2001年山形国際ドキュメンタリー映画祭出品

2001年/日本/ビデオ/106分/ 配給:国立工房

2007年3月3日、ポレポレ東中野にてロードショー 2002年11月9日から22日までシネマ・下北沢にてレイトショー公開 2002年6月1日から28日までシネマ・下北沢にてレイトショー公開

公開初日 2002/06/01

公開終了日 2002/06/28

配給会社名 0303

公開日メモ この映画は、批評家・針生一郎の言説を、風景と幻想、追憶と想像力の織りなす映像のタペストリーとして描く、イマジネーションのドキュメンタリーである。

解説


戦後日本の五十数年を、美術・文芸評論を通して闘って来た批評家、針生一郎(1925〜)。戦前、日本浪漫派のイデオローグ保田與重郎に傾倒し、戦後は転向、シュールレアリズムの思想家ベンヤミンの理念を血肉として、今なお日本の変革を試み続ける針生一郎の言説は、ポストモダンが完全破産し、混迷する今日の社会状況の中、再びその重要性が認識されつつある。
この映画は、批評家・針生一郎の言説を、風景と幻想、追憶と想像力の織りなす映像のタペストリーとして描く、イマジネーションのドキュメンタリーである。
監督の大浦信行は、1949年生れの現代美術作家。ニューヨークにおいて制作した、天皇を主題とした版画シリーズが日本のタブーに触れ、収蔵された美術館によって無断売却、図録470册が焼却処分された。提訴し裁判を起こすも、美術館側に過失は無かったとして2000年12月最高裁で棄却。全面敗訴した。
そして今回、大浦信行がそれへの返答として、近・現代日本のねじれと歪みを己の痛みとして抱え込んで苦闘する針生一郎を通し、映像の衝突と融合の『マンダラ映像宇宙』を彫り上げたのだ。
日本の地霊と化した舞踏家・大野一雄、慶人の親子競演。封印され、今だ公開されない山下菊二の天皇制批判絵画。韓国の民衆抵抗画家・洪成潭。キーファーの廃虚の像。女体に彫り刻まれる太夫の刺青。そしてアングラの女王・中山ラビが奏でる鎮魂歌・・・
権力が造り出す暴力装置としての「生者の歴史」からこぼれ落ちた、これらもう一つの哀しみに満ちた「死者の歴史」が、老批評家・針生一郎の夢想と溶け合い、『触覚日本論』として今、たおやかにその姿をあらわすだろう。

ストーリー


スタッフ

監督・脚本:大浦信行
撮影:辻智彦
録音:川嶋一彦
編集・辻智彦、中西義久、大浦信行
音楽:中山ラビ
宣伝:五十嵐勝美
宣伝美術:高村雄介
製作:国立工房

キャスト

文芸評論家・針生一郎
舞踏家・大野一雄
舞踏家・大野慶人
刺青師・彫長
河正雄
中野弘美
倉田みゆき
寺岡昭仁
岡部真理恵
鷲足満
中村優里花
洪成潭
沢田實
安達幹男
岡崎桂以子
和田雅之
須賀誠
ナレーション:中山真利絵、上野容

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