原題:Head-On / Gegen die Wand

泣かないで 君の嘆きが天に届いて 悲しみは去る

第54回ベルリン国際映画祭・金熊賞&コンペティション部門批評家賞 2004年 ヨーロッパ映画賞最優秀作品賞/観客選出監督賞(ファティ・アキン) 2004年トルコ・ドイツ映画祭 女優賞(シベル・キケル)・男優賞(ビロル・ユーネル) 2004年 Brothers Manaki 国際映画祭・ ゴールデンカメラ300賞(撮影賞) 2004年ドイツ映画賞・作品賞/監督賞/男優賞(ビロル・ユーネル)/女優賞(シベル・ケキリ)/撮影賞 2004年 Guild of German Art House Cinemas・金賞(ファティ・アキン) 2004年 ジャーマン カメラ アワード・撮影賞 2004年セビリア映画祭・観客賞 2004年オスロ映画祭・作品賞 2004年 New Faces Awards・New Faces Award(シベル・ケキリ) 2004年ニュルンベルク映画祭・最優秀女優賞(シベル・ケキリ)/最優秀男優賞(ビロル・ユーネル) 2005年メキシコシティ国際映画祭・監督賞 2004年オウレンセイ インディペンデント フィルムフェスティバル・最優秀作品賞 2005年サンタバーバラ国際映画祭・審査員特別賞(シベル・ケキリ) 2005年ゴヤ賞・ベストヨーロピアンフィルム賞 2005年ジンバブエ国際映画祭・女優賞(シベル・ケキリ)/脚本賞 2005年全米映画批評家協会 外国語映画賞

2004年/ドイツ/35mm/カラー/ビスタ/ドルビーデジタル/121分 配給:エレファント・ピクチャーズ

2007年02月23日よりDVDリリース 2006年4月29日、シアターN渋谷にてロードショー公開

公開初日 2006/04/29

配給会社名 0244

解説


イスタンブール、ハンブルクを舞台に、傷つけ合い愛し合う二人の切なく激しすぎる運命
「ベティー・ブルー」「奇跡の海」を超える究極の愛の物語・・・

2004年ベルリン国際映画祭で、テオ・アンゲロプロス、エリック・ロメール、キム・キドクなどを押さえ、ドイツ映画では18年ぶりとなる金熊賞を受賞し、その痛々しいほどに切ない愛の行方に話題騒然となった衝撃作がついに日本公開となる。
人生に絶望し、自殺未遂を計ったジャイトの前に現われた、若くて美しいシベル。彼女は保守的な家族から逃れるために、同じくトルコ系ドイツ人のジャイトに偽装結婚を提案する。愛のない結婚のはずが、ジャイトは自由奔放な彼女に次第に惹かれていく。しかし、ある事件によってジャイトの人生は崩壊してしまう。そして、シベルはやっと気づく、自分もまた彼を深く愛していることを・・・。
偽りから生まれた真実の愛— 生きること、愛すること、そして家族を持つことについてを我々に深く問いかける、激しくも切ない究極のラブ・ストーリー。

世界が認めたドイツの新しい才能。ファティ・アキン監督が描き上げる<愛・民族・音楽>。

 弱冠32歳のファティ・アキン監督の長編5作目となる本作は、ベルリン国際映画祭金熊賞、2004年ヨーロッパ映画賞最優秀作品賞、ドイツ映画賞など数々の賞を受賞。また本国ドイツでも大ヒットを記録し、ヨーロッパを中心に世界25カ国以上での公開が決定。ファティ・アキンは、今ドイツで最も注目される実力派若手監督の一人である。
 トルコ系ドイツ人である監督の名を世に知らしめることとなった本作では、自らの体験をもとにトルコとドイツの文化衝突といった側面を、ハンブルク、イスタンブールを舞台にスクリーン上にリアルに描き出している。
そのために、主演二人にトルコ系ドイツ人を起用。更に作品の一部をメランコリーな伝統的トルコ音楽を使用したミュージカルにし、物語のストーリーテリング的な役割を果たさせるという手法をとった。これにパンクロックを融合させ、音楽と映像を美しくまとめあげることで、アキン監督ならではの世界を創り上げている。

