原題:薔花、紅蓮/A TALE OF TWO SISTERS

薔薇と蓮の花の名を持つ美しい姉妹。 彼女たちが語る、語りつくせぬ物語。

2003年6月13日韓国初公開

2003年/韓国/ヴィスタ(1.85:1)/カラー/ドルビーSRD/全6巻/115分/字幕翻訳:根本理恵 小説版「姉妹 ─ Two Sisters ─」吉村達也著(角川ホラー文庫刊) 提供:コムストック+日本テレビ放送網+博報堂DYメディアパートナーズ+角川映画 配給・宣伝:コムストック 宣伝協力:メディア・スーツ

2004年12月24日よりビデオレンタル開始 2004年12月24日よりDVD発売開始 2004年7月24日より新宿シネマミラノ、梅田ピカデリーほか全国拡大ロードショー

公開初日 2004/07/24

配給会社名 0028

解説


スティーブン・スピルバーグが史上最高額でリメイク権を獲得した、究極の号泣ホラー
『リング』、『呪怨』の大ヒットから端を発し、ホラー映画の世界では今やメイン・ストリームとなった”アジアン・ホラー”。

映画『ラブストーリー』、TV『冬のソナタ』で”泣ける”映像表現においてはハリウッドを凌ぐメロドラマ大国の韓国が、圧倒的な恐怖を味わわせながら切なさに涙させる全く新しい号泣ホラーを誕生させた。
2003年6月に公開され、韓国映画史上NO.1のオープニング週動員新記録を樹立した本作。
韓国では誰もが知っている古典の怪談「薔花紅蓮伝」をベースに、怨霊に取り憑かれた家に住む美しい姉妹を襲う世にも奇怪な出来事をスタイリッシュなタッチで描く、恐ろしくも切ない物語。
悲鳴と涙の二重奏が、あなたを襲う??。

なぜ怨霊に取り憑かれたのか?
誰が呪われているのか? この家で何が起こったのか?
美しい姉妹を襲う謎と怪奇現象の洪水。
恐ろしい秘密は”箪笥”の扉の向こうに隠されていた。

本作の基になった「薔花紅蓮伝」は、仲の良い姉妹が継母の陰謀で無念のまま亡くなり、怨霊になるという典型的な、継母を悪人に設定した悲劇である。
韓国の古典の中でも、もっとも残酷で恐ろしいこの話を、斬新なブラック・ユーモアで世界の映画人を驚かせた『クワイエット・ファミリー』(98)の監督キム・ジウンは、モチーフのみを借用し、結末の予測できないホラー映画として現代的に再構築した。
妙に大人びて、度が過ぎるほど親密な二人の姉妹。
病的なまでに完璧な家庭を夢見る若き継母。
無表情に、常に家族を傍観している父親。
映画『箪笥』の家族4人はどこか張りつめた緊張感の中で暮らしている。
表面的には、継母と先妻の子達の間に起こる神経戦と見えるが、彼らの確執は、互いへの憎悪と猟奇的で暗く閉ざされた秘密に満ちていた。
その秘密が徐々にベールを脱ぐ過程で、緊張感は身の毛もよだつような恐怖となり、家族は世の中で最も恐ろしい存在へと豹変する。
姉妹の身近にある”箪笥”の扉が開かれたとき、物語はクライマックスを迎え、恐怖は息を呑むような切なさへと変貌を遂げるのである。

今までの韓国映画界の常識を全て破り、ホラー映画の最前線へ

『悪魔の棲む家』、『シャイニング』を持ち出すまでもなく、”家”そのものが恐怖の主役として設定されるのは西洋のホラー映画においては常套手段のひとつと言える。
本作は、ホラー物の中で最もポピュラーなアイテムとしての”家”を物語の第2の主役としているが、これは韓国映画史上においては初めての試みである。
そのために、韓国映画としては初となる美術監督とアート・ディレクターを起用し、衣装、小道具から室内のインテリア、家の外観まで徹底したスタイルの追及がなされた。
さらにインターネット上で”恐ろしい話”を公募し、それをシナリオに生かすといった新しい創作方法も試みられ、『箪笥』の斬新な製作体制は、ネット先進国である韓国で話題となり、公式HPはオープンから3日間で10万人を超えるアクセスが殺到するという社会現象を巻き起こすに至った。

