原題:Les Invasions Barbares

2003年アカデミー賞外国語映画賞受賞 2003年ナショナル ボード・オブ・レビュー最優秀外国映画賞受賞 2003年カンヌ映画祭・最優秀脚本賞、最優秀女優賞受賞 2003年トロント映画祭最優秀作品賞受賞

2003年/カナダ・フランス合作/99分/ 配給:コムストック

2004年10月22日よりDVD発売開始 2004年10月22日よりビデオレンタル開始 2004年4月24日よりシネスイッチ銀座、関内MGAほか全国劇場にて順次ロードショー!!

公開初日 2004/04/24

配給会社名 0028

解説


偏屈パパの素晴らしき人生

 あなたはどんな最期のひと時を過ごしたいですか。周りに悪態をついてでも、最期まで自分の人生を謳歌したいと思いますか。
女と書物とワインを愛した偏屈パパ、レミの人生の終幕をみつめた『みなさん、さようなら』は、2003年のカンヌ映画祭を涙と笑いに包み、いちばん長く熱狂的な拍手で迎えられた話題作。そして、同映画祭の脚本賞と主演女優賞に輝いたのちも、世界各国で数々の賞を受賞し続けている期待の作品だ。

「贅沢な病院は主義に反する」と、廊下にまでベッドがひしめく公立病院に入院した主人公のレミ。大学で歴史学を教えていた彼は、証券ディーラーの息子、セバスチャンを「1冊の本さえ読まない最低の人間」とののしる破天荒な享楽的社会主義者だ。息子の思いがけない愛情と、それにもまして温かい友情という精神的なモルヒネを受けたレミは、相変わらずの毒舌を吐きながらも、自分に残された最期の日々を楽しもうとする。病室で開かれる大宴会で、あるいは星空の下で焚き火を囲みながら、互いにたいしたことのないバカな人生だった笑いあうレミと友人たち。そこに、太平洋を航海中のレミの娘からビデオ・メールが送られてくる……。

主人公のレミには、ドゥニ・アルカン監督作品の常連で、『モンオリオールのジーザス』(‘89)でジェニー賞の助演男優賞を受賞したレミ・ジラール。死を宣告されながらも、なお人生を謳歌する素晴らしいレミ役を演じた。その息子セバスチャンには、コメディアンとしてフェリックス賞などの栄誉ある賞を受賞、カナダ国内で「お笑い界のブラッド・ピット」と呼ばれる人気を誇るステファン・ルソー。また、レミとの触れ合いを通じて人生の価値にめざめていくヤク中娘のナタリーには、『渦』(’00)のヒロインとして脚光を浴びたマリー=ジョゼ・クローズが扮し、本作で見事にカンヌ映画祭の主演女優賞に輝いた。

監督・脚本は、『アメリカ帝国の滅亡』でカンヌ映画祭の国際映画批評家連盟賞を受賞し、『モントリオールのジーザス』でも同映画祭の審査員賞を受賞、アカデミー賞外国語映画賞にも二度ノミネートされているドゥニ・アルカン。登場人物に温かなまなざしを注ぎながら、辛口のユーモアで20世紀の歴史を総括していくドラマの語り口に、カナダを代表する巨匠の腕前を存分に発揮している。

「私は生まれたときから情けない男だった」と語るレミと正反対の人生を選んだセバスチャンはどのように本当の彼を知っていくのか。父と息子、娘、友人たち。20世紀後半に青春を過ごし、21世紀を迎えた今、“9.11”を記憶して逝くレミのパワフルで愛しい人生に、私たちは希望と涙と優しさを覚えずにはいられない。それはまるで私たちの父への想いと重なり、その素晴らしき人生に拍手を送りたくなるだろう。

