強い女なんてどこにもいない。

2003年/日本/カラー/ビスタ/127分 配給:東京テアトル、ザナドゥー

2004年4月17日(土)よりテアトル池袋にてロードショー

公開初日 2004/04/17

配給会社名 0049/0103

解説


  女子プロレス、とりわけ“女子のみのによるプロレス団体”というものが存在するのは日本だけである。36年前に「全日本女子プロレス」が旗揚げして以来、現在は7つの団体がしのぎをけずる時代へと突入しているが、その歴史の中で、映画の世界においてはビュ−ティ・ペア主演の『真赤な青春』(’77/内藤誠監督)、長与千種主演の『リング・リング・リング』(’93/工藤栄一監督)、ガイア・ジャパンを舞台にした海外製作のドキュメンタリー『GAEA GIRLS』(’02/ジャノ・ウィリアムズ、キム・ロンジノット監督) などが製作・公開されてきた。そして今ここに、日本独自の“女子プロレス文化”の存在意義に答える青春群像劇の傑作が誕生した。
 物語の舞台となるのは弱小女子プロレス団体“ガリンペイロ女子プロレス”。レスラー役には実在する女子プロレス団体、《JD STAR / ATHTRESS》の面々が扮し、演技、プロレスシーンとも、体当りで挑み、プロレス映画史上未だかつて無い迫力あるプロレスシーンを展開する。
 そのガリンペイロ新社長に就任する主人公・細谷伸一には、『ROCKERS』『木更津キャッツアイ 日本シリーズ』などで人気急上昇中の岡田義徳が扮し、軽妙さと熱血ぶりを兼ね備えた演技で魅力を発揮。リングに叩き付けられ、様々なプロレス技をかけられるシーンでは、本人の「その時感じる痛み、つらさをそのまま表現したい」という希望でリハーサル無しで挑んだ。ライバルであるJリング社長に扮する麿赤兒(『KT』『ナイン・ソウルズ』)との芝居でのマッチアップは見所充分である。
 また、団体の命運をかけて戦うタッグチーム“天使と悪魔”の可憐な桐島役には、新人の鈴木美妃が大抜擢。約2ヶ月間のトレーニングを積み、撮影時には本物のプロレスラーとも見間違うばかりの見事な体つきで登場。体中に痣をつくりながらも、ほとんどの格闘シーンも吹き替えなしでの参加をこなした。
 一方、中島役を演じるのは映画版『プレイガール』などにも出演するアストレスで抜群の人気を誇る石川美津穂。現役プロレスラーとして、女優としての当たり役を見事に演じ、終盤のリング上での立ち回りは鬼気迫る迫力がみなぎっている。
 更にライバル団体Jリング最強タッグの木幡・田島組にはアストレスの “妖艶なる女王様”東城えみと、そしてこの映画のために復活した永遠のアイドル・レスラー、キューティー鈴木がタッグを組み、更にジャガー横田といった往年の名レスラーまでが顔を揃えた。またアナウンサー役には女子プロレスの生き証人・志生野温夫が登場し、往年の名調子で花を添えている。エンディングテーマ曲は近年サウンドトラック制作にも意欲的なbice(TBS「きみはペット」)の書き下ろしの新曲「部屋」。そして監督は『JOKER 疫病神』『仮面学園』の小松隆志。長年の夢だったプロレス映画のメガホンを取り、その“プロレス愛”を全面開花させた入魂の一作となった。

ストーリー

 落ち目の女子プロレス団体“ガリンペイロ”の創設者にして女社長であるアイアン飯島が死んだ。その遺書には、周囲には知られざる息子・伸一に後を頼むというメッセージが……。
 残された女子レスラーたちは伸一を捜し当て社長になるよう頼むが、クラシック音楽と料理を愛し、医者となるべく医大で研修医生活をしていた伸一は相手にしない。
 しかし、病院で展開される女子レスラーたちの度重なる厚かましい勧誘活動で医大を追い出された伸一は、ガリンペイロの道場の上にある社長室での生活を始めることになる。
 折しも、度重なる上司のセクハラに辟易し会社を飛び出した、気弱で可憐な桐島みどりと、元ヤンキーでウェイトレスをしていた喫茶店をもクビになった空手使いの暴れ者・中島涼子の2人も、ひょんなことからこの団体に転がり込んでくる。伸一は他のレスラーにはない可憐さを持った桐島に胸がキュンとなるが、伸一に熱い視線を送るのは自分の唯一の理解者であった亡き兄の面影を見る中島だった。そして桐島は…。
 やがて2人はデビューし、今までのガリンペイロには無かったタイプのレスラーとして注目され、伸一はこの二人にタッグチーム“天使と悪魔”を結成させる!当の伸一も相手レスラーたちにリング上でいたぶられたりしながら、若さとルックスの良さで、若い女性の黄色い歓声を浴びはじめた。
 少しずつガリンペイロの人気が上がり出す頃には、伸一も自分が歩んで来た人生には無かった彼女たちの型破りな生き方、不安定な生活に身を置きながらも真剣にプロレスに取り組む姿勢を見て、少しずつ“プロレス”に興味を持つようになる。
 しかしそんな矢先に営業担当の持ち逃げ事件が発生し、経営困難となったガリンペイロは、大手Jリングの勧めで解散・合併へという筋書きに乗っとった試合を組むことを余儀無くされる。その大一番でメインに抜てきされたのは桐島と中島。そして桐島はある計画を中島に打ち明ける。
 試合後に本気でJリングを怒らせ、遂に女子プロレス界最強タッグといわれる木幡・田島組との、選手生命と互いの会社の存続を賭けた、人生を左右する大一番に2人は挑むことになる。そして桐島の結末は……。
 この映画は一般の社会に居場所を無くした2人の女の子と、“女子プロレス”という世間に見過ごされがちな“野に咲く花”の美しさに気づき、それを守ろうとする男のユーモラスで切ない物語である。

スタッフ

監督:小松隆志
プロデューサー:榎本憲男
原作・脚本:EN
撮影監督:坂江正明
美術監督:大庭勇人
編集:足立浩
録音:福田伸
スーパーバイザー:松本進介
音楽:遠藤浩二
主題歌:『部屋』
唄:BICE & 及川りん
作詞:EN
作曲:BICE
企画:東京テアトル、JDスター
制作:アスク・コミュニケーションズ
製作:「ワイルドフラワーズ」製作委員会
  東京テアトル、レントラックジャパン、ケイブ、ザナドゥー、ツイン
配給:東京テアトル、ザナドゥー

キャスト

岡田義徳
石川美津穂
鈴木美妃
麿赤兒
高畑淳子
東城えみ
キューティー鈴木
つぐみ
マギー
ジャガー横田
二階堂智
ATHTRESS
JD STAR

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