原題:SITCOM

フランス映画のイメージを覆す衝撃の新星、フランソワ・オゾン登場!

☆1998年カンヌ国際映画祭批評家週間正式出品 ゆうばり国際冒険ファンタスティック映画祭'99に出品

1998年5月27日フランス初公開

1998年フランス映画/カラー/35mm/1時間20分/ヴィスタサイズ 日本語字幕:寺尾次郎 配給:ユーロスペース

2003年01月24日よりDVD発売開始 2000年10月22日よりビデオ発売・レンタル開始 1999年4月3日より渋谷ユーロスペースにて公開

公開初日 1999/04/03

配給会社名 0131

解説


一くせもも、二くせもあゲイ・センス、簡潔な構図と鮮やかな色彩感、軽快にグサっと本質をつく演出、真実が持つ毒をたっぷり含んだユーモア…それらを持ったフランス映画界の新星がフランソワ・オゾンなのです。8ミリ片手にパリ第一大学の映画コースに通い修士号取得。在学中、学者の両親・兄弟姉妹・友人らを出演者に8ミリ映画を30本以上製作。22歳の時に映画学校FEMIS(フェミス)の監督コースに入りなおし卒業後、助監督にはならずに直ちに監督として才気煥発の短編映画を連発。高い傑作で次々と賞をさらって短編の王者の異名をとりました。破格のの活躍ぶりにフランス映画の次代を狙う最有望な新人として、長編への期待が高まっていた時に登場したのが本作『ホームドラマ』です。250万フランの超低予算、ひと月ほどの撮影期間とはいえ、これで話題にならない筈がなく、さっそく’98年カンヌ国際映画祭批評家週間の上映作に選出されました。ところが昼の上映では不快そうな退出者が続出。「吐き気がする」「暴露的」「モラルがない」と悪評が渦巻き始めました。が、その口コミが功を奏してか夜の上映では退出者もなく大盛況・大拍手。「カフカ的ユーモア」「ダイナマイト満載のおとぎ話」「現代社会をあばく容赦ないコメディ」と絶賛が相次ぎました。この賛否両論は予想通りとはいえ、オゾンの確信犯的ブラック・コメディの本質をよく表す結果となりました。一匹のモルモットがある種の感染源(または共振装置)として登場人物たちの隠された欲望・本能・無意識を暴いていき、家族を内側から崩していく。ホモセクシャル、バイセクシャル、自殺常習、身障者、SM、乱交パーティ、母子相姦、サイコセラピー、スプラッタ、メロドラマが連鎖的に押し寄せ、思いも寄らぬ円満解決へと観客を連れ去ってしまう。童話か、寓話か、ホラーか…。崩れつつも危ういバランスを保とうとするその絶妙な感覚はオゾンならではの世界といえるでしょう。

ストーリー



真っ赤な幕が開く。車が木立をゆっくり走ってきて豪邸の前で停まる。車から降りた男がドアに姿を消すと一斉に「ハッピー・バースディ・トゥー・ユー」の歌声が聞こえる。それから少しの沈黙の後、カチャリと引き金を引く音。そして続く悲鳴と銃声。豪邸は何も無かったかのように佇み、鳥のさえずりだけの静けさを取り戻す。
数ヶ月前、家政婦として雇われたマリア(ルシア・サンチェス)が、この家にやって来た。一家は父親のジャン(フランソワ・マルトゥレ)、母親のエレーヌ(エヴリーヌ・ダンドリイ)、娘のソフィ(マリナ・ド・ヴァン)、息子のニコラ(アドリアン・ド・ヴァン)の4人家族。その日、ジャンが大きなカゴをぶら下げて帰宅する。カゴの中にはネズミが一匹入っていた。エレーヌはこの不潔な動物の出現に驚いて飛びのき、ニコラの部屋へ持ち込むよう頼む。ネズミを部屋へ連れていったニコラは、ネズミをカゴから出して触ってみる。その夜、マリアとその夫アブドゥ(ジュール=エマニュエル・ヨウム・デイド)を招いた夕食会が、なごやかな雰囲気ですすむなか、ニコラが突然ゲイであること告白する。エレーヌだけがひどく動揺するが、マリアの提案でアブドゥがニコラの説得に向かう。しかし、アブドゥはネズミをかまっているうちに指を噛まれ、ニコラにゲイの道の手ほどきをしてしまう。エレーヌがニコラの様子を見に行くとシャツをスボンにしまいながらアブドゥが部屋から出てきた。心配いらないというアブドゥの言葉にエレーヌは心から感謝する。夜、リビングに移されたネズミを、ソフィが恍惚として身体に這わせている。その直後からダヴィットへの態度が一変し、真夜中、ソフィアは何かに導かれるように窓から身を投げる。ソフィアを見つけて失神するエレーヌ。…やがてそこから家族の崩壊が始まる。

数ヶ月後。エレーヌは精神科医(ジャン・ドゥーシェ)のカウンセリングを受けていた。ソフィは車椅子に乗っており、別人のように社交的になったニコラは部屋で怪しげな研究会を開き、ジャンは相変わらずこれらの事に深く関ろうとしていない。マリアはソフィの介護という名目で家事を放棄してしまっていた。
崩れてしまった家族。やがて、なんとか元どおりにするため、エレーヌが田舎へ行って4日間のセラピーをうけようと提案する。ジャンは早々にセラピーには参加しないと結論を出し、クロスワードをはじめた。ニコラとソフィは同意し、3人はセラピーを受けることになるが…。

スタッフ

監督・脚本: フランソワ・オゾン
撮影: ヨリック・ルソー
助監督: ジャン・ギヨーム・マチュー、ギレーヌ・ユエ
録音: フランソワ・ギヨーム
編集: ドニミク・ペトロ
オリジナル音楽: エリック・ヌヴー
美術: アンジェリック・ビュロン
ネズミの調教師: ブリュノ・サルバドール
メイク: アニエス・モルリジェム
スチールカメラマン: ジャン=クロード・モアロー
プロデューサー: オリヴィエ・デルボスク、マルク・ミソニエ
製作: フィデリエ・プロダクション

キャスト

エレーヌ: エヴリーヌ・ダンドリイ
ジャン: フランソワ・マルトゥレ
ソフィ: マリア・ド・ヴァン
ニコラ: アドリアン・ド・ヴァン
ダヴィッド: ステファーヌ・リドー
マリア: ルシア・サンチェス
アブドゥ: ジュール=エマニュエル・ヨウム・デイド
精神科医: ジャン・ドゥーシェ

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