原題:King And The Clown

それより奥は、見てはならない。 今、実在の宮廷を揺るがした究極の愛憎劇が幕を開ける——

大鐘賞にて史上最多10部門受賞

2005年12月29日韓国公開

2005年/韓国/カラー/2時間02分/6巻/3316m/ビスタサイズ/ドルビーSRD 配給:角川ヘラルド映画、CJ Entertainment

2007年04月18日よりDVDリリース 2006年12月9日(土)より [新宿ガーデンシネマ(新館)][恵比寿ガーデンシネマ]ほか全国ロードショー

公開初日 2006/12/09

配給会社名 0058/0765

解説


◆史実とフィクションを見事に融合させた、
 最高にドラマティックなエンターテインメント!
 2006年、韓国で4人に1人が観たという、とんでもない超大ヒット作が出現した。この国の過去のヒット作と言えば、南北の対立をテーマに巨額の製作費を投じた大作がほとんどである。そんな今までのヒットの方程式をいとも簡単に覆す作品が誕生したというニュースに、国内のみならず世界中が耳をそばだてたのだ。

 その作品のタイトルは『王の男』──なのだが、主人公は権威の頂点にある王ではなく、自らに課せられた運命と必死に闘う芸人たちであるという点で、他の歴史ドラマ映画とは一線を画する作品になっている。さらに史実とフィクションを見事に融合させたドラマティックでスキャンダラスなストーリー、キャストの見事な演技による作品としてのクオリティの高さから、驚異的な勢いで口コミが広がり、リピーターも続出、17週間ものロングランの末、歴代動員新記録(2006年7月現在)を打ち立てたのだ。

 そして、7月に発表された韓国のアカデミー賞と言われる大鐘賞では、最優秀作品賞を始め史上最多10部門受賞という栄光に輝いた。まさに人気・評価共に韓国史上最高の地位に上りつめた映画──それが『王の男』なのだ!

◆固い友情で結ばれた
 2人の芸人たちと、愛を知らない暴君
 時は、16世紀初頭。固い友情で結ばれた幼なじみの旅芸人、チャンセンとコンギルは、国一番の芸人になるという決意を胸に、漢陽の都にやって来た。そこで時の王・燕山君(ヨンサングン)が身分の低い妓生だったノクスに入れあげ、宮中に招き入れて遊び呆けているという噂を聞きつけた2人は、宮廷を皮肉った芝居を演じ、たちまち大人気を博す。

 しかし、彼らは王の側近の重臣に捕らえられ、王が芝居を見て笑わなければ死刑だと言い渡される。王は幼い頃に母親を毒殺されてから心を閉ざし、人前で笑ったことがなかった。そんな王が、一目でコンギルの美しさに魅入られ、達者な演技に爆笑し、臣下の猛反対を押し切って彼らを宮廷に住まわせる。力強く巧みなチャンセンの芸と繊細で艶やかなコンギルの掛け合いは、ますます王を魅了していく。しかし、母親の死の真相を知った王は日に日に狂気に満ちた行動に走り、ノクスは王の心を奪ったコンギルへの恐るべき復讐を計画する。今や2人の芸人は、激烈で悲劇的な運命に巻き込まれようとしていた……。

 原作は、「爾」という舞台劇。“爾”とは、朝鮮王朝において、王が寵愛する者を呼ぶ時に使われた呼び名。2000年に初演されて以来、韓国演劇協会の選ぶ最優秀舞台ベスト5、韓国批評家協会選考の年間最優秀演劇賞及び俳優部門の最優秀新人賞、ドンナー芸術協会の01年度最優秀演劇賞など、数々の賞を総なめにした舞台である。映画化するにあたり、宮廷内の人間模様を描いた舞台の魅力を生かしつつ、チャンセンのキャラクターを書き加えることで、よりダイナミックな人間ドラマに仕上がった。

◆名誉ある賞を総なめした、
 絶世の美青年と個性派俳優たちの息をのむ演技対決
 チャンセンに扮するのは、韓国のアカデミー賞と言われる権威ある大鐘賞主演男優賞を本作で受賞したカム・ウソン。『スパイダー・フォレスト 懺悔』などの演技で、韓国で最も知的な俳優と讃えられていた。コンギルには、『ホテル ビーナス』で、日本でも人気の高いイ・ジュンギ。“歴史を狂わせる美しさ”を見事に体現し、本作でスターの地位を獲得、大鐘賞では新人男優賞・男性人気賞・男性海外人気賞の3冠に輝くという、前代未聞の快挙を成し遂げた。ヨンサングンには、韓国を代表する名優の1人、『達磨よ、ソウルに行こう!』のチョン・ジニョン。王の愛妾ノクスには、やはり本作で大鐘賞の女性人気賞を獲得したカン・ソンヨン。
 彼らの血の通った見事な演技が、それぞれの際立ったキャラクターの魅力にさらに奥行きを与えることに成功した。観る者は4人それぞれに〜史上最悪の暴君にさえ〜感情移入し、胸を熱くせずにはいられないのだ。監督は、本作で大鐘賞の最高の名誉、最優秀作品賞と監督賞に輝いたイ・ジュンイク監督。
 絢爛豪華な宮廷の中で、実在した史上最悪の暴君に芸で挑んだ2人の男の、波乱に満ちた人生を描く本年度最高の話題作が、遂に日本へ──!