ロックに生きる男ジャイトと、自由奔放な女シベルを見事に演じきった俳優陣

ジャイト役には、アキン監督の長年の友人で、彼が絶大な信頼を寄せているビロル・ユーネル。トルコ系ドイツ人という監督と同じバックグラウンドを持つ彼は、破滅的な危うさと、繊細な優しさを併せ持った中年の男ジャイトを熱演。監督に「ジャイトはビロルそのものだ」と言わしめた。
シベル役は、ケルンのショッピング・センターで働いていたところを見出されて、350人の面接の中から大抜擢されたシベル・ケキリ。監督が「彼女は神からの贈りもの」というほど、強烈な存在感と独特の美しさを持った彼女なしには、本作の成功はありえなかったであろう。
また、シベル・ケキリはベルリン金熊賞の発表後にポルノ女優であったことが発覚。本作のシベルと重なるような波乱万丈でスキャンダラスな彼女の実人生。この偶然は本国ドイツやトルコで大変な話題となった。

ストーリー


40歳になるジャイトは、愛する妻を亡くし人生に絶望して自殺未遂を起こしてしまう。死にも見放された彼が目を覚ましたのは、心の病を治すための病院だった。彼の魂の苦悩は続き、痛みをなくすための麻薬とアルコールを求めて泣き叫ぶ。

若くて美しいトルコ系ドイツ人であるシベルは、信仰心が厚く保守的なイスラム教徒の家族から逃れるために、自殺未遂のふりをする。だが、それは不名誉をもたらすだけで自由をもたらしはしない。結婚だけが彼女を救う手だてなのだ。

彼女は、精神科クリニックで出会った、同じくトルコ系ドイツ人であるジャイトに自分と結婚してくれと乞う。いやいやながら彼は同意する。それは彼女を救うため、そしておそらく自分の人生のなかで一つでも意味のあることをするために。

愛のない結婚— 二人はアパートをシェアするが、その他のことはほとんど共有することはない。彼女は自由をじゅうぶんに味わい、彼はかつて恋人だった女性と時折、情事を持つ——愛がつま先立ちで彼の生活に入ってくるまでは…

ジャイトはシベルを愛するようになるにつれ人生に新しい歓びを見出し、みなぎる力を感じるようになる。だがシベルは他の男たちとの一夜だけの関係を続ける。まるで、それが自由の証であるかのように。

そんなときに起こってしまうある事件。嫉妬にかられたジャイトがシベルに言い寄る男を殺害してしまい、ジャイトは刑務所に送られてしまう— そして、シベルはやっと気がつく。自分もまた彼を深く愛していることを…

行き場のなくなったシベルは、新しい人生を歩むためにトルコ、イスタンブールへと旅立つ。ジャイトへの永遠の愛を誓うシベルだったが、彼と会えない寂しさから、次第に酒、ドラッグへと溺れていく…

引き裂かれた二人の運命— 果たしてシベルはジャイトを待ち続けることができるのだろうか?

スタッフ

監督・脚本:ファティ・アキン
製作:ラルフ・シュヴィンゲル、シュテファン・シューバート、ヴェステ・フィルムプロダクション
共同製作:NDR/アルテ、コラソン・インターナショナル
共同プロデューサー:ファティ・アキン、メメット・カルトゥラス、アンドレアス・ティール
物語編集:ジャネット・ヴュルル(NDR)
アンドレアス・シュライトミュラー(アルテ)
プロダクション・マネジャー:イングリッド・ホルツアッペル
撮影監督:ライナー・クラウスマン
編集:アンドリュー・ビルト
助監督兼芸術監督:アンドレアス・ティール
ユニット・フォトグラファー:ケルスティン・シュテルター
照明:トーアステン・レムケ
サウンド・エンジニア:カイ・リューデ
セット・デザイン:ターモ・クンツ
衣裳:カトリーン・アッシェンドルフ
メーキャップ:ダニエル・シュレーダー&ヌルゼン・バルチ
キャスティング:マイ・ゼック
整音:リヒャルト・ボロフスキー
音楽コンサルタント:クラウス・メック

キャスト

ビロル・ユーネル
ジーベル・ケキリ
カトリン・シュトリーベック
グーヴェン・キラック
メルテム・クンブル
セム・アキン
アイゼル・イスカン
デミール・ゲクゲル
シュテファン・ガーベルホッフ
ヘルマン・ラウゼ
アダム・ボウスドウコス
ラルフ・ミスケ
メメット・カルトゥラス

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