第4回東京フィルメックス2003コンぺティション部門出品作品::http://www.filmex.net/ 第16回東京国際映画祭・NCFメディア・セレクション2003出品作品::http://www.tiff-jp.net/

2003年/日本/カラー/118min/ビスタサイズ/DTSステレオ 配給:東北新社

2007年12月21日よりDVDリリース 2003年12月20日よりシネセゾン渋谷他にて全国ロードショー

(c)「アイデン&ティティ」製作委員会

公開初日 2003/11/25

公開終了日 2003/11/25

配給会社名 0051

解説


ある時代のある年、日本中が束の間の好景気に浮かれていた頃、アマチュア・バンドをオーディションし、メジャーデビューさせる番組が引き金となり、日本中に一大バンドブームが巻き起こった。みそもくそも一緒になったブームの中、いくつものバンドがメジャーデビューしていった。ところが、景気の低迷を迎えると同時にバンドブームも潮が引くように、あっと言う間に終焉を迎えた。その間わずか一年足らず。そして大抵のバンドがブームとともに消えていった。それでも、自分達の音楽を追及し、周囲が変わってもロックをし続けている奴らもいる。中島率いる“SPEED WAY”もそんなバンドの一つ。ブームに乗っかって、メジャーデビューを果たしたはいいものの、ブームが去り彼らもまさに現実と理想の狭間で揺れ動いていた。そんな悩める中島の目の前に、ある日突然、ロックの神様が現れ、ボブ・ディランの歌で啓示を与える。果たして彼は何者なのか?そして中島と“SPEED WAY”の行方は…?

世の中、上手く立ち回らなければならないのか?有名になって売れればいいのか?それがたとえ自分のやりたいことと違っても…。『アイデン&ティティ』はそんな中島と“SPEED WAY”の成長と挫折を時に可笑しく、時に切なく、そして青臭く描く“青春映画”。

原作は92年に刊行され、今やミュージシャンのバイブルとも呼べるみうらじゅんの伝説的なコミック。その作品をみうら氏の盟友であり、自らミュージシャンとしての経験も持つ俳優の田口トモロヲが初めて監督を手掛ける。さらに役者・演出家・脚本家として映画・舞台・TVに幅広く活躍する宮藤官九郎が脚本を担当。こうして、みうらじゅん×田口トモロヲ×宮藤官九郎という夢の顔あわせが実現した。また音楽にはムーンライダーズの白井良明、マルチミュージシャンとして世界的に活躍する大友良英のほか“ロックの神様”の音楽を伝説のフォーク・シンガーであるエンケンこと遠藤賢司が担当。撮影には『ホテル・ハイビスカス』の高間貿治、編集に『ピンポン』の上野聡一などの多彩なスタッフがトモロヲ氏の初監督作をサポートしている。

主人公中島役には今年1月に電撃解散した“GOING STEADY”のフロント・マン、現在は“銀杏BOYZ”として活動を再開した若者のカリスマ峯田和伸。そして『ピンポン』でスクリーンデビューを果たし、新世代の歌舞伎役者として活躍の場を広げる中村獅童、数々の映画やTVでの確かな演技カには定評のある大森南朋、ジョビジョバのリーダーとして、現在は役者や脚本家としても高い評価を受けているマギー、そして中島の彼女役を麻生久美子が演じている。

原作者のみうら氏、そして主人公、中島にとっての“ロックの神様”であるボブ・ディランの数々の名曲の歌詞が全編にわたり効果的に登場。また名曲中の名曲であり、“フォークロック”という言葉の語源にもなった【ライク・ア・ローリング・ストーン】が映画では世界で初めてエンディング・テーマで使用され、感動的なエンディングを演出している。

ストーリー



ロックバンド“SPEED WAY(スピードウェイ)”が、小さなスタジオで練習に明け暮れている。メンバーは、ギターの中島(峯田和伸)、ボーカルのジョニー(中村獅童)、ベースのトシ(大森南朋)、ドラムの豆蔵(マギー)の4人。メジャーデビューを果たし、1stシングル『悪魔とドライブ』がヒットしているにもかかわらず、彼らの生活は何も変わっていなかった。仲の良さも相変わらずだったが、それぞれが「売れる歌」と「ほんとうに歌いたい歌」の狭間で苦悩し始めていた。

