原題:Les Revenants/they came back

フランス映画祭2006出品作品(上映題名「they came back(仮題)」)

2004年/フランス/カラー/103分  配給:バップ+ロングライド

2007年03月21日よりDVDリリース 2006年9月23日より ユーロスペースにてロードショー

(C)Haut et Court, France 3 Cinéma,Gimages Développement.

ビデオ時に変わった場合の題名 ウェイクアップ・デッドマン 奇跡の朝

公開初日 2006/03/15

公開終了日 2006/03/19

配給会社名 0475

解説


フランス版の『黄泉がえり』ともいうべきファンタジー・ドラマ!ヴェネチア映画祭に出品された、『タイム・アウト』脚本のロバン・カンピヨ監督デビュー作。『タイム・アウト』などローラン・カンテの作品に編集者・共同編集者として活躍してきたロバン・カンピヨの監督デビュー作。アメリカのSF映画と同じように、地球規模の出来事をフランスのある都市というスケールで取り上げている。ラシェルに扮するのは、『パリの確率』や『ふたりの5つの分かれ路』などのジェラルディン・ペラス。その夫のマチューを演じるのは、『真夜中のピアニスト』などのジョナサン・ザッカイだ。第61回ヴェネチア国際映画祭をはじめ多くの映画祭に出品され、批評家からの高い評価を得ている。

ストーリー


 フランスの静かな街にある朝、無数の人の波がゆっくりと流れ込んでくる。
その異様な光景をただ茫然と眺めている人々。

直ちに街で起こっている事態の調査に乗り出した行政。そこで判明したことは、これまで人類が経験したことのない耳を疑うような事実であった。街を埋め尽くしている人々のほとんどが過去10年間以内に死亡した人々で、生前とまったく変わらぬ姿で還ってきたのである。その数は1万3千人に上り、全体の65%が60歳以上、40歳以上60歳未満が25%、40歳未満は10%であった。市議会はひとまず事態を収拾するため、赤十字、警察、陸軍の協力のもと、蘇生者の受け入れ場所と当面の衣服や食料の供給を国連のガイドラインに沿って決定する。専門家の見解では、蘇生者の身元調査だけでも1ヶ月以上の調査が必要であり、決定した受け入れ体制もいつまで確保できるのかまったく見当がつかない。また、ここで最も重大な問題は蘇生者をいかに社会復帰させるかであった。先行きの不透明さに途方に暮れてしまう市長(ヴィクトール・ガリヴィエ)。ふと窓の外に目をやると、亡くなったはずの妻マルタ(カトリーヌ・サミー)が自分に向かって手を振っている。市長はその光景にただ愕然とするしかできない。

 蘇生者の中に、4年前に夭折した息子のシルヴァンがいないかと、蘇生者の収容センターに駆けつけたイシャム(ジャメル・バレク)とヴェロニク(マリー・マテロン)夫妻。息子の写真と身分証明書をセンターの医師ガルデ(フレデリック・ピエロ)に渡すと、面会所へと案内される。希望と不安が交錯する中、ひとりの少年が徐々に、夫妻に近づいてくる。それは紛れもなく4年前にこの世を去った愛息のシルヴァンであった。驚きと喜びのあまり、目の前の“奇跡”に言葉を失ってしまう2人。

 イシャム夫妻の友人のラシェル(ジェラルディン・ペラス)も、2年前、恋人のマチュー(ジョナサン・ザッカイ)を交通事故で亡くしていた。ラシェルに再びもどってきた息子の様子を嬉しそう話すイシャム。彼は、ラシェルにマチューが戻ってきていないか確認を勧めるが、彼女は不安と戸惑いから、なかなか心の整理が着かないでいた。

 日中、街中を歩くラシェル。彼女は、誰かにつけられているような気配を感じ、歩みを止める。同時に、ラシェルをつけていた者の歩みも止まった。おそるおそるゆっくりと振り返るラシェル。目の前には、交通事故で亡くなったはずのマチューの姿があった。信じられないといった表情でマチューを見つめたまま、言葉をかけられないラシェル。しかし、マチューは、まるで何事もなかったかのように以前と変わらぬ微笑みでラシェルを見つめている。その光景を密かにに見つめているガルデ。

 市議会では、次第に明らかになった蘇生者の実態が報告されている。専門家の調査では、彼らは、健康状態や運動機能は良好だが、通常の人間にくらべ平均で4℃から5℃体温が低く、夜はあまり眠ることができない。また、失語症に似た症状と放心状態が多く見られ、会話をしていても現実のリズムとズレてしまう。さらに決定的なことは、通常に会話をしているように見えるのも、生前使っていた言葉を繰り返しているだけで、言語能力の回復は困難という結論であった。

 どこか疲れ切った様子でベンチに座っているヴェロニク。目線の先には、学校の友人にとけ込めないシルヴァン。帰宅途中のイシャムがヴェロニクを見つけ声をかけるが、彼女の答えは上の空で、シルヴァンをイシャムに託し、先に自宅へと帰ってしまう。一方、市長は、深夜徘徊や奇妙な行動をとるマルタをどう受け入れていけばよいのか分からず、苦悩していた。市長はそのことをラシェルに告白し、彼女に協力を哀願するが、マチューを他の蘇生者と同じに思えないラシェルは、市長の頼みを聞き入れることができない。再び、生前のマチューとの生活を取り戻そうと、ガルデのもとへ相談に訪れたラシェル。しかし、ガルデから現実の厳しさを突きつけられ、耐えきれなくなった彼女はその場から立ち去ってしまう。

 そして運命の夜は突然が訪れた。なんの前触れもなく突然、街の各地で相次いで爆発が起こる。それと同時に、一斉に蘇生者のグループたちが街に溢れ出し、どこかに向かって歩き出していた。治安当局は、市内全域に外出禁止令を発令し、事態の沈静のため、陸軍が出動してしまう。
イシャム夫妻、市長、そしてラシェルのもとに、愛する者との“永遠の別れ”の時が再び迫っていた。果たして、彼らは再び訪れる別れに際し、どのような選択をするのだろうか……。

スタッフ

監督:ロバン・カンピヨ(脚本『タイム・アウト(未)』)
製作:キャロル・スコッタ、カロリーヌ・ベンジョ
脚本:ロバン・カンピヨ、ブリジット・ティジュー
撮影:ジャンヌ・ラポワリー

キャスト

ジェラルディン・ペラス(『ふたりの5つの別れ路』)
ジョナサン・ザッカイ

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