原題:THE DEATH HUNTER

一触即死。 1918年、連邦怪奇事件記録局が捕獲。 そして現代、それは再び逃げ出した。ここに史上最悪の死神が甦る! 原因不明の死者続出! 誰がこの暴走を止めるのか? 斬新!奇抜!仰天!意表を突くストーリーが見るものを離さない! 待望の不気味ジャンル、怪奇ものが初登場!!

2001年/ドイツ/95min 発売・販売:アルバトロス(税抜:16,000)

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解説


一風変わったテーマである。現代が舞台でありながら、伝説の死神が現実として描かれ、厄災をもたらすのだ。ドイツ、連邦怪奇事件記録局の死神博士たちが長年追い求めている死神とは人間に次々と乗り移り、移った瞬間にそれが抜けた人間に死を与える存在。古代エジプト人もそれを捕らえ、封じ込めていたという記録が残されている。死神はある種の武器を手に入れると最強になると。たとえば飢餓であったり、ウイルスであったり。その代表的な例が、世界中で死者2000万人を記録した1918年のスペイン風邪。死神はウイルスとともに人間に次々と乗り移りこれほどまでの被害を与えたという。今までにない設定が斬新で、見るものの興味を強烈にそそる。死神の定番的イメージといえば、骸骨に草刈鎌。本作に登場する死神は幽霊のような、なんともいえない形状をしているが、実体のあるものとして描かれており、必見!ビジュアルは定番イメージを入れ判り易くした。

【チェック・ポイント!】

 30代後半の野郎どもなら、天本英世氏の勇姿を思い出さずにはいられないタイトルっすね。F・ラングやI・ベルイマンの古典から、P・ジャクソンの『さまよう魂たち』(96)や逃れられない法則としての“死”を描いたショッキングな『ファイナル・デスティネーション』(00)等など寓話、コメディ、ストレートなホラーと様々な描かれ方をしてきた“死神”を、現代ドイツを舞台にドイツ版“X−ファイル課”風なドイツ連邦怪奇事件記録局(略称BRzV)が追い求める怪奇篇。このBRzVは本家以上の組織力と科学力(…反重力装置付尋問室やドコデモドア的な秘密通路を完備してるんだぜ−笑−)を誇りつつ、予算不足と融通の利かない規則主義にがんじがらめなのが、ステレオ・タイプな独逸のイメージどおりでおかしい。主人公のタラッハはBRzVの事務屋なんだけどその人の良さとお堅さが災いし、死神を解き放ってしまい、その場に居合わせたC調一般人クラスとのデコボコ・コンビで死神を追うことになる。タラッハは妻を死神の魔手に晒され、またクラスは好意をもったナディンに死神が取り憑いてとそれぞれ悲劇的なシチュエーションを抱えているにも関わらず、このどこか抜けてる二人の噛合わないコンビぶりは妙にユーモラス。この二つが、もっと上手く絡み合ってたらさらに面白くなったと思うのだが、なんともどっちつかずになってしまったのが残念。結末では、コンビによる続編の可能性も示唆されるわけだが、続きを作るならそのあたりに工夫を凝らして欲しいぞ。
 死神が接触で人から人に乗り移るという設定は、『悪魔を憐れむ歌』(98)で死刑囚にとり憑き、以後自分を逮捕した刑事をつけまわす絶対悪(を名乗るには卑小だぞ−笑−)アザゼルあたりを連想させる。電車の中での伝言ゲーム的場面などはその最たるものだが、憑依の瞬間をレントゲン写真風な半透明髑髏映像で見せてるのはちょっと面白い。ただ、死神に接触された人間に訪れる死というにが、必ずしもその場で即と言うわけではないので、劇中39人が死んだとか台詞で言われても、もう一つ地味な印象はありますね。一触即死は言い過ぎだって(笑)。
(殿井君人)

ストーリー



ドイツ、連邦怪奇事件記録局(略称BRzV)がようやく捕獲したのは正真正銘の“死神”。強力な放射線でとどめを刺すべく、原発内部の実験室に封じ込めたが、興味本位で侵入した一般人トーマス・クラスのせいで逃げ出してしまった。死神は人間に入り込み、入られた者に触れるや次々と乗り移る。そして彼が抜けた後の人間は左眼から血を出しながら確実に死んでいくのだ。BRzVのツェレンパーク局長は、部下のタラッハに捕獲命令を下した。あの時死神が逃亡したのは彼の行動のせいでもあったからだ。彼はトーマスを相棒にして早速行動に移る。だがニュースではすでにハンブルグで39人の原因不明の死者が出ていることを告げていた。こんな恐るべきものをどうやって捕まえるのか?この死神は1918年2000万人が死んだスペイン風邪を蔓延させた大物だ。今、誰に潜む?たとえ見つけても、どうやって封じ込める?答えを見出せぬまま死者は続出する!

スタッフ

製作:ヴェルナー・シュミッツ
監督:ザミィール
脚本:ティモ・ベルンツ
撮影:ヨツヘン・シュテブライン
音楽:ロベルト・シュルテ・ヘミング、イエンツ・ラングバイン
編集:アンジェリカ・ゼングブッシュ

キャスト

クラウス・シュライバー
ぺーター・A・レイ
ダニエラ・ゲーツ
ディートリッヒ・ホリンダー・ボイヤー

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