ストーリー

◆「この国で一番の芸人になろう」固い友情で結ばれた2人の旅芸人の決意
16世紀初頭。旅芸人一座の花形、チャンセン(カム・ウソン)と女形のコンギル(イ・ジュンギ)は、迫力のある芸と艶やかな芝居で観客を魅了していた。しかし、所詮は田舎町の巡業、土地の有力者がコンギルの美しさを一晩わが物にしたいと願う金で、座長の懐が潤うだけだった。幼なじみのコンギルと固い友情で結ばれたチャンセンは、コンギルが侮辱されることに耐えられなかった。

遂にその夜2人は、止める座長を叩きのめして、手に手を取って逃げ出した。国一番の芸人になるために、漢陽の都へ行く。まるでずっと前から決意していたかのように、チャンセンはコンギルに宣言するのだった。

◆「王をあざ笑えば金が稼げる」宮廷を皮肉った芝居で民衆の人気者に
漢陽の都に着いたチャンセンとコンギルは、時の王ヨンサングン(チョン・ジニョン)が妓生(芸者)だったノクス(カン・ソンヨン)を宮女にし、日夜遊び呆けているという噂を聞きつける。チャンセンの芸を観て、たちまち自ら“弟分”になったユッカプ(ユ・ヘジン)、チルトゥク(チョン・ソギョン)、パルボク(イ・スンフン)の3人の芸人たちを仲間に入れ、チャンセンは宮廷を皮肉った芝居を思いつく。

チャンセンが王、コンギルがノクスに扮したその芝居はたちまち大人気を博し、2人は民衆のスターになった。チャンセンは、自由の身で楽しそうに芝居をするコンギルを見るのが、何よりもうれしかった。

◆捕らえられた芸人たち「王が笑わなかったら、お前らの首をはねてやる」
しかし、栄光の時はあっという間に終わる。噂を聞きつけた王の重臣チョソン(チャン・ハンソン)が、チャンセンたちを捕らえ、王を侮辱した罪で死刑だと宣告する。「王が笑えば侮辱じゃない」反論するチャンセンにチョソンは心を動かされる。

ことは思わぬ展開となり、王の前で命をかけた一世一代の芝居が始まった。ユッカプたちは恐れのあまり、声も体も震えが止まらない。チャンセンは何とか芝居を続けるが、人前で笑ったことがないという王の仏頂面の前で、空回りしていく。その時、妖艶な笑顔で王を惹き付け、達者な芸で遂に王を笑わせたのは、コンギルだった。

◆歪んだ宮廷生活「王をからかったお前たちが、なぜ重臣をからかわない?」
チャンセンたちは死刑を免れ、宮廷に住むことを許される。重臣たちが異議を唱えるが、チョソンは何を企むのか、チャンセンに重臣をからかう芝居をやれとたきつける。それは重臣が賄賂を受け取ったことを暴く芝居だった。王は顔色を変えて懺悔する法務大臣を罷免し、指を落とせと命じる。

宮廷の力関係がひどく歪んでいることが、チャンセンにもわかってきた。王は自分の狩場を作るために住民を追い出したり、国中の妓生を集めたりとやりたい放題で、先王に仕えた重臣たちはそんな王を蔑んでいた。誰も民衆のことなど考えてもいなかった。

◆「芝居をするたびに誰かが死ぬ」もはや宮廷を去るには遅すぎた──
暴君と呼ばれる王の常軌を逸した行動には、原因があった。幼い頃に母親を殺されたことが深い傷となり、性格を捻じ曲げてしまったのだ。それを知った心優しいコンギルは王に同情し、王はコンギルの美しさと純粋さに益々心を奪われる。彼らが2人だけで過ごす時間が増えるにつれ、チャンセンの心配とノクスの嫉妬は、限りなく膨らむのだった。
不穏な行く先を肌で感じたチャンセンは、宮廷を出ることを決意するが、コンギルに頼まれて最後の舞台に上る。それは、誰が王の母を殺したかを暴く芝居だった。王は逆上し、母に毒を盛った実行犯たちに復讐を果たす。首謀者である王の実の祖母も、ショックのあまり息絶えてしまう。
チャンセンと芸人たちは、恐ろしい成り行きに呆然としながら荷物をまとめる。ところが、王に引き止められたコンギルは残ることを選ぶ。
小さな喜びと耐えがたい苦しみを共に分かち合い、真の芸人になることを目指してここまできたのに、コンギルは自分を裏切るのか──初めて味わう深い悲しみに心を引き裂かれるチャンセン。
しかし、2人の行く手には、ノクスが企む復讐から始まる、さらに悲劇的な運命が待ち構えていた……。

スタッフ

監督: イ・ジュンイク
脚本: チェ・ソクファン
照明監督: ハン・ジウプ
衣装: シム・ヒョンソップ
アートディレクター: カン・スンヨン
音楽: イ・ビョンウ

キャスト

カム・ウソン
イ・ジュンギ
ユ・ヘジン
チョン・ジニョン
カン・ソンヨン
チャン・ハンソン

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