原題:THE FINAL CUT

あなたの人生の《追悼上映会》にご招待。

2004年/アメリカ/カラー/35mm/94分/ 提供:ファインフィルムズ 配給:ギャガ・コミュニケーションズ

2007年12月07日よりDVDリリース 2005年12月23日、新宿K's cinema、渋谷シネパレス他全国順次ロードショー

公開初日 2005/12/23

配給会社名 0025

解説


人は誰しも自分の人生が美しいものであってほしいと願っている。そして、自分の〈追悼上映会-リメモリー〉では、人々に美しい人生だけを見てほしいと思うだろう。そうして生み出されたのが“ゾーイ・チップ”だった。
その近未来社会では、人間の全生涯が脳に埋め込まれた小さなチップに記録されている。人が死ぬとチップは摘出され、編集者が故人の人生を切り張り、感動的な編集映像が記念式典で上映されるのだ。それはあたかもセレブの特権のように広がっていった。
しかし、それは本当に魅惑的なおとぎ話なのだろうか?大切なのは人生の安直な再構成ではなく、はかない現実の中に残された記憶ではないのか?私たちの記憶がどれだけの力を持ち、私たちのプライバシーがどんなに神聖なものか思い知らされる。

アラン・八ックマンはゾーイ・チップ業界随一の〈編集者=カッター〉だった。感情を排して他人の人生を覗き見ることができる才能ゆえに、すねに傷を持つ顧客たちからひっぱりだこだった。しかし、ある人物のメモリーを編集している時、アランはずっと自分を苦しめ続けていた幼
いころの記憶を甦らせる映像を発見する。彼は必死になって過去の真案を捜し求めようとするが……。

アランを演じるのは『グッド・ウィル・八ンティング/旅立ち』(97)でアカデミー賞助演男優寅を獲得したロビン・ウィリアムズ。持ち前の人間臭い存在感で、謎めいた男アランに温もりと深いニュアンスを与えている。アランの心の拠りどころとなる知的な女性ディライラには『誘惑のアフロディーテ』(95)でアカデミー助演女優賞を受賞したミラ・ソルヴィノ。この二人のオスカー俳優の共演が実現したことも大きな話題だ。

今現在、様々な分野で先進的なチップが開発されており、それらは個人の生活を追跡するために使われる可能性もある。そういう意味では時代性を反映したテーマと言える。『A.I.』(01)に迫る近未来ファンタジーであり、『バニラ・スカイ』(01)を彷彿とさせる驚愕の結末を用意して、観る者の真理をえぐるサイコロジー・シネマだ。
監督・脚本はこれが長編映画デビューとなるレバノン出身のオマール・ナイーム。弱冠26歳の無名の青年の脚本に惚れ込み、演出も任せたプロデューサーは、インディペンデント映画の先駆けとなった「セックスと嘘とビデオテープ』(89)や『ドラッグストア・カウボーイ』(89)を世に送り出し、『ザ・プレイヤー』(92)、『25時』(02)などを手がけているニック・ウェクスラー。『25時』『レクイエム・フォー・ドリーム』(00)のジェームズ・チンランドが美術を、『ドッグ・ショウ!』(00)のモニク・プルドーメが衣装デザインを担当。『俺たちに明日はない』(67)から『ジョンQ-最後の決断-』(02)までを手がけている伝説的編集者デデ・アレンが若手のロバート・ブレイキーと組んで参加している。

ストーリー



少年の日。アラン(ロビン・ウィリアムズ)は、両親と一緒にその町を訪れていたメガネをかけた少年ルイスと廃工場で遊んでいた。底の抜けた床にむぎ出しになった細い梁の上を歩くアラン。臆病なルイスも渡ろうとするが、足を踏み外してしまう。アランが思わず目をつぶった瞬間、ルイスは深い床の底へと転落し、アランの手にはルイスのペンダントだけが残された。大量の血を流して横たわるルイス。恐怖に襲われたアランは一目散に工場から走り出た。

それから数十年後。アランはゾーイ・チップの編集者として働いていた。ゾーイ・チップとは、人の脳に移植して全生涯を記憶することができるチップ。死後、脳から取り出されたチップは編集者によって編集され、〈追悼上映会-リメモリー》を行うのがセレブ階級の流行になっていた。しかし同時に「人殺しを聖人にする行為」「他人の目の奥を透かし見るのは神のみに許されること」とするゾーイ反対運動も起こっていた。アランはどんなに不道徳な人生も感情移入せずに直視できる性格から、“人間のくず”といわれている大物たちに重宝がられていた。そんな彼のもとに、ゾーイ・チップを扱う大企業アイテック社の弁護士チャールス・バニスターの未亡人から編集の依頼がくる。

アランはずっと少年時代の記憶に苛まれ、罪の意識が彼の性格に大きな影を落としていた。そして自分が死者の罪を引き受け、魂を清めて来世へ旅立たせるキリスト教の“罪食い人(シン・イーター)”であると信じ始めていた。そんなアランが唯一心を許せる相手は、古書店を営んでいるディライラ(ミラ・ソルヴィノ)だけだった。しかし、数年前に恋人を亡くした彼女にとって、式典で上映される映像は虚像にすぎず、他人の人生を切り張りして都合のよい記憶を作り上げるアランの仕事が理解できなかった。

アランは編集の準備のためにバニスターの未亡人と娘へのインタビューを行った。バニスターのチップには娘へのおぞましい行為が映っていたが、未亡人はこれをカットするよう求める。同じ頃、かつて編集者だったフレッシャー(ジム・カヴィーゼル)がアランの前に現れ、バニスターのチップを譲るよう脅迫する。彼は仲間とともにアイテック社の不正を摘発しようとしていた。翌日、アランは映像の中に死んだはずのルイスとそっくりな男を見つけて激しく動揺する。

アランはルイスのチップを探すために、編集者仲間の協力を得てアイテック社の資料部屋に侵入する。しかし、そこでアランが見つけたのは、亡くなった両親が彼の脳に埋め込むチップを購入していたという記録だった。自分のチップを取り出してあの忌まわしい記憶を見てみたい!真実を確かめたい!アランはもう自分の心を抑えることができなかった。

スタッフ

監督/脚本:オマール・ナイーム
製作総指揮:ナンシー・パロイアン・ブレズニカー
製作:ニック・ウェクスラー
撮影:タク・フジモト
編集:デデ・アレン/ロバート・ブレイキー
美術:ジェームズ・チンランド
衣装デザイン:モニク・プルドーメ
音楽:ブライアン・タイラー

キャスト

《アラン・ハックマン》・・・ロビン・ウィリアムズ
《ディライラ》・・・ミラ・ソルヴィノ
《フレッチャー》・・・ジム・カヴィーゼル
《テルマ》・・・ミミ・カジク
《ハッサン》・・・トム・ビショップ

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