原題:Calvaire

2005年ジュラルメール・ファンタスティック映画祭 審査員最優秀賞/国際批評家賞/プレミア観客賞受賞 2005年ロッテルダム国際映画祭 正式出品  2004年レインダンス映画祭 正式出品  2004年 トロント映画祭ミッドナイト部門 正式出品 2004年エジンバラ国際映画祭 正式出品  2004年カンヌ国際映画祭批評家週間 正式出品

2004年/フランス/カラー/94分/ 配給:トルネードフィルム

2006年10月04日よりDVDリリース 2006年3月18日、ライズエックスにてロードショー

公開初日 2006/03/18

配給会社名 0633

解説


カンヌをはじめヨーロッパ全土を震撼させた
映画のタブーを破る、破壊と狂気のラブストーリー

『カルネ』のギャスパー・ノエの鮮烈なるデビューから15年——
人間の常識を凌駕する傑作がついにベルギーから誕生!
2004年、ヨーロッパ各地の映画祭では、ギャスパー・ノエ以来の恐るべき新人監督の誕生に沸いていた。その名は、ファブリス・ドゥ・ヴェルツ。1972年にベルギーで生を受けた彼は、この1本で一躍母国を代表する脅威の作家としてヨーロッパ映画史にその名を刻まれることとなる。
独特の色彩感覚と映像センスで綴られるこの「愛の受難」の物語は、カンヌをはじめトロント、ロッテルダム・・・と各地の映画祭の観客を騒然とさせ、マスコミに賛否両論の嵐を巻き起こし、いよいよ日本に上陸を果たした。

こんなに愛しても、まだ、足りない——
売れないシンガーが迷いこんだ地図にも載らない小さな村。
日常から隔絶された地で繰り広げられる、孤独な人間たちの「血」と「歪んだ愛」の物語。
ハンサムで誰からも好かれる歌手のマルクは、老人ホームでのクリスマス・ギグを終え、次のライブの目的地である南仏の町への移動中、車のトラブルで辺鄙な山間の村に逗留するはめに陥る。そんな彼を助けたのは、ペンションのオーナーで孤独な初老の男・バルテルだった。妻に逃げられて以来、徐々に平常心を失っていた彼は、マルクに歌が好きだった妻の姿を重ねあわせ執拗につきまとう。そんな折、バルテルからの「絶対に近づくな」との警告を無視し、マルクは禁断の村に足を踏み入れてしまう。そこで彼が目にした衝撃の事実とは——?
突然の来訪者によって壊れていく村のバランス。マルクを監禁してまで手元に留めようとするバルテルの狂信的な愛。パンドラの箱をあけてしまったマルクは、果たしてその閉鎖的な村から、血塗られた愛の迷宮から脱出できるのだろうか?

加速する愛、妄想、暴力。そして、訪れる静謐なるカタストロフィー。
仏映画界一流のスタッフ・キャストで贈る、観てはいけない大人の寓話。
周囲の狂気や欲望を一身に担うことになってしまう受難者=マルクを演じるのは、『ポーラX』(99)でギョーム・デュパルデューの従兄弟役を演じ、その後も『ハリー、見知らぬ他人』(00)、『イン・マイ・スキン』(02)など、国際的にも評価の高い俳優ローラン・リュカ。マルクを憎しみと表裏一体の愛で追い詰めるバルテルには、『百貨店大百科』(92)や『おせっかいな天使』(93)の脚本家としても知られる個性派俳優ジャッキー・ベロワイエ。ほか、『カルネ』(99)で娘を偏愛する馬肉屋の主人公を演じたギャスパー・ノエ作品の常連俳優フィリップ・ナオンなど、一癖もふた癖もある役者が一同に揃った。また、動から静へ光と影を最大限に利用し、美しい赤と黒のコントラストをスクリーン上に映し出したのは、『アレックス』等の撮影で知られるブノワ・デミ。ユーモアと恐怖、残虐性とファンタジー。過激な演出のなかに人間誰もがもつ孤独と愛の渇望を静かに描いた、心掻き毟られる究極のラブストーリーだ。

ストーリー

誰からも愛されるハンサムなマルクは、老人ホームや結婚式などで歌を歌い、生計を立てているキャバレー・シンガー。
老人ホームでのクリスマス・ギグが終わり、次のライブが待つ南仏の町への移動中、山の中でライトバンが故障してしまう。真夜中の土砂降りの雨の中、人里離れた辺鄙な場所で孤立するマルク。
そこへ犬を捜す精神障害者のボリスがやってくる。
彼に従い森の中を歩いて行くと、小さなペンションの明かりを見つける。そのペンションのオーナー、バルテル氏は孤独な初老の男だった。自身をアーティストと名乗るバルテル氏は、コメディアンであった過去を語り、歌手であるマルクに何故か異様な執着を見せはじめる。彼の尋常でない様子に不安を覚えつつも、土砂降りでどうにも動けないマルクは一晩の宿を借りることに。
翌朝、マルクのライトバンの修理を請け負い、電話で車屋を呼ぶバルテルだったが、彼が話す電話線の向こうは、誰にも繋がってはいなかった。
足を失いどうにも動きがとれないマルクは、「地元の村には近づかないよう」バルテルから警告されていたにもかかわらず散策に出かけ、道中、古びた納屋で家畜とセックスをする村人たちを目撃してしまう。
驚いたマルクはホテルへと引き返すが、やがて村人だけでなく、バルテルやボリスたちも正気を失っていることに徐々に気づきはじめる。
その夜、バルテルは、かつて自分を捨てて男と蒸発してしまった妻グロリアのことをぽつぽつと語り始める。歌が上手で美しかった最愛の人。彼女が消えたとで、彼は同時にユーモアも失くしてしまった、と。
そして突如、マルクに自分のための歌を強要する。かつて妻が自分に歌ってくれたように。
あくる朝、マルクは自分の車が壊されているのを発見しバルテルに問いただす。しかし正気を失ったバルテルは彼に暴力を振るい、妻の服を着せ、頭を刈り、納屋に監禁する。
2人きりの残酷なクリスマス・パーティの最中、なんとか隙をみてその場を逃げ出したマルク。一方、彼=彼女を追うバルテルとボリスは、村人たちが妻を隠したと妄想し、彼らが集うバーに殴りこみをかける。
森の中を、川を一心不乱に駆け抜けるマルク。そして執拗なまでに彼を追い詰めていくバルテルと村人たち。果たして、マルクは無事、この袋小路から逃げ延びることができるのだろうか?

スタッフ

製作:ミカエル・ジェンティル
エディ・ジェラドン=リュイックス
監督:ファブリス・ドゥ・ヴェルツ 
脚本:ファブリス・ドゥ・ヴェルツ
ロメイン・プロタット
撮影:ベノワ・デビエ
編集:サビーヌ・ユボー
音楽:ヴァンサン・カエイ

キャスト

ローラン・リュカ
ジャッキー・ベロワイエ
フィリップ・ナオン
ジャン=リュック・クシャール
ブリジット・ラーエ
ジジ・クールシニー
フィリップ・グランドンリー
ジョー・プレスティア

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