原題:Who is Running? Ta Fa Likit

新たな“トワイライトゾーン”の世界がここに甦る

第3回アジア・フィルム・フェスティバル(1999) 第3回福岡アジア・フォーカス出品(1999)

1997年/タイ/ドルピーSRD/ヴィスタサイズ/105min 協カ:エスピーオー/配給:ギャガ・コミュニケーションズアジアグループ 2002年2月下旬よりキネカ大森にて全国順次ロードショー

2002年6月7日DVD発売/2002年6月7日ビデオ発売&レンタル開始 2002年3月2日よりキネカ大森にて全国随時ロードショー

公開初日 2002/03/02

配給会社名 0025

公開日メモ 21世紅に入り、世界で熱い注目を浴びるタイ映画。日本でも『アタック・ナンバーハーフ』の大ヒットでその注目度は増すばかりだが、今度は世にも不思議な“トワイライトゾーン”の世界を描<ファンタスティック・ミステリー映画が登場した。

解説



21世紅に入り、世界で熱い注目を浴びるタイ映画。日本でも『アタック・ナンバーハーフ』の大ヒットでその注目度は増すばかりだが、今度は世にも不思議な“トワイライトゾーン”の世界を描<ファンタスティック・ミステリー映画が登場した。幸せだったカップルに突然起こった出来事。青年の目の前で原因不明の昏睡状態に陥った恋人の前世は、一家5人を殺した強盗犯で、そのカルマ(業)が今生で死をもって下される。違命を逃れるためには、彼女に代わって5人の人間の命を救うしかないと、僧侶から聞いた青年は、光とともに飛んできた未来の出来事が出現する新聞の死亡記事をもとに、青年は死亡時間までに5人の人間を助けようと、逃れられない運命に立ち向かう。 これまでも因果応報や輪廻転生をテーマにした作品は、古くから数多<作られている。にも幽わらず本作が他の同ジャンル作品と比較しても面白いのは、仏教信仰厚いタイらしいテイストがふんだんに盛り込まれていることにある。信仰心が強いのにも関わらず前世の行いによって死に直面する恋人と、まった<信仰心がないのに愛する恋人を助けるために祈り、奔走する青年。自殺や事件の被害者になろうとしている5人の人間を助けてい<うちに、青年が人間的な心の優しさや尊さに目覚めていく姿は、観客も主人公と同じように何かを感じるはずである.また、つのだじろうの漫画「恐怖新聞」のような、明日の出来事を事前に知って限られた時間の中で奔走するというプロットは、まさに日本人が興味を持つオカルト的な要素も含んでいる.そして絶望的な危機を迎える主人公に起こるどんでん返しには、観客誰もがあっと驚<であろう。 本作はタイ本国でも大ヒットしているが、日本では98年福岡映画祭アジア・シネフォーカスで上映されて話題となり、熱烈なファンからも長い間劇場公開を望まれていた。このミステリアスなファンタスティック・ムービーを作り上げたのは、香港出身のオキサイド・パン監督。本作が監督デビューであるが、CM出身らしく、なおかつ香港テイスト漂うスピーディーな展開は、観客を飽きさせない。日本でも公開の監督2作目『レイン』は、世界の映画祭で絶費されて話題となったが、香港とタイのコラボレーションが増えている今、先駆者的存在としても今後もっとも注目すべき監督の一人である。 主演は、恋人のために奔走する青年ジァッブにタイのTVドラマで活豊するサンヤー・クンヤゴン。昏睡状態に陥る恋人ワーンには日本人受けしそうなかわいさを持つTV女優ナンタリガー・タンマプリーダナンが演じている。またSFXを『風雲ストームライダーズ』で一躍脚光を浴びた香港のセントロ・デジタル・ピクチャーズが担当している。

