にっぽん零年
故藤田監督の幻のドキュメンタリー映画公開!
山形国際ドキュメンタリー映画際'95 上映作品
1968年/日本/74分/モノクロ/スタンダード/35mm/ 製作・配給:日活
2002年11月22日よりDVD発売開始 2002年7月6日より渋谷・ユーロスペースにて公開 2000年11月23日川崎市民ミュージアムにて上映
公開初日 2002/07/06
配給会社名 0006
公開日メモ 故藤田監督の幻のドキュメンタリー映画公開!
解説
1995年の山形国際ドキュメンタリー映画祭に、何の前触れもなく突如現れたのがこの映画だった。’70年安保闘争を中心に揺れ動いていた1968年の日本の若者たちを追いかけたドキュメンタリー。街を彷徨する新宿のフーテンたち、世間の騒ぎをよそに訓練に没頭する自衛隊員、東大闘争真っ只中の活動家、そして内乱寸前の日本の姿を映し出したこのフィルムは、平穏無事に過ごしている我々の心に突き刺さらずに入られない。上映されたこと自体が奇跡のようなこのフィルムは、波乱の歴史を持っている。
日活で今村昌平、熊井啓などの社会派作品を手がけ、また一方では浦山桐郎、神代辰巳などのデビュー作を手がけた異色プロデューサー・大塚 和(かのう)。藤田敏八、河辺和夫、斉藤光正に『私が棄てた女』の撮影が中断して体の空いた浦山監督を加えて、四人の若手監督が1968年の夏、世界的な反体制運動のうねりに揺れる日本へ、まっすぐにキャメラを向けていった。
だが、撮影が進むにつれて、意見の相違が明らかになる。次第に藤田・河辺と浦山・斉藤が対立するようになり、完成予定の時期を大幅に越えていった。そして公開中止に至る。1968年11月公開が中止になったことについては諸説あり、「上映時間があまりに長すぎたため」「会社が最初の企画意図(大塚は会社にヤコペッティの『世界残酷物語』のような作品と説明していたらしい)と違うことに気づき、中止させた」などあるが、一番信憑性が高いのは、内乱寸前の様相を呈した社会を刺激することを恐れて公開中止に至った、という説明ではないだろうか。
1968年, 激動の日本を撮った四人の監督たち
藤田 繁(敏八)
1932年平壌生まれ。本名・繁夫だが、繁矢、敏八と改名していく。東大在学中に演劇に熱中し、俳優座養成所で学ぶ。1955年、日活に入社して1967年『非行少年・陽の出の叫び』で監督デビュー。『八月の濡れた砂』『赤ちょうちん』などの青春映画で時代の雰囲気を先取りした作風を確立する。後年は俳優としても活躍し、特に『ツィゴイネルワイゼン』(1980年、鈴木清順監督)の教官役が鮮烈な印象を与えている。1997年死去。 代表作 『非行少年 陽の出の叫び』1967 『野良猫ロック ワイルドジャンボ』1970 『八月の濡れた砂』1971 『エロスは甘き香り』1973 『修羅雪姫』1973 『赤ちょうちん』1974 『帰らざる日々』1978 『リボルバー』1988
河辺和夫
1930年東京生まれ。1953年新東宝に入社し、1954年日活に移籍。1964年『非行少年』で監督デビュー(大塚和がプロデュース)。ドキュメンタリー的な手法で一躍脚光を浴びるが、商業ベースに乗れず、フリーとなる。1982年、死去。代表作 『非行少年』1964 『明日また生きる』1970 『燃える男長島茂雄・栄光の背番号3』1974
浦山桐郎 (→途中降板してクレジットに名前なし)
1930年兵庫生まれ。1954年日活に入社し、川島雄三、今村昌平監督につく。1962年、『キューポラのある街』で監督デビューして一躍注目を集めるが、妥協を知らず寡作の監督となる。『私が棄てた女』撮影中断の間「日本の若者たち」撮影に関わるが、途中で降板。1985年、死去。代表作 『キューポラのある街』1962 『私が棄てた女』1969 『青春の門』1975 『夢千代日記』1985
斎藤光正 (→途中降板してクレジットに名前なし)
1932年山口生まれ。日活に入社し、1967年『斜陽のおもかげ』で監督デビュー。1971年フリーとなり、1979年『戦国自衛隊』など角川映画を立て続けに監督する。代表作 『斜陽のおもかげ』1967 『悪魔が来りて笛を吹く』1979 『戦国自衛隊』1979
ストーリー
革命前夜の様相を見せる、東京−1968年、夏・・・。
大学紛争に没頭する東大生活動家は議論を重ね、行動へと突き進む。新宿で無目的にさまようフーテンの少女は、浮遊しながら「本当の自分」でないことへの苛立ちをぶつける。国を愁うわけでもなく自衛隊に入った若者は、世間の騒ぎを横目に見つつ厳しい訓練に没頭する。
そんな揺れる若者たちの思惑は、熱狂的なお祭り状態の社会に巻き込まれる。ゲバ棒、火炎瓶、催涙弾などが人々を傷つけ、さらに熱狂へと駆りたてる。この激しい闘争は、新時代を生むための痛みなのか、それとも…。
スタッフ
企画:大塚和/友田二郎
構成・演出:河辺和夫/藤田繁矢
撮影:大津幸四郎/義江道夫/飯島実/八木勲
録音:長谷川良雄/佐藤亨
効果:杉崎友治郎
編集:丹治睦夫/岡安イ/井上治
製作:渡辺昇
助監督:小原宏裕/岡田裕
音楽:佐藤允彦
キャスト
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