およう – CINEMATOPICS

原題：O-YO

竹久夢ニ生誕百二十周年記念作品竹久夢ニ・伊藤晴雨、二人の画家に愛されたモデルその名を「およう」という−−−

2002年／日本／ビスタサイズ／カラー／DTS／119分／配給：松竹

2003年03月21日よりビデオ発売＆レンタル開始 2003年03月21日よりＤＶＤ発売＆レンタル開始 2002年5月11日より松竹系にて全国ロードショー公開

公開初日　2002/05/11

配給会社名 0003

公開日メモ　天才画家、竹久夢二。劇評や歌舞伎の舞台絵、そして縛り絵の大家、伊藤晴雨。藤島武二は日本画壇に燦然たる足跡を残した巨匠。この三人の個性的な画家たちに愛され、その作品に多数描かれた美少女お葉。彼女は、日本初の裸婦モデル。

解説

日本で最も広く知られた画家の一人であるだけでなく、没後七十年を経た今もなお多くの日本人に愛されている天才画家、竹久夢二。一方、伊藤晴雨は劇評や歌舞伎の舞台絵、そして縛り絵の大家として、知るひとぞ知る存在です。また、藤島武二は日本画壇に燦然たる足跡を残した巨匠です。この三人の個性的な画家たちに愛され、その作品に多数描かれた美少女お葉。彼女は、日本初の裸婦モデルとして知られています。
映画『およう』は、竹久夢二の自伝的小説「出帆」と、団鬼六氏の伊藤晴雨伝「外道の群れ」を原作とし、お葉をめぐる三人の画家の愛とその芸術的苦悩をテーマに、秋山豊、関本郁夫が脚色、関本郁夫が監督いたしました。「極道の妻たち」のシリーズの他、熱列なる映画ファンに語り継がれる「天使の欲望」「好色元禄(秘)物語」「女帝」「東雲楼女の乱」等の傑作のある関本郁夫は「社会の枠組みから外れて生きる男と女が好きである。アウトローに生きる男と女が好きである。そこに限りないロマンを感じる」と言います。団鬼六氏の原作「外道の群れ」に惚れ込んだ関本が、「昔から絵描きの人生に興味があり、自分でもフィルムに絵を描いていくような作品を作りたかった」と演出した、入魂の最新作、それが『およう』です。

竹久夢二役には世界的バレエダンサーとして圧倒的な女性ファンを獲得している熊川哲也。責め絵師・伊藤晴雨役をNHK大河ドラマ『秀吉』で人気沸騰、現在の日本映画を代表する俳優・竹中直人。藤島武二役は名優・里見浩太朗が二十三年ぶりの映画出演で話題となっています。ヒロインお葉はつかこうへい劇団の秘蔵っ子でエイベックスが全面バックアップする期待の大型新人・渋谷亜希を抜擢。このほか、三田和代、洞口依子、上原さくら、国分佐智子、小沢真珠、金山一彦、石倉三郎らが脇を固めました。また渡辺えり子、宅麻伸、高島礼子らが特別出演し、話題性に富んだ豪華なキャストが実現しました。
ロケーションは長野県の全面協力を得て県下の上田市、松本市、海野宿、奈良井宿、軽井沢町、妻籠宿など大正・昭和初期の建築物の残る場所で約一ヶ月の大ロケーションを敢行し日本映画界トップのスタッフによる映像美溢れる作品に仕上がりました。

映画『およう』は、妖しい雰囲気に満ちた大正時代を背景に、生涯責め絵自噴として生きた裏の大家・伊藤晴雨と、彼が惚れきった島田髭の似合う美少女お葉、そのお葉を晴雨から奪い取り、お葉によって才能を開花させていった当代人気の叙情画家・竹久夢二の三人が織りなす愛と芸術の苦悩のドラマを、ベテラン関本郁夫が津身の力を込めて描き上げた意欲作です。本作品はロマンティシズム溢れる文芸大作であると同時にひときわ鋭い光を持ったロマン・エンターテイメント作品なのです。

