戦場のピアニスト
原題:The Pianist
東京国際映画祭特別招待作品::http://www.tiff-jp.net/ 第55回カンヌ国際映画祭正式招待作パルムドール受賞作品
2002年10月2日フランス初公開
2002年/フランス・ドイツ・ポーランド・イギリス/148分 配給:アミューズピクチャーズ
2003年08月22日よりビデオ発売&レンタル開始 2003年08月22日よりDVDリリース 2003年2月15日より日劇1ほか全国東宝洋画系にてロードショー
公開初日 2003/02/15
配給会社名 0008
公開日メモ 本年度カンヌ映画祭、パルムドール受賞作品
解説
キャリア40年で遂にカンヌの栄誉に輝いたポランスキー
2002年5月26日、カンヌ映画祭の最高賞であるパルムドール受賞作に『戦場のピアニスト』がアナウンスされた瞬間、会場は賛同と祝福の熱い拍手に包まれた。それは68歳のロマン・ポランスキー監督が半世紀以上を経て遂に自らの原体験に向き合った、その勇気と成果に対する賞賛であった。スタンディング・オヴェイションは15分近くも続き、キャリア40年で初めてカンヌの栄誉を受けるポランスキーも、主演のエイドリアン・ブロディも見守る観客たちも、等しく涙を浮かべるという感動のひと時で映画祭は締めくくられたのである。
ポランスキーでなければ撮れなかった、魂を揺さぶる真実の物語。
ポランスキーは幼い頃をクラクフのゲットーで過ごし、母を収容所で亡くした経験を持つ。これまで彼は、あまりに心に深い傷を刻んだあの体験と向かい合う準備ができていないと感じ、『シンドラーのリスト』の監督をオファーされた時でさえ断っていた。そんな彼が遂に自らの原点に立ち帰った揮身の一本が本作だ。
原作はポーランドの名ピアニストで国民的作曲家W・シュピルマンが自らの奇跡的生還体験を描いた回想録。ナチスの犠牲となった家族や仲間たちの悲劇。立場の違いを越えて命がけで彼を救った人々の闘い。そして最後まで彼を支え続けた音楽への思い。その一瞬一瞬の恐怖、そして時にはユーモアまでもが、抑えた演出で原作に忠実に映画化されている。
眼に焼きつく鮮烈な映像とリアリズム。そして、実話の重み。『戦場のピアニスト』はまさに魂を揺さぶる真実の物語なのである。戦場を生き抜いたひとりの名ピアニストの驚くべき実話1939年、ナチスドイツがポーランドに侵攻した時、シュピルマンはワルシャワの放送局で演奏するピアニストだった。ワルシャワ陥落後、ユダヤ人はゲットーと呼ばれる居住区に移され、飢えや無差別殺人に脅える日々を強いられる。やがて何十万ものユダヤ人が収容所へ移されるようになった頃、家族の中でたったひとり収容所行きを免れたシユピルマンは、決死の思いでゲットーを脱出する。息をひそめて隠れ家で暮らす日々は、ワルシャワ蜂起とともに終わりを告げる。砲弾が飛び交い、街が炎に包まれる中、必死に身を隠し、
食うや食わずで生き延びるシュピルマン。心の中で奏でる音楽だけが彼の唯一の希望だった。だが、ある晩彼は遂にひとりのドイツ人将校に見つかってしまう・・・。
ユダヤ人を救ったナチス将校の知られざる事実
本作の主人公は、ナチスに勇敢に抵抗した英雄でもなければ、収容所で抹殺された犠牲者でもない。彼は家族を全員失った後、たったひとりで戦場をサバイバルし、奇跡的なめぐりあわせで死を免れたピアニストだ。それが他の多くのホロコースト映画との大きな違いになっている。さらに本作でユニークな点は、彼の命を救ったのが、同胞から憎まれ恐れられていたユダヤ人警察官や、敵兵だったという事実。加害者=ナチス、被害者=ユダヤ人という単純な図式の押し付けはここにはない。ポランスキー監督はナチス支配の恐怖を、自身の体験に基づいてリアルに再現する一方で、ナチスにも善人が、ユダヤ人にも憎むべき者がいたという原作の公平な視点を強調する。それがこの映画の新鮮な感動の原動力になっている。
何人ものユダヤ人の命をひそかに救い、自身はソ連の収容所で死を遂げたナチス将校の存在に光を当てたことでも、この映画の意義は大きい。
主演のエイドリアン・ブロディの演技に絶賛の嵐
主演は『サマー・オブ・サム』『ブレッド&ローズ』のエイドリアン・ブロデイ。ポランスキーは当初米国人俳優の起用は考えていなかったが、『Les Fleurs d1Hanisson』と『Libety Heights』のブロディを見て、紳士的な物腰のシュピルマンに相応しいと考えた。本作では10数キロの減量を行って撮影に臨んだ他、ピアノの特訓も受け、本番では代役なしに演奏シーンをこなしている。とりわけナチス将校にショパンを弾いてみせる4分以上にも及ぶ場面は圧巻である。
カンヌから世界へ!広がり続ける感動と興奮!!
