原題:Lord of War

史上最強の武器商人と呼ばれた男

2005年9月16日全米公開

2005年/アメリカ映画/122分/カラー/シネマスコープ/ドルビーSR・デジタル 提供:ギャガ・コミュニケーションズ  配給:ギャガ・コミュニケーションズ powered by ヒューマックスシネマ

2005年12月17日、有楽座ほか全国東宝洋画系にてロードショー

(c)2005 Film & Entertainment VIP Medienfonds 3 GmbH & Co. KG and Ascendant Filmproduktion GmbH

公開初日 2005/12/17

配給会社名 0025

解説


ニコラス・ケイジ『ナショナル・トレジャー』主演×アンドリュー・ニコル『ターミナル』原案&製作総指揮
“武器商人”この強烈な題材が2人を引き寄せた。

戦争とは無縁。そのスタンスを守って60年の日本において、ここ近年起きている国際テロリズムや開発途上国内戦などの世界的な情勢不安は、圧倒的脅威であるとともに未曾有の恐怖を招いている。
そんな世界情勢を生みだした発端となっているのが、70〜80年代にあった冷戦とその終結にある。
冷戦終結がもたらしたのは、平和と民主主義だけではない。
冷戦終結にまつわり、膨大な数の武器・兵器が、旧ソビエト連邦からアフリカをはじめとする開発途上国へ売りに出され、内戦やテロのために使われてしまっている。
そしてその一方で、それらを売りさばいたディーラーたちは大もうけした、という事実はほとんど知られていないことなのだ。
闇に葬られつつも、多くの人が「20世紀最大の強奪である」と考えているこの事実。
なにせ、ウクライナだけでも1982年から1992年の間に、320億ドル以上の武器が盗まれているのだ。
しかも、インターポール(国際刑事警察機構)に捕まったり、告発されたりした犯人はいまだに一人もいないという……。

そんな事実をもとに、アカデミー俳優ニコラス・ケイジ扮する世界的武器ディーラー、ユーリー・オルロフを追い、国際的武器売買の世界を描いたセンセーショナル・アクション・エンタテインメント作品が、この『ロード・オブ・ウォー』だ。
この作品は、2005年9月に全米で公開されて初登場3位、公開週に920万ドルの好成績をあげている。ニコラス・ケイジが演じるのは、ウクライナ人のユーリー。幼い頃に、家族ぐるみでユダヤ系として偽称してニューヨークに暮らすようになった男だ。
ユーリーのキャラクターは、実在する5人の武器ディーラーから抽出したキャラクターを融合して構築され、架空であって架空でない、リアリズムに満ちている。
それがゆえに、この物語は俄然信憑性を増しているのだ。
監督自身も「映画の出来事のほとんどすべてに実例がある」があるとさえ言うほど、この物語には真実まじりのフィクションが多いのも、作品の特徴の一つだろう。

また一方、そのようなリアリティを持たせてしまったがために、映画の資金繰りを困難なものにさせたことも、スキャンダラスなカラーに色を添えているといえる。
なにせ、この映画が描く真の武器ディーラーは、超大国アメリカそのもの。
闇世界の武器供給の裏には、アメリカが国家として動いている事実がなくしては語れないからだ。監督も「アメリカでの資金調達は、イラク戦争勃発の1週間前に脚本が提出されたというタイミングによってさらに困難なものとなった」と語っている。
ハリウッド・ビジネスとしては実現が難しいこの企画。
結果的に、真実と脚本力、物語の正当性には、さまざまな国の支援者から協力が集まったことで、カナダのライオンズ・ゲート(『華氏911』を配給)が配給に名乗りを挙げ、アメリカ&ハリウッドを離れて、アメリカの資本がまったく入っていない“インディペンデント系の大作”として製作されることになったのも皮肉な話だろう。そのような映画だけに、キャスティングは難航……するかと思いきや、ニコラス・ケイジはユーリーの
キャラクターとストーリーに感銘を受け即座にOK。続いて共演者のイーサン・ホークは、『ガタカ』からの仲となる監督のファンでもあり、脚本を読んで出演を承諾。
ジャレッド・レトやブリジット・モイナハンなど、メジャー級の共演陣も、こぞってこの企画へ賛同し、“ユーリーが苦境に立った時にソビエト連邦が崩壊〜好機がめぐってきた”シーンのごとく歯車は回り始めた。
こうして世に披露されることになった『ロード・オブ・ウォー』。この作品は、武装でドンパチがあるアクション・エンタテインメントであると同時に、現代社会の裏縮図を垣間見る、かくも恐ろしい問題作でもあるのだ。