ストーリー

　輝き揺れる秋田の海……その故郷の海に別れを告げ母と娘は上京した。大正六年、少女は東京美術学校の裸婦モデルになった。給金が良く、いい職業だと少女は思った。天性の美しさと天真爛漫な性格で、少女は数々の画家達に愛され描かれた…その名を佐々木カネヨ。やがて少女は、美術界の重鎮・藤島武二を父のように慕う一方で、責め絵画家・伊藤晴雨のモデルとなり、愛され同棲するようになった。緊縛された女性美と、その黒髪に惹かれ、生涯責め絵師として生きた伊藤晴雨。晴雨はカネヨに惚れきった。島田髷の似合う美少女・お兼（カネヨ）は晴雨と約三年間の同棲の後、彼とは正反対の抒情派美人画で知られる竹久夢二と出会う。最愛の恋人・彦乃を失って打ちひしがれていた。夢二であったが、お兼と巡り会い恋をするようになると晴雨から彼女を奪い取る。夢二に対し、晴雨は嫉妬で身を焦がすがどうするすべも無かった。やがて、お兼に「お葉」という名を与えた夢二は、お葉（お兼）によってその才能を大きく開花させてゆく……。
　晴雨に官能的な縛り絵を描かせ、夢二には可憐な美人画を描かせ、他にも多くの芸術家たちとも浮名を流した女……「お葉」。晴雨との間では、心と心の交わりを持てたお葉であったが、夢二との間にはやがて、行き場のない思いと《女》《モデル》としての矛盾を感じるようになる。夢二は彦乃という最愛の女性を失った悲しみが故に、お葉を自分好みの人形に仕立てようとする愛し方しか出来なかったのか……。内に狂気を秘め愛する女性を己の芸術の為に傷つけてゆく生き方しか出来ない男、夢二。
　夢二の女性遍歴と放浪癖に耐えかねたお葉は当てつけに夢二の弟子・尾形と浮気し、尾形は自責の念にかられ自殺未遂を起こしてしまった。やがてお葉は夢二との間に出来た息子・与太郎の死に対する夢二のむごい仕打ちに、遂に家出をしてしまう。失ってからお葉への愛を痛感した夢二は必死で彼女を捜すのだった……。もしかしてお葉は晴雨の元へ戻ったのでは…？。焦燥の夢二は伊藤晴雨に頭を下げ、お葉を帰してくれと懇願するのだったが……。
　世間から外道といわれる生き方をしながらも、不器用なまでに純粋に生きた主人公たち。大正ロマンを代表する二人の天才画家晴雨と夢二絵の中で描かれたお葉は、果たして二人の男に何を与え、何を与えられたのであろうか？大正という妖しい雰囲気に満ちた時代を背景に、愛と情念と芸術に生きた彼ら・彼女が、最後に決心した結末とは……。

スタッフ

製作：横畠邦彦
企画：福永昭
プロデューサー：藤原裕之・園木美夜子
原作：団鬼六「外道の群れ」幻冬舎アウトロー文庫
脚本：秋山豊・関本郁夫
監督：関本郁夫
撮影：佐々木原保志(J.S.C.)
音楽：大島ミチル
美術：福澤勝広
照明：安河内央之
録音：北村峰晴
編集：奥原好幸
スタイリスト：勝俣淳子
装飾：松本良二
助監督/石田和彦
スクリプター：小泉篤美
スチール：永江和之
ラインプロデューサー：宮川健治
音楽プロデューサー：北神行雄
主題歌：真奈尚子
(「離さないで」テイチクエンタテインメント)
写真：立木義浩
製作協力：田口弘、小村一之、宮坂五十四
　　　　　長嶋博文、仲一弥、小出英二
　　　　　清原慶三、石井孝宜、山本洋子
企画協力：新井政男・糟谷東
衣装協力：酒井幸男
美術協力：大平直輝
撮影協力：長野県
(上田市・松本市・樽川村・奈良井宿・妻籠宿・海野宿)
信州上田フィルムコミッション
制作：シネマジック
配給：松竹
製作：映画「およう」製作委員会
　　衛星劇場、シネマジック、エムアウト、ヒット出版、メディアエキスプレス
　　大洋図書、ティーアイネット、真奈ミュージックカンパニー、朋栄

キャスト

竹久夢二：熊川哲也
お葉：渋谷亜希
伊藤晴雨：竹中直人
佐々木市代：三田和代
岸たまき：洞口依子
森川：石倉三郎
梅原北明：金山一彦
笠井彦乃：上原さくら
キセ子：小沢真珠
山田順子：国分佐智子
大杉栄：宅麻伸
伊藤竹尾：渡辺えり子
神近市子：高島礼子
藤島武二：里見浩太朗

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