近年稀な盛り上がりを見せた02年カンヌ映画祭で、そうそうたる監督たちの力作を抑え、誰もが納得のパルムドール受賞に輝いたポランスキー。カンヌに続き9月には物語の舞台ポーランドでワールド・プレミア上映が開催され、ポランスキーにポーランド文化財団から金の笏が授与されるなど、国をあげての歓迎・凱旋ムードに包まれた。フランスでは9月25日に一般公開され、ヨーロッパ映画でトップの興行成績でスタート。米国でも12月下旬の公開を前に、早くもアカデミー賞有力候補との声があがっている。
ストーリー
1939年9月、ナチス・ドイツがポーランドに侵攻した日、ウワディクことウワディスワフ・シュピルマン(エイドリアン・ブロディ)は仕事場であるワルシャワのラジオ局でショパンを演奏していた。爆撃から逃れる途中、彼は親友の妹ドロタ(エミリア・フォックス)に声をかけられる。
自宅では老父母(フランク・フィンレイ&モーリーン・リップマン)と姉のハリーナ&レギーナ(ジェシカ・ケイト・マイヤー&ジュリア・レイナー)、弟のヘンリク(エド・ストッパード)が英仏の対独宣戦を告げるラジオニュースに聞き入っている。だが彼らの希望はほどなく打ち砕かれた。街はドイツ軍に占拠され、ユダヤ人への様々な締め付けが始まった。やがてユダヤ人に対してゲットーへの移住命令
が出され、†40年10月31日、シュピルマン」家も住みなれた我が家を後にする。見送りに来ていたドロタに別れを告げるウワディク。ウワディクはゲットー内のカフェでピアノ弾きの仕事を得る。ここ
では彼の演奏に聴き入る客はいない。ある時など、金貨が本物かどうか確かめようとする客から演奏を止めてくれと言われたほどだ。だがそんなことは周囲で起き始めたドイツ兵とユダヤ人警察による”人間狩り”や虐殺行為に比べれば些細なことでしかなかった。物資を密輸しようとした少年が殴り殺されたり、隣人一家が皆殺しに遭ったりするのをウワディクは凍るような思いで目にする。ヘンリクが”狩り”にあうと、彼はユダヤ人警察に加わっていた裕福で鼻持ちならない友人ヘラーに頭を下げ、弟を解放してもらう。
’42年、ドイツ人の雇用証明のない者は全員収容所へ移されるという噂が広まる。ウワディクは地下活動家のマヨレクに頼み、家族のためにドイツ人が監督する集荷センターの職を得る。だがそれも一時の時間稼ぎにしかならなかった。8月16日、シュピルマン一家を含む大勢のユダヤ人が鉄道線路脇の収容地ウムシュラークプラッツに集められる。やがて人々が列車に向って移動を始めた時、誰かがふいにウワディクの肩をつかんで列から引き離した。ヘラーだった。こうしてウワディクひとりが死の収容所行きを免れる。ウワディクはゲットーの壁を壊す労働グループに加わるが、ピアニストの彼に肉体労働は酷だった。役に立たない者はただちに”選別”され、銃殺されるか、収容所送りである。仲間が彼を楽な仕事に回してくれたが、安心はできない。彼は蜂起の準備を進めているマヨレクに頼み、旧知のポーランド人歌手ヤニナ(ルース・プラット)に連絡をとってもらうことにする。
43年2月のある晩、ついにウワディクはゲットー脱出を決行する。ヤニナの手引きで隠れ家へ移った彼は、やがて春が訪れる頃、アパートの窓からワルシャワ・ゲットー蜂起とその悲劇的結末を目撃する。ヤニナが捕えられた後も彼はアパートに留まり、僅かな食料で食いつないでひっそり暮らし続けた。だが冬のある日、とうとう彼の存在が隣人に知られ、アパートにいられなくなってしまう。万一の時のためにと教えられていた住所を訪ねると、驚いたことにそこにはドロタが夫とともに暮らしていた。事情を知った夫妻は彼を新たな隠れ家に案内する。夏になる頃、出産のため実家へ行く、とドロタが別れを告げに来る。その直後、ワルシャワ蜂起が始まり、街は戦場となった。瓦礫の山と化した街で必死に生き延びるウワディク。彼は悪夢のような数カ月を、想像上のピアノに向かうことで辛うじて乗り切るが、ある晩とうとう一人のドイツ軍将校(トーマス・クレッチマン)に見つかってしまう。ウワディクが自分はピアニストだと言うと、将校はピアノのある部屋へ彼を連れて行き、何か弾くようにと命じた。二年ぶりの演奏を静か
に始めるピアニスト。暗闇の中にショパンの調べが響き渡る…
スタッフ
監督・製作:ロマン・ポランスキー
製作:ロベール・ベンムッサ、アラン・サルド
脚本:ロナルド・ハーウッド
原作:ウワディスワフ・シュピルマン
音楽:ヴォィチェフ・キラール
プロダクションデザイン:アラン・スタルスキ
衣裳デザイン:アンナ・シェパード
撮影:パヴェル・エデルマン
美術:ニーナ・ペクール
キャスト
ウワディスワフ・シュピルマン:エイドリアン・ブロディ
ヴィルム・ホーゼンフェルト大尉:トーマス・クリッチマン
父:フランク・フィンレイ
母:モーリン・リップマン
ドロタ:エミリア・フォックス
ヘンリク:エド・ストッパード
レギーナ:ジュリア・レイナー
ハリーナ:ジェシカ・ケイト・マイヤー
ヤニナ:ルース・プラット
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