ある夜、書けない詞と曲の前で悶絶している中島の部屋に、ハーモニカを持った男(=ロックの神様)が現れる。その突然の訪問に驚きながらも、中島は“ディラン”に似たこの神様を部屋に泊める。この日からロックの神様は度々、中島の前にだけ姿を見せるようになった。ライブ会場にも、ファンの女の子と寝ている最中にも…。その度に、ロックと一番遠い存在になっている自分への羞恥心を深めていく中島。そんな彼の気持ちとは裏腹に“SPEED WAY”の人気は勢いを増し、ついにTV出演が決定した。収録当日、中島は人気爆発中のバンド“GOD”のボーカル岩本(コタニキンヤ)と再会する。目指しているものが違うことを自覚しながらも、どうしても彼を意識してしまう中島の耳に、今日もロックの神様のハーモニカが聞こえてくる…。

新曲の練習日。今までとは全く違う曲を作ってきた中島に、ジョニーは反発する。そして彼は、事務所の社長(岸部四郎)から言われたべースヘの懸念について、トシにも意見してしまう。そんなバンドの状態に、憤りを感じる中島。次のリハーサルに集まったのは、ジョニーと豆蔵だけだった。その頃中島は、大学時代からつきあっている彼女(麻生久美子)の部屋にいた。不安を感じると他の子とも寝てしまう中島だが、一番の理解者であり、いつも自分を励ましてくれる彼女のことが、本当は好きでたまらない。しかし、首筋についたキスマークを見つかり、彼女の部屋から追い出されてしまう。家路に着いた中島は、泣きながら出会った頃を思い出していた。大学の文化祭で「どうしてオリジナルをやらないの?」と声をかけてきたのが彼女だった。「君が何を伝えたいか、君自身のアイデンティティは何なのか、それが問題だと思うけど…」そう言って、差し出されたのは“ボブ・ディラン”のレコードだった。これが、自分とディランの出会いでもあったのだ。彼女に謝るため、中島は家を飛び出す。

悩み抜いた末に、中島は新曲『大人の悩みに子供の涙』を完成させた。ジョニーはその詞に感動し、すぐにバンドの練習が始まった。そこヘトシも合流し、再び4人が揃った。ふさわしいロックを目指し始めた彼らだが、それは同時にやりたいことをやり続ける難しさに直面することでもあった……

スタッフ

製作:瀬崎巌、甲斐真樹、村山創太郎
プロデューサー:小西啓介、代情明彦
アソシエイトプロデューサー:太田裕子
ラインプロデューサー:八木欣也
原作:みうらじゅん(「アイデン&ティティ」角川文庫刊)
脚本:宮藤官九郎
音楽:白井良明・大友良英
   遠藤腎司
撮影監督:高間費治(J.S.C.)
照明:上保正道
録音:岩倉雅之
美術:丸尾知行
編集:上野聡一
スクリプター:長坂由起子
助監督:崎田憲一
制作担当:梶川信幸、村瀬正憲
監督:田口トモロヲ

キャスト

峯田和伸
麻生久美子
中村獅童
大森南朋
マギー

コタニキンヤ
ラズ・ブレザー
平岩紙
小林麻子

野村祐人
村上連

岸部四郎
あき竹城
夏木ゆたか
三上寛
塩見三省
大杉漣

ピエール瀧
田中要次
水上竜士
大久保乃武夫(ポカスカジャン)
玉井伸也(ポカスカジャン)
中山省吾(ポカスカジャン)

浅野忠信
村上淳

氏神一番
和嶋慎治(人間椅子)
鈴木研一(人間椅子)
後藤升宏(人間椅子)
和久田理人(スイマーズ)
キース(スイマーズ)
品川知昭
佐々木“ACKY”あきひ郎
カタル(ニューロテイカ)
アツシ(ニューロテイカ)

みうらじゅん
和久田理人(スイマーズ)
黒沢伸(宮尾すすむと日本の社長)
大槻ケンヂ
マユタン(マサ子さん)
和嶋慎治(人間椅子)
遠藤ミチロウ
PANTA
石川浩司(たま)
竹山奈穂子(THENEWS)
ROLLY

LINK

□公式サイト
□この作品のインタビューを見る
□この作品に関する情報をもっと探す