美しいからこそ、増す恐怖

映画『箪笥』のイメージは、美しさの中に閃光のように潜んでいる恐怖をつかみ出す。
ホラー映画といえば一般的に、暗くくすんだ画面、残忍で目をそむけたくなるような場面などが思い出されるが、『箪笥』はこういったホラー映画の常識を完全に覆す。
姉妹がこの家に初めて到着したときの幸せな時間を見せる場面は、一幅の絵画のように美しく、思春期の少女たちの、鋭敏で不安定な心理をとらえている。
まぶしい太陽の光の中に、不安げに波打つ水、少女たちの純粋でありながら、激しい衝動を秘めた胸の内。
これらは映画が単に霊や怪物のような外面の恐怖でなく、少女、そして家族の内面的な恐怖を描いていることを表現している。
『箪笥』は、「古典的な怪談」と「霊に取り憑かれた家」という分かりやすい仕掛けを用意しながら、本質的な恐怖は人間の内面の奥底にある罪の意識であることを雄弁に語っている。
単に観客を驚かすだけの特殊効果の代わりに、叙情的で美しい音楽、繊細な画面構成、緻密な音響設計等によって、観客も徐々に登場人物の内面的な恐怖を一緒に体験しているかのような気持ちになる。
従って、映画を見終わった後では「怖い」という気持ちから一歩進んで「美しく、哀しい」という印象が残る。
こうした一種複雑な情緒表現が恐怖の余韻をより大きくし、”号泣ホラー”という全く新しいスタイルを誕生させた。

ストーリー



その扉の向こうには、家族の哀しくも残酷な過去が封印されていた。
それは、絶対に開けてはならない扉だった…
ソウル郊外に静かに佇む一軒家。
到着した車からスミ、スヨンの美しい姉妹が降り立った。
長期入院を終えて帰ってきたふたりを、継母のウンジュは笑顔で迎えるが、どこか冷ややかな表情をしていた。

一方、姉・スミはそんなウンジュのことを明らかに毛嫌いし、妹・スヨンは少し怯えていた。

その夜、スヨンは部屋に何者かの気配を感じ怖くなり、スミのベッドに潜り込んできた。
「私が守ってあげるからね」とスヨンを抱きしめるスミ。
しかし、そのスミが悪夢にうなされることになる。
それは、亡くなった実母が血を流す幽霊となり蘇るものだった。
あの女もおかしいし、この家も変よ…

その悪夢以来、家のあちらこちらで怪奇現象の連鎖が巻き起こる。
神経質なウンジュは情緒不安定になり、姉妹とたえず言い争い、スヨンを守ろうと必死のスミは、ウンジュへの敵対心と憎悪を募らせる。
父のムヒョンは、妻と娘たちの不和を知りながらもなぜか傍観していた。

ある日、家族の均衡関係に決定的な亀裂が生じる。
スヨンを箪笥に閉じ込め折檻した事実を知ったスミがウンジュへの敵意をあらわにし、父に訴える。
しかし、意外なことにムヒョンは娘の陳情に対して「いい加減にしろ!」と諌めるのだった。

そこには、誰もが予想もしなかった悲しくも残酷な現実が待ちうけていた。

すべての恐怖を支配する家族の”ある記憶”は、スヨンの部屋に置かれた箪笥の中に静かに封印されていたのだった…

スタッフ

製作総指揮:チェ・ジェウォン
監督:キム・ジウン
製作:オ・ギミン/オ・ジョンワン
製作補:キム・ヨン
脚本:キム・ジウン
撮影:イ・モゲ
照明:オ・スンチョル
編集:コ・インピョ
美術:チョ・グンヒョン
衣装:オク・スギョン
音楽:イ・ビョンウ

キャスト

イム・スジョン
ムン・グニョン
ヨム・ジョンア
キム・ガプス
パク・ミヒョン
ウ・ギホン
イ・スンビ
イ・デヨン
ノ・スンジン
ソン・イニョク
イ・ヨンシル

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