けていく。初めて目にする大自然に目を見張るサラだったが、ようやく到着した牧場の屋敷は荒れ果て、夫は槍で刺されて帰らぬ人となっていた。サラが出会ったアボリジニの混血の少年ナラは、牧場の牛が川を越えて、隣のキング・カーニーの牧場へ流れていることを彼女に教える。実は、牧場のマネージャーであるニール・フレッチャーと、このあたりの地域を牛耳る大牧場主のキング・カーニーが共謀して、アシュレイの領地を乗っ取ろうとしていたのだ。すでに牧場の経営は破綻しかけていた。残された1500頭の牛をダーウィンへ運び、軍に売ることができれば、牧場を立て直せる。しかし、見知らぬ土地でサラが頼れるのは、ドローヴァーただひとりだけだ。夫が遺した“ファラウェイ・ダウンズ”を守らないと全ての財産を失う状況に追い込まれたサラは、牛を引き連れて、美しくも過酷な北オーストラリアの土地を横断するため、ドローヴァーと手を組むことにする。

出発準備をしているところに、カーニーの差し向けた役人がナラを捜しに来た。白人との混血児はアボリジニとは一緒に住めないという規則があり、見つかれば親から引き離されて、施設へ送られるのだ。ナラは母のデイジーと給水塔の中に隠れるが、デイジーが溺れてしまう。母親が死んで、突然ひとりぼっちになったナラを、サラがぎこちなくなぐさめるうちに、いつしか2人は打ち解けていく。いよいよ牛追いの旅が始まった。サラとドローヴァー以外のメンバーには、ナラ、牧場の会計士でアル中のキプリング・フリン、ドローヴァーについている2人のアボリジニの牧童マガリとグーラジ、アボリジニの家政婦バンディ・レッグス、中国人の料理人シング・ソング。そして、そんな一行の後を、影のようについていく謎めいたアボリジニ呪術師キング・ジョージの存在があった。

ある夜、仲間を引き連れたフレッチャーが、牛を暴走させようと仕掛けてくる。ドローヴァーの活躍で牛の暴走は止めたものの、キプリングが犠牲となって死んでしまう。キプリングが残した酒を飲みながら、ドローヴァーは、かつて戦争で兄弟を失ったこと、結核にかかった妻は黒人であるために病院に受け入れてもらえずに死んだことなどをサラに打ち明ける。フレッチャーに荷物まで焼かれてしまった一行は、水を見つけるために命の危険を冒して砂漠を越えるしか道がなくなるが、キング・ジョージの道案内のおかげで助かる。「こんなひどいことに巻き込んで悪かったわ」と謝るサラに、ドローヴァーは「いや、君ほど勇敢な女性はいない」と優しく答える。2人の気持ちは急速に近づいていた。

スタッフ

監督:バズ・ラーマン
脚本:バズ・ラーマン、スチュアート・ビーティー、ロナルド・ハーウッド、リチャード・フラナガン
原案:バズ・ラーマン
製作:バズ・ラーマン、G.マック・ブラウン、キャサリン・ナップマン
撮影監督:マンディ・ウォーカー,A.C.S.
プロダクション&衣装デザイナー:キャサリン・マーティン
編集:ドディ・ドーン,A.C.E.、マイケル・マカスカー,A.C.E.
共同製作:キャサリン・マーティン
音楽:デヴィッド・ハーシュフェルダー
エグゼクティブ音楽スーパーバイザー:アントン・モンステッド

キャスト

ニコール・キッドマン
ヒュー・ジャックマン
デヴィッド・ウェンハム
ブライアン・ブラウン
ジャック・トンプソン
デヴィッド・ガルピリル
ブランドン・ウォルターズ

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