原題:Nichuijou

耳をすませばきこえてくる、 街の音が織りなす不思議なストーリー。

2005年/日本/カラー/76分/ 配給:エスエスエム

2007年1月27日(土)〜2月2日(金)までの1週間、シアターN渋谷にて連日 夜9:10〜1回上映 2006年05月24日よりDVDリリース 2006年2月4日、シアターN渋谷にて4週間限定レイトショー

公開初日 2006/02/04

配給会社名 0269

解説



2001年、笹部香監督は某在阪局の深夜特番で、「日常」という同タイトルの番組を制作した。監督曰く「サラリーマンが唐揚げを取り合うだけの、だらだらした“中川家”のミニコントが大好きで、『こういうのばっかり、ずーっと見たいなー』と思った」というのが、そもそものきっかけであった。そして、そのごくシンプルな想いは、映画「日常」となって、完成したといっていいだろう。ここに描きだされるのは、他愛もない会話や、些細な出来事の繰り返しのような、どこにでもある日常風景。でも、ほんの少し耳をすましてみるだけで、街には、様々な人々の喜怒哀楽の声や、いろいろな音が溢れていることに気づく。そして、そんな“日常”は、決してつまらないものではないのだ、ということに……。監督自ら“愛すべきクレイジータウン”と称する大阪の街を舞台に、ちりばめられたひとつひとつのエピソードをやさしい眼差しで見つめながら、シュールでいて、あたたかく、そしてなによりも活き活きと映し出しているのが印象的である。

また、この映画のキャストは、ケンドーコバヤシ、次長課長、友近、南海キャンディーズのしずちゃん、フットボールアワー、レギュラーの松本……その他全員が、テレビでもお馴染みの吉本の若手お笑い芸人たちである。しかし、いつのまにかそのことを忘れてしまうほど、彼らの姿はいつもとは違ってみえることだろう。制作時、監督と脚本家たちが、まずシチュエーションと登場人物を出し、それぞれをキャスティングしていったというが、その誰もがハマり役なのはもちろんのこと、役になりきっている、というよりも、むしろ彼ら自身が、大阪に生きるフツーの人々の姿として、街の中にすっと溶けこんでいる。だからこそ、そんな彼らが紡ぎだす日常風景に、自分たちの日常を重ねずにはいられないのだろう。そして、なんともいえない親しみを感じると共に、ほっとするような気持ちになってしまうのだ。

さらに、全編に流れるアコースティックなメロディと、ストリートミュージシャン“仮面ドライバー”の演奏する曲たちが、街を彩る光景をあたたかく包みこんでいく。“仮面ドライバー”の曲については、役を演じているケンドーコバヤシと次長課長・井上、監督、脚本家の一人である森氏の4人で、ロケ前日の夜中過ぎから曲作りをはじめ、3曲目が出来たころには既に朝になっていたという。こんなエピソードからも、そのチームワークの良さと、キャスト、スタッフ自らが楽しみながら制作に関わっていた様子を伺い知ることができる。そして、生み出された曲たちの、コミカルかつ耳に残るフレーズは、この映画において重要な役割を果たすこととなったのである。

ストーリー

舞台は、たくさんの人々で賑わう大阪の街。

大阪のミナミでは、ストリートミュージシャン“仮面ドライバー”の2人が、雨の降りはじめるなか、演奏をやるかどうか話している。

つづいて、街なかのカフェ。仕事の合間、一息つくメッセンジャーたち。彼らは自分たちの自転車を無断で触っている不審な人物を見つける。するとその男は「自分はメッセンジャーに憧れている郵便配達員」だと言い、わけのわからない質問をメッセンジャーたちにぶつけはじめる。

一方、自転車置き場にやってきた若者は、自分の自転車がなくなっていることに気づき、「チャリンコないやん! だれやー」と周囲にわめいて、キレまくる。その近くを通りかかった息子連れのおかんは、その若者に因縁をつけられるが「なんなん、あんた!」と負けず劣らず、やりかえす。
さらに、道行く人の数をカウントする交通調査員の女性に向かって、ひたすら質問を浴びせる奇妙な青年がいる。話しかけられている女性は無視しているにも関わらず、彼の質問攻めは執拗に続く。

そして浪速のおかんが再登場。彼女は実は婦人警官だったのだ。ここでは、駐禁をとられたくないために必死で言い訳をする、うだつのあがらないサラリーマンを相手に、なんとかサインをさせようとねばる。

こちらも再び、“仮面ドライバー”の2人。いよいよ路上での演奏をはじめると、なんとここにも、ひたすら質問を浴びせる男が現れて、やっかいなことに。

その他にも、ストーカーを説得する探偵、棚の配置について真剣に語る2人組の若者、昼休みに上司の陰口をたたく東京出身のサラリーマンたち、車をレッカー移動されてもめるカップル、セナに憧れているタクシー運転手、パチスロ好きの男……などなど、それぞれの日常の断片が、微妙に重なり合いながら、次々と映し出されていく。

「いろんな街の音が僕らの日常を飾る。いろんな声で溢れる僕らの日常は、 本当はつまらない日常ではないのかも、なんて思ったりもするんだ」

エンディングに流れるそんなナレーション。きっと誰もが共感を覚え、いつのまにか、やさしい笑顔を浮かべていることだろう。

スタッフ

監督:笹部香
製作:泉正隆
プロデューサー:覚野公一/小口 直子
脚本:松本真一/渡辺鐘/森詩津規/遠藤敬/野々村友紀子
撮影:津田欣典
VE:宮脇直樹
CA:北林 一博
編集:土田 しげお/三好和也/岡貴文
音効:久坂恵紹
音楽:塩見佳久
スチール:内田秀人
衣裳:大槻衣裳
小道具:速水仁
制作進行:鎌田由梨
配給宣伝:阪上聡実/小川俊彦
宣伝デザイン:野原英友
プレス編集:田辺香
協力:ビジュアルアーツ専門学校大阪
Special Thanks:片山勝三
制作協力:吉本興業
製作:エス・エス・エム

キャスト

ケンドーコバヤシ
次長課長
友近
南海キャンディーズ・しずちゃん
フットボールアワー
ブラックマヨネーズ
レギュラー・松本康太
サバンナ
チュートリアル
ザ・プラン9・なだぎ武
ザ・プラン9・浅越ゴエ
ビッキーズ
$10・白川悟実
土肥ポン太
野生爆弾
カリカ・林
小籔千豊
メッセンジャー・あいはら
バッファロー吾郎

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