カメラは20年間回りつづけた。 『奈緒ちゃん』から『ぴぐれっと』へ しあわせはきっと地域の中で育み、育まれていく

2002年/日本/98min 配給:「ぴぐれっと」製作上映委員会

2002年7月13日から8月23日までBOX東中野にてモーニングショー

公開初日 2002/07/13

公開終了日 2002/08/23

配給会社名 0312

公開日メモ 20年前、ハンディを持つ子供のお母さんたち数人が、仲間を求め、集まったことをきっかけに始まった地域作業所「ぴぐれつと」。この映画は、そのrぴぐれつと」が多くの仲間に恵まれ、3ケ所の拠点を持ち、グループホームを指向するに至るまでの20年間の歩みを記録した、ヒューマンドキュメンタリーです。

解説


20年前、ハンディを持つ子供のお母さんたち数人が、仲間を求め、集まったことをきっかけに始まった地域作業所「ぴぐれつと」。この映画は、そのrぴぐれつと」が多くの仲間に恵まれ、3ケ所の拠点を持ち、グループホームを指向するに至るまでの20年間の歩みを記録した、ヒューマンドキュメンタリーです。

西村信子さん(58才)、お母さんたちの中心的な存在で、「ぴぐれつと」のリーダーです。この映画の監督の伊勢真一は、西村信子の実弟で、7年前に発表した作品「奈緒ちゃん」では、西村さんの長女である、てんかんと知的障害のある少女、奈緒ちゃんの9才から20才まで12年間の家族の記録を映画化しました。
この映画はその「奈緒ちゃん」の続編にあたります。ハンディを持つ人と家族が地域の中で生きることをひとつのテーマにした「奈緒ちゃん」の内容を、「ぴぐれつと」という地域作業所の悪戦苦闘の歩みの中でより深めてみたもので、「奈緒ちゃん」完成後も「ぴぐれつと」にスポットをあてて撮り続けてきた記録の成果です。

地域の中で、ひとりの人間として、自立的に生きていくこと…、ハンディを持つ子どもを守り、育てようという、お母さんたちの切実な思いから始まったぴぐれつとで成長した子どもたちが、グループホームという言わばもうひとつの家族による自立生活を始めようとしているのです。
映画「奈緒ちゃん」で描かれた、育み、育まれる家族を経て、「ぴぐれつと」では、地域の中で、育み、育まれるもうひとつの家族が、かいま見えてくるはずです。

ぴぐれつとの日々は、喜怒哀楽の物語。仲間たちの表情豊かな笑顔、泣き顔、怒り顔、そして、いつも歌声が一杯です。日常の一コマーコマを丁寧に追い、こむつかしい理屈とは無縁の、映像ならではの語り口で、地域の中で生きる、もうひとつの家族rぴぐれつと」が描かれます。

いわゆる社会派の福祉映画とは、一味も二味もちがいます。
監督・伊勢真一と仲間たちが、実姉西村信子とその家族、「ぴぐれつと」の仲間たちに親しみを込めた大きな声で、「頑張れヨォー、俺たちも頑張るから山と心の底から歌い上げる応援歌のようなドキュメンタリーです。

何だか元気をなくしているように見える世の中にも響き渡る応援歌となるはずです。

ストーリー

ぴぐれつとの日常の日々を、淡々と描くことを中心に全体は構成されます。テレビ番組のように劇的なことがおこるわけではありません。

奈緒ちゃんの弟、記一がぴぐれつとで働くようになったことをきっかけに、物語は始まります。ぴぐれつとのひとりひとりのユニークなキャラクターが紹介され、みんなの仕事振りが描かれます。明るい雰囲気を作っているのは、記一を始めとする20代の職員の若さならではのムード。若い職員たちとハンディを持つ利用者たちとの、バラエティーショー感覚のような日々が、ユーモラスに積み重ねられます。

20年前、ぴぐれつとの前身「つぼみの会」当時のお母さんたち、10年前、ぴぐれつと発足の頃の作業所での日常等、貴重な記録映像がその歩みを語ります。

育み、育まれ、奈緒ちゃん一家の4人もそれぞれ成長しました。お母さんは、ぴぐれつとに係わりながら、横浜市が支援する障害者が働くコーヒーショップ「てん」のママさんなります。ぴぐれつとも成長します。レスバイト事業を展開するための拠点としてぴぐれつと2、地域社会との交流を目指すコーヒーショップぴぐれつと3が完成します。メンバーもどんどん増えてハンディを持つ利用者だけで40人にまで膨れ上がり、ぴぐれつとは満員御礼、ハチャメチャの大騒ぎ、充実した日々が続きます。生みの親のひとり奈緒ちゃんのお母さんは、ぴぐれつとの急成長と裏腹に「このままで良いのだろうか…」と時々立ち止まります。「仲間づくりをすること」「ひとりひとりを大切にすること」、ぴぐれつとの初心を決して忘れて欲しくないと……。

ハンディを持つ利用者たちの宿泊訓練、レスバイト(とりあえずホッと一息事業)は大好評、子供から手が離せなかった親たちも、自らの老いを自覚し、子離れの必要性を痛感し始めます。

ハンディを持つ子供の親たちが、切実な思いで集まって出来た地域作業所「ぴぐれつと」は、20年の成長の歳月を経て、もうひとつの家族にたどり着こうとします。2002年9月、グループホーム「ぴぐれつと」が始まるのです。奈緒ちゃん一家をはじめ親たちは、グループホームに積極的に取り組みながらも、子供たちが自立しようとすることに一方で戸惑います。

ぴぐれつと20年の歩みは、グループホームづくりを経て、まだまだ前に進もうとしています。地域の中で、ひとりひとりがその人らしく生きるという、ごく当たり前のようなテーマを実現することの困難さに立ち向かいながら…。

終わりのない旅、答えのない問い。ひとりの人間が、家族が生きることの記録は更に続きます。

スタッフ

脚本・演出・編集:伊勢真一
撮影:石倉隆二
照明:箕輪栄一
音響:米山靖
録音:渡辺丈彦
音楽:ストラーダ
タイミング:笠原征洋
スチール:内藤雅行
上映デスク:相原余至子
制作進行:助川満
プロデューサー:渡辺哲也
企画・製作:映画「ぴぐれつと」製作委員会、いせFilm、ヒポ コミュニケーションズ
制作協力:一隅社、クロスフィット

地域作業所「ぴぐれつと」
奈緒ちゃん一家

キャスト

野口香織
岩永正敏
大場健二
篠塚昌述
宮本皓司
勇崎哲史

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