ウィニング・パス

車椅子がコートを疾走する。
　
目を見張るスピードと鋭いターンの切り返し。
激しい接触プレーが連続し、選手の転倒も当たり前の世界……。
競技用車椅子を緩急自在に操り、所せましと繰り広げられる白熱のプレーは、見るものを圧倒し一気に引き込んでしまう。

本作は、アジア初・「ゴールドカップ」（パラリンピックと並ぶ世界最高峰の車椅子バスケ選手権大会）開催地の北九州市を舞台に、車椅子バスケにかける高校生の青春群像を描く。
不慮の事故で下半身不随になった健太は、これから車椅子の生活になってしまうという現実を受け入れられないでいた。
そんな中、リハビリを始め、様々な出会いがあり、少しずつ何かがふっ切れていく健太。
そして、車椅子バスケとの出会い…。
今まで体験したこともないような、健太の新しい挑戦がいま始まった。

地元の人たちと共に作られる映画。
　
撮影は、ほぼ全編が北九州市内で行われる（7月20日頃〜8月20日頃）。
クランクイン前から地元の期待と注目は、「市民応援団」の結成や北九州FC（フィルム・コミッション）を軸とする行政の全面的協力で大きな高まりを見せ始めている。
完成予定は11月下旬で、その後北九州市にて劇場公開が行われる。

監督は、山本薩夫、深作欣二、市川崑、熊井啓といった日本を代表する監督たちのもとで修業をつんだ中田新一。
井上ひさし原作のベストセラーで、犬が主人公の痛快活劇「ドン松五郎の生活」をヒットさせ、1999年には、日中戦争時代をモチーフに、平和の大切さを問いた力作「チンパオ」を手がけ、市民レベルでの日中友好の架け橋を担った。
プロデューサーは、山本おさむ原作「どんぐりの家」（ビッグコミック連載）や映画の街・京都市との提携作、ろうあ者の女優・忍足亜希子主演「アイ・ラヴ・フレンズ」など、福祉や環境の分野で映画作りを手がけてきた中橋真紀人。
バリアを突き破る車椅子バスケの魅力に感銘し、「ウィニング・パス」を企画。
また、音楽監督には、2001年〜2002年のNHK連続テレビ小説「ほんまもん」の記憶も新しい千住明。
最近の邦画ヒット作「黄泉がえり」の音楽も手がけ話題を呼んでいる。
　
主演は、ホリプロ期待の若手俳優・松山ケンイチ。
ホリプロ×Boon×PARCOの共同企画「New Style Audition」でグランプリを受賞後、本格的にモデルデビュー。
NTV「ごくせん」や今年公開の「アカルイミライ」（黒沢清監督）、「KAMACHI」（望月六郎監督）などに出演が続き、本作が映画初主演となる。