原題:Lifers: Reaching For Life Beyond The Walls

人は 自分の中に 作りあげた「牢獄」から いかに自由に なれるか

New York International Independent Film and Video Festival 海外ドキュメンタリー部門 最優秀賞受賞作品

2004/日本/カラー/ドキュメンタリー/91分/ビデオ/ 製作&配給:out of frame

東京/東中野ポレポレ座 10月9日(土)から4週間ロードショー 大阪/第七芸術劇場 11月予定

公開初日 2004/10/09

配給会社名 0530

解説



Lifers ライファーズとは?                     
受刑者が300万人を超える米国。そこには10万人あまりのLifersライファーズ(終身刑、もしくは無期刑受刑者)たちが存在する。彼らは殺人や強盗などの深刻な犯罪を犯し、「更生不可能」というレッテルをはられた人びとであり、社会から忘れられた存在である。
そんなライファーズが参加している犯罪者の更生プログラム『AMITY(アミティ)』がある。カリフォルニア州・サンディエゴ郊外にあるRJドノバン刑務所。再犯率が他の刑務所と比べて3分の1も低いこのプログラムでは、約200人の参加受刑者たちが「自分がなぜ犯罪を犯すようになったのか」の問いに徹底的に向きあう。そして、それぞれが罪の償いを模索し、「どのような未来を生きたいか」というビジョンを作りあげていく。
 殺人罪や強盗罪などで服役期間が30年になるLifersの一人、レイエス・オロスコがいう。
 「釈放されるかどうかが問題なのではなくて、受刑者である私たちは、自分の中に作り上げた『牢獄』から解き放たれる必要がある。たとえ刑務所から出られなくとも、変わるチャンスが与えられれば、今までの生き方にしがみつく必要なんてなくなる。それに、いつの日か出られるかもしれないという希望があれば、頑張り通せると思う」

ドノバン刑務所のライファーズたち
TV番組の取材で出会った「犯罪者」たち                
 TV番組の取材を通して犯罪者の更生施設「アミティ」を訪れてから、10年近くたつ。その間、様々な出会いがあった。罪を犯し、刑務所に服役した後に、社会の中で生き直そうとしている人たちとの出会いである。共同生活施設に暮らす保護観察中の若者、芸術家として成功をおさめる青年、弁護士をめざして大学で学ぶ少女、デモンストレーターと呼ばれるスタッフなど。その多くは十代の頃から薬物に手を出し、他人に危害を加え、逮捕を繰り返す「凶悪」な犯罪者だったという。しかし、私の目の前にいる彼ら/彼女らは、「凶悪」という言葉からは想像もつかないほど穏やかで優しい。
「あなたが変わりたい、と思えるようになったきっかけは何だったの?」
そんな質問をどれぐらいの人に投げかけてきただろう。
そして、彼/彼女らは決まってこう答えるのである。
 「ライファーズ(終身刑受刑者)のおかげだよ」
 
暴力や犯罪に私たちはどう向き合えばいいのか?
 「凶悪」な罪を犯したライファーズとはどのような人たちなのだろう。被害者に対してどのような思いでいるのか?殺人のような取り返しのつかない犯罪に対する「償い」とは?他の受刑者や家族との関係は?塀のなかで一生過さねばならないかもしれないライファーズにとって、日々の支えとは?また遺族にとって事件からの年月とは?私たち社会は、暴力や犯罪にどう向き合えばいいのだろう。本作品は、このようないくつもの疑問からスタートしました。
 映像を通してライファーズに出会い、暴力や犯罪に私たちそれぞれがどう向き合えばいいのかを、一緒に考えてみませんか?
坂上香(監督・プロデューサー)

ストーリー

スタッフ

製作&配給:out of frame
プロデューサー・監督・編集:坂上香
撮影:南幸男(映画「自転車でいこう」)
録音:森英司(映画「ディスタンス」)
音楽:ロジャー・スコット・クレイグ(映画「ペリカン文書」)
協力:The Lifers映画支援プロジェクト Neo P&T AMITY Foundation

キャスト

ナレーション:マヤ・ムーア(ジャーナリスト)

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