ストーリー


 ロンドンの証券ディーラーとして成功をおさめたセバスチャン(ステファン・ルソー)のもとに、1本の電話がかかってきた。それは、カナダのモントリオールに住む母ルイーズ(ドロテ・ベリマン)からのものだった。「パパの具合が悪いの。帰ってきて」。
セバスチャンは、とまどった。大学で歴史学を教える父のレミ(レミ・ジラール)は、女グセが悪く、家族をさんざん泣かせてきた人物。15年前に両親が別れて以来、彼とほとんど口をきかなくなってしまったセバスチャンは、ぜったい父のようになるまいと心に誓い、これまでの人生を歩んできたのだ。しかし、母の口調に切迫したものを感じたセバスチャンは、婚約者のガエル(マリナ・ハンズ)を伴って、故郷に舞い戻った。
 
社会主義を信奉するレミは、自身の政治的信念に従って、設備の整っていない公立病院の大部屋に入院していた。そんな彼に最新の治療を受けさせようと考えたセバスチャンは、CTスキャンの検査を受けさせるため、アメリカの病院に連れて行く。「クリスマスにはCTスキャン、復活祭には墓場だ」と、検査を受けながらも毒舌がやまないレミ。彼がうすうす感じていたとおり、検査の結果は治療の手の施しようがない末期ガンだった。「友人を呼んで楽しい病室にして」という母ルイーズの頼みを聞き入れた彼は、自分自身が、父の<幸せな最期>の演出家になろうと決意する。
 
まず、ヨットの護送の仕事で太平洋上にいる妹のシルヴェーヌ(イザベル・ブレ)と連絡を取ったセバスチャンは、衛星通信を使ったビデオ・メールをパソコンにダウンロードし、レミの病室に届けた。久々の娘との再会に、泣き笑いの表情を浮かべるレミ。さらに、父を友人が集まれる広さの病室に移したいと考えたセバスチャンは、病院の経営者、組合と交渉。袖の下を使い、階下のフロアを改装して父専用のキッチン付き病室を作り上げる。まもなくその病室は、セバスチャンの呼びかけに応じて世界のあちこちから集まってきたレミの友人たちのにぎやかな笑い声で満たされることになった。いっぽう、アメリカの友人の医者から、末期ガンの痛みをやわらげるのにヘロインを使う試験治療の話を聞いたセバスチャンは、危険を覚悟で、麻薬常用者のナタリー(マリー=ジョゼ・クローズ)を父のヘロイン治療の世話係として雇う。
レミが最期の時を迎える別荘には、ナタリーも同行した。その数日前、自分が麻薬で酩酊状態になり、レミを禁断症状で苦しめる事件を起こした彼女は、麻薬と縁を切る覚悟を決め、中毒治療を開始していた。レミ本人はまったく意識していなかったが、彼と過ごす時間を通じて人生がいかに愛すべきものかを学んだナタリーは、レミの最後の教え子と呼べる存在になっていた。
そして、いよいよ別れの時が来た。シルヴェーヌからの二度目の衛星メールが届いた日、レミは家族と友人たちに別れを告げた。「みんなとささやかな時間を過ごせて幸せだった。君らの笑顔に送られて逝くよ」。ヘロインで薄らいでいく意識の中で、レミは静かに微笑む。少年時代の彼を夢中にさせた初恋の女性、イネス・オルシーニの太ももを思い浮かべながら——。

スタッフ

監督・脚本: ドゥニ・アルカン
プロデューサー: ドゥニーズ・ロベール、ダニエル・ルイ
共同プロデューサー: ファビエンヌ・ヴォニエ
撮影監督: ギィ・デュフォ
美術: フランソワ・セガン
編集: イザベル・ドゥディユ
衣裳デザイン: ドゥニ・スペルドゥクリ
音楽監督: ピエール・アヴィア
キャスティング: リュシー・ロビタイユ
提供:コムストック、テレビ東京、博報堂DYメディアパートナーズ    
協力:カナダ大使館
配給:コムストック

キャスト

レミ・ジラール
ステファン・ルソー
マリー=ジョゼ・クローズ
マリナ・ハンズ
ドロテ・ベリマン
ジョアンヌ=マリー・トランブレイ
ピエール・キュルジ
イヴ・ジャック

LINK

□公式サイト
□IMDb
□この作品のインタビューを見る
□この作品に関する情報をもっと探す