私は殺し屋じゃない 人を撃ったこともない。戦争で稼いではいるが、人が死なずに済めばと願ってる
—— 武器商人 : ユーリー・オルロフ (アメリカ)

ストーリー




今世界には5億5千丁の銃がある。ざっと12人に1丁の計算だ。
残る課題は——“1人1丁の世界”

ソビエト連邦崩壊前のウクライナに生まれたユーリー・オルロフ(ニコラス・ケイジ)。
彼は少年時代にユダヤ系と偽ってアメリカに家族で移住し、幼少から偽りの身元を持ちながら生活していた。やがて、彼の両親はニューヨークのブライトン・ビーチに、ユダヤ教の掟に適ったレストランをオープン。明日が見えない家業に嫌気がさしながらも、親の仕事を手伝うユーリーは、客で訪れた美女エヴァ(ブリジット・モイナハン)に一目惚れするものの、彼女はユーリーには気づかない。
そしてある日、ユーリーにとって運命的な日が訪れた。ロシア人ギャング同士の銃撃を目撃してしまったのだ。幸運にも生きて逃れられたユーリーだが、銃撃戦を見た瞬間、レストランが必要としている人に食事を提供するように、武器を必要としている人に武器を提供するのが自分の人生だと気づいてしまう。すぐにユーリーは、弟のヴィタリー(ジャレッド・レト)を説得し、武器売買事業を二人で始めることに。ユーリーは、制裁を受けて苦しむ政権に武器を売りさばきながら、闇取引の銃兵器密輸入に天性の才を見出す。才能に気づいてしまってからは絶好調のユーリー。だが、彼は商売敵の武器ディーラーや容易には引き下がらないインターポールの刑事ジャック・バレンタイン(イーサン・ホーク)の一歩先を進まねばならず、常に恐怖にさらされることになる。一方、彼の弟ヴィタリーは、自分がこのビジネスに向いていないことに気づき、コカインに溺れていた。ユーリーはヴィタリーをリハビリ施設に入れ、一人で商売をすることになってしまう。
内心怯えながらの生活、そして頼りだった弟も自分のそばから消え……。仕事だけで荒んだ気持ちのユーリーは、忘れられずにいた初恋の人・エヴァとの出会いを仕組み、手の込んだアプローチを考えた。ユーリーが国際輸送会社のリッチなオーナーだと信じこませるのだ。
ユーリーの嘘に気づかないエヴァは彼と結婚し、ニコライという男の子を授かる。しかし、ユーリーは自分を金持ちだと思わせるために見栄を張りすぎ、破産寸前になってしまい、金策に頭を悩ませることに。そんな1991年、ソビエト連邦崩壊のニュースが。元ソビエト連邦には途方もない武器の備蓄があり、今ならば敵がいないことを知っているユーリーは即座にウクライナに戻る。ユーリーはウクライナ軍の将軍である叔父と共謀し、禁輸措置に違反する数十種の武器を、リベリアの大統領と公言してはばからない将軍アンドレ・バプティストなど、アフリカの戦時下の国々に売りさばく。この作戦は大成功。なんと彼は数年の間に、エヴァに嘘をついていた財産の額を越すほどの財を築くのだ。
だが、武器流入によって起きた西アフリカの虐殺や商売敵との軋轢、そしてエヴァの疑心。
ユーリーは自分のビジネスについての葛藤を持ち始めるのだが……。

スタッフ

製作・脚本・監督:アンドリュー・ニコル
撮影:アミール・モクリ
美術:ジャン・ヴァンサン・プゾス
衣装:エリザベッタ・ベラルド
編集:ザック・ステーンバーグ,A.C.E.
製作:フィリップ・ルスレ、ノーム・ゴライトリー
製作総指揮:ファブリス・ジャンフェルミ、ブラッドリー・クランプ、アンドレアス・シュミット

キャスト

ニコラス・ケイジ
イーサン・ホーク
ジャレッド・レト
ブリジット・モイナハン
イアン・ホルム

LINK

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