原題:A Talking Picture Un Film Falado

ポルト、マルセイユ、ポンペイの旧跡、アテネ、 エジプトのピラミッド、イスタンブール…。 母と娘の地中海を巡る船旅は、 遥かなる時空の旅だった。

2003年/ポルトガル=フランス=イタリア/カラー/96分/ 配給:アルシネテラン

2004年4月17日よりシャンテシネにてロードショー

公開初日 2004/04/17

配給会社名 0013

解説


驚異的なパワーの持ち主 マノエル・ド・オリヴェイラ

2003年ヴェネツィ7国際映画祭で木作品が上映されるやいなや、惜しみない賞賛と割れんばかりの大喝采で迎えられた95歳の巨匠マノエル・ド・オリヴェイラ。90年代以降、年に1本という驚異的なペースで世に作品を送り出し、その作品はいずれもカンヌ国際映画祭をはじめとする世界的な映画祭で出品され大絶賛を受けている。2001年ヴェネツィア国際映画祭で、これまでの功績に対しブレッソン賞を受賞したことは記憶にも新しいが、本年度は更にイタリアで、ゴダール、ヒッチコック、カザンなど錚々たる巨匠が受賞した名誉ある‘Maestros of cincma’を受賞した。私達が毎回驚かされるのは、彼の制作意欲もさることながら、送り出される作品が絶えず新鮮であるということであろう。年を追っても衰えることのない独特の映像表現や映像美は、絶えず新しいメッセージ性を持って私達に届けられている。
今回、監督の撮影スケジュールの合間をぬって、小津安二郎生誕100年シンポジウムヘの正式参加が可能となり、夢のような来日が実現した。小津安二郎と同じ12月12日に誕生日を迎える(出生は11日。公文書の手続きが12日)マノェル・ド・オリヴェイラが来日を果たすのは、97年に『世界の始まりへの旅』で特別功労賞を受賞した第10回東京国際映画祭への,参加に続く2回目である。本作品で長く果てしない文明と人類の歴史を巡る大航海の旅を描き上げたオリヴェイラだが、この奇跡のような来日を果たすにつき、彼の人生の深さを感じずにはいられない。

古代文明と西欧文明——今、長い長い人間の歴史と文化の足跡を辿る航海が始まる。

かつてのポルトガルの全盛期を現代に伝えるベレンの塔をはじめ、オデュッセウスの物語で有名なナポリの卵城、ギリシャのアクロポリスの丘、そして古代文明の最高峰エジプトのピラミッド…。二人が旅をするのは幾千年の時をかけて現代へと受け継がれてきた長い歴史の軌跡だった。どうしてなの?と問いかけるマリア=ジョアナの好奇心は留まるところを知らない。歴史学者であるローザ=マリアのアクロポリスの丘で語られる女神アテナの物語や、中世時代の物語にスクリーンを観ているうちにすっかり引き込まれ、思わず彼女たちと一緒に長い長い時空の旅をしているような感賞に囚われる。

豪華キャストが集結し、客船の上で繰り広げられる華麗な人生論。

カトリーヌ・ドヌーヴ演じるフランスの企業家のデルフィーヌは、独立心が旺盛で束縛を嫌う自由主義者。ステファニァ・サンドレッリが演じるフランチェスカは、かつてファッションモデルとして一世を風靡するが、愛こそ暴君だと自分の人生を振り返る。イレーネ・パパス演じるヘレナは、ギリシャ人女優で芸術に生きるほどの幸せはない、と瞳を輝かせて演劇の魅力を語る。マリアとローザが招待された船長であるマルコヴィッチがホストを務めるこのテーブルでは、それぞれが、それぞれの国の言葉(フランス語・イタリア語・ギりシャ話・英語・ポルトガル語)を使っているにも関わらず、お互い理解しあいながら愛や、人生を語り合っている。ヨーロッパ各国を代表する名俳優の華麗なる競演に、すっかり魅了されてしまうことだろう。

ストーリー



2001年7月、7才の少女マリア=ジョアナは母親のロザーマリアと一緒に、インドのボンベイにいるパイロットである父親に会うために船旅に出発した。歴史の教授であるローザ=マリアは、これまで本の中でしか知らなかった世界をその目で確かめたかったのだ。

セウタからはじめり、マルセイユ、ポンペイの旧跡、アテネ、イスタンブールや、エジプトのピラミッド…。
それは、西洋文明に大きな影響を残し続けている、幾千年にも渡る地中海文明を巡る遥かなる時空の旅だった。—古代エジプトや古代ギリシャから古代ローマ、コンスタンティノープル(現代のイスタンブール)、ポルトガルの発見、アラブの影響、自由と平等と友愛のもとに革命を起こしていたフランス、またインド洋への航路であり、ヴァスコ・ダ・ガマが発見したインド航路の半分の距艇でインドにたどり若くことができるスエズ運河…。それらの旧跡を前に語られる、ローザのオデュッセウスの物語や、ローマ神話のお話は、どれもこれも、これまでマリアが知らなかった世界の話だった。人間って、どうして戦争をするの?モスクってなに?中世ってなに?などマリアの好奇心は留まるところを知らない。

ある夜、マリアとロザは、ポーランド系アメリカ人の船長(ジョン・マルコヴィッチ)のテーブルに招かれた。そこには大会社の社長であるフランス人デルフィーヌ(カトリーヌ・ドヌーヴ)、元モデルのイタリア人フランチェスカ(ステファニア・サンドレッリ)や、舞台を愛する女優であり教授でもあるギリシャ人のヘレナ(イレーネ・パパス)といった、異なる国籍を持つ3人の素敵な女性が楽しく人生を語り合っていた。船長のテーブルに集まった人々は、不思議なことに、それぞれが自国の言葉を話していた。そこでは全員が別の者が話す言葉を理解していて、まるで世界には言語という隔たりがないのではないかと思うほどだった。マリアはそこで船長がアデンで買った可愛いお人形をプレゼントされた。そして、そのお人形はマリアにとって片時も離れることの出来ない宝物となっていった……。

スタッフ

監督:マノェル・ド・オリヴェイラ
脚本・台詞:マノエル・ド・オリヴェイラ
製作:パウロ・ブランコ
美術:ゼ・ブランコ
衣装:イザベル・ブランコ
撮影:エマニュエル・マシュエル
録音:フィリップ・モレル
記録:ジュリア・ブイゼル
助監:ジョゼ・マリア・ヴァシュ・ダ・スィルヴァ
編集:ヴァレリー・ロワズルー
製作担当:アレクサンドル・ヴァラント

キャスト

ローザ・マリア:レオノール・シルヴェイラ
ヘレン:イレーネ・パパス
デルフィーヌ:カトリーヌ・ドヌーヴ
フランチェスカ:ステファニア・サンドレッリ
ルイス・ミゲル:ルイーシュ・ミゲル・シントラ
マリア・ジョアナ:フィリパ・ド・アルメイダ
ジョン船長:ジョン・マルコヴィッチ

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