トーキョー×エロティカ
原題:TOKYO EROTIC
生まれる前の時間と死んだ時間って、 どっちが長いと思う?
2002年ロッテルダム国際映画祭正式招待作品 P-1 GRAND-PRIX2001チャンピオン作品 2001年度映画芸術日本映画ベストテン8位
2001年/カラー/ビスタサイズ/77分/R-18 配給:新東宝映画、国映
2002年11月22日よりDVD発売&レンタル開始 2002年11月08日ビデオ発売&レンタル開始 2002年6月15日よりユーロスペースにてレイトショー公開 2002年3月21日〜3月31日まで福岡・オークラ劇場にて公開 2002年1月30日よりまで映劇大要にて公開 2002年1月26日〜2月4日まで大宮オークラにて公開 2001年8月31日より新宿国際名画座にて公開
初日舞台挨拶レポート::http://www.cinematopics.com/cinema/c_report/index3.php?number=170
公開初日 2002/01/26
公開終了日 2002/02/04
配給会社名 0290
公開日メモ 地下鉄サリン事件で死んだケンジと、東電OL事件の被害者ハルが、2002年の東京で再び出会い、新しい物語が始まる・・・・。『RUSH!』『DOG STAR』と一般映画への進出もいちじるしい異才・瀬々敬久が久しぶりに、原点とも云えるピンク映画のフィールドに戻り、発表したショッキングかつハードなSEXの祝宴。
解説
映像による犯罪フィールドワークとも言うべき独自の作風を推し進めてきた奇才・瀬々敬久が、新世紀を迎えて何ら新しい息吹を見せぬ、無名都市「トーキョー」を舞台に描く、新生の願いを込めたラブ・ストーリー。
長らく瀬々敬久と息の合ったコンビぶりを見せていた斉藤幸一のカメラ(デジカムによる映像を35㎜にブローアップ)は、夜の東京を、あたかも二人で長く固執してきた廃城のように捕えている。死にとりつかれさまよう人々は、まるで死者のカーニバルといった趣きだ。地下鉄サリン事件をスタートに、登場人物たちの死をたどるように展開する物語は、死の輪舞(ロンド)とも見える。しかし、そこで一瞬々々の瞬きを見せるSEXは、人間の途切れる事のない生の営みと希望を感じさせる。石井隆監督作品などで知られる安川午朗の祝祭性に満ちた音楽も、その哀しみと希望を際立たせてる。
瀬々敬久は常々、前世紀末を「世紀前」と捕らえ、独自な歴史観に基づく作品を連打してきた。その達成は『アナーキー・イン・じゃばんスケ』、4月公開を控えた『DOGSTAR』などの近作にも見て取れる。
そして、その集大成的な作品が本作である。時間軸が一定方向に流れるのではなく、ジャンプし、時に過去に遡行していくというのも、瀬々敬久の好んで使う手法だが、映像のトリックという以上に、宇宙から見た人間の小さな営み愛でる神の視点をも感じさせるのだ。これは瀬々敬久の傾倒する宮澤賢治の作品世界にも通じる思想であり、映像の流れに一身をゆだねているうちに見るものを違った自分へと導く瀬々マジックの真骨頂と言えるだろう。今回はそこに生身の役者の肉声をインタビュー映像として取り込み、映画に不思議な重厚性を与えている。
作品世界を支える役者たちは、多くが瀬々作品に多数出演している瀬々チームとも呼ぶべき気心の知れた仲間(佐々木ユメカ、伊藤猛、川瀬陽太、佐藤幹雄、下元史朗、佐野和宏他)であり、また数多くのインディーズムービーを支えている芸達者たちである。いつもは作品を脇で支えるパイプレイヤー的な彼らが、瀬々敬久の期待に応えての名演ぶりも、作品の大きな魅力になっている。
本作は瀬々敬久が自ら脚本も手がけた揮身の一作である。閉塞する社会状況の中にあって、一点突破に「宇宙」「生命」へ連結する物語は、「癒し」以上の「生きる力」へと観客を向わせることだろう。
頭で理解するのではなく、皮膚から吸収する思想として、瀬々ワールドを体感してほしい。
ストーリー
1995年、街に散布された毒ガスでケンヂは死んだ。
1997年、その恋人ハルカは、死に神を名乗る男にラブホテルで惨殺された。
1995年、妻のいるトシロウと、真知子は不倫していた。
1989年、バンド仲間のハギオとミチ、シンイチとアユミのカップルは、互いの恋人に秘密で乱れた性関係に耽った。
そして、2002年、死んだケンヂとハルカは再び出会い、新しい物語が始まる……。
スタッフ
監督・脚本:瀬々敬久
企画:朝倉大介
プロデューサー:衣川仲人、森田一人、増子恭一
撮影:斉藤幸一
音楽:安川午朗
編集:酒井正次
録音:中島秀一
助監督:坂本礼
監督助手:大西裕
製作:国映・新東宝
製作協力:Vシアター
キャスト
ハルカ:佐々木ユメカ
小谷真知子:佐々木麻由子
アユミ:えり
ミチ:奈賀毬子
ケンヂ:石川裕一
サンドイッチマンの男:下元史朗
来生トシロウ:伊藤猛
ハギオ:佐藤幹雄
シンイチ:川瀬陽太
ウサギ:佐野和宏
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