ストーリー



【1997年5月21日 9時30分】
ジァッブ(サンヤー・クンナゴン)とワーン(ナンタリガー・タンマブリーダナン)は、家族公認の恋人同士。信心深いワーンはデートの時、かならずお寺で手をあわせるのが習慣で、今日も2人で寺へ向かった。その帰り道、彼女が道ばたで可愛い子犬を見つけてそばに行こうとした時、車にはねられそうになる。ぶつからなかったはずなのに、彼女は突然鼻から血を吹き、意識不明となってしまった。ジァツブは彼女を抱え、病院に運んだ。
【13時17分】
…ワーンの家族も病院に駆けつけるが、医師から原因不明の重体と告げられ、ジァッブは絶望的な気持ちになる。そして寺へ行き、生まれて初めて本気で祈る。すると目の前に老僧が現れ、彼女のことについて話し始める。それは、彼女の前世は一家5人を殺した男で、その家の飼犬が今生で再び犬になって生まれ変わり、復讐のために彼女に天罰を与えたと。そしてその運命から逃られないと言う。ワーンを助けるには、彼女に代わり5人の命を助けることだと言い残して姿を消した.。
【15時30分】
…途方に暮れたジァップは、再び事故現場に向かう。すると目の前に一家5人が現れ、彼に向かって指差すと、光とともに何も書かれていない新間が飛んでくる。新聞を拾って見ると、そこにひとつの記事が浮かび上がった。「公金を競馬に注ぎ込み警官自殺」。22日の朝自殺する捜査主任警官ブラヴイットは、今日の5時のレースで本命に賭けて損をしてしまうのだ。半信半疑ながらジァッブは急いで競馬鳩へ向かう。
【17時OO分】
…競馬場に着いたジァップは、本命馬シリモンコンの馬券を買おうとしているブラヴィットを見つけて、馬券購入のじゃまをしたが、買えなくて怒ったブラヴィットに殴られてしまう。レースは始まりシリモンコンはゴール直前、失速して負けた。プラヴイットから感謝され、何かが起ったら相談に乗ると名刺を渡されたジァッブは、新聞からブラヴィットの記事が消えていくのを確認する。だがそれに喜んだのも束の間、また新たな記事が浮かび上がる。「22日8時40分頃、少年が受験失敗を苦に自殺」。ジァッブは病院に向かった。
【1997年5月22日 8時25分】
ワーンの病室で目覚めたジァッブは、あわてて自殺現場のアパートの屋上に向かう。すると少年が現れて飛び下りようとする。高校教師の父親のプレッシャーに耐えられなかった少年に、ジァッブはいろいろな未来があると語って思いとどまらせようと説得するが、そのうちアパートの住人が異変に気付き騒ぎとなる。少年の両親も駆け付け、泣きながら愛情の深さを伝える言葉に、ついに少年は自殺することを諦めた。
【8時55分】
…アパートから立ち去ったジァップは食堂へ入り、そばを注文してぼんやりとテレビのドラマを観ていた。すると画面が乱れ、インタビューされている電車の車掌や目撃者の姿が移る。はっとして慌てて新聞を見直すと、「11塒15分頃、赤いシャツの少女が飛び込み自殺」と書かれてある。慌てて駅に向かったジァッブは人ごみの中で懸命に少女の姿を捜す。プラットホームの端に立つ赤いシャツの少女を発見したジァップは、間一髪、少女の飛び込みを防いだ。ジァッブは、自殺理由が彼女の失恋と聞き、恋人を呼び出すと、実はやばい仕事に手を出さねばならない事情があって彼女を遠ざけたと聞き、二人にブラヴィット警官の名刺を渡して助けてもらうように励ます。
【昼】
…町を歩くジァップは、新聞に2つの記事を発見する。「13時45分頃、宝石強盗と銃撃戦の末、警官殉職」。そして「15時20分頃に小学校前で少年が車にはねられ死亡」。あわてたジァップは、通りがかったパトカーを止め、警官たちとともに事件現場へ急ぐ。警官たちに状況を説明するジァップは、隣に座った警官こそ殉職警官のソンポップであることを知る。現場ではすでに銃撃戦となっており、逃走する犯人を追いかけるソンポップをジァッブは追いかけ、犯人が放った弾丸から間一髪助ける。
【13時57分】
…その足で今度は小学生を助けるためにタクシーに乗る。すると再び新聞に記事が出現する。「陸橋で衝突事故、タクシー運転手喧嘩」。ジァップは記事の中にあるタクシーナンバーと自分の乗ったタクシーナンバーが同じであると知った時、タクシーは衝突してしまう。時間がないと小学校まで走ったジァッブは、それらレき小学生をつかまえた。だが、車の走り去る音と、人々が駆け寄る姿を自にする。人垣の中を見たジァップの目の前には、無惨にもはねられて倒れている小学生の姿があったのだった。力なく座り込んだジァッブが新聞を見ると、そこには「ワーン永眠す」の死亡記事が現れる。
【夕方】
…病院でワーンの死を確認したジァッブは、再び寺院へ行き老僧に会う。彼は、信心深かったワーンが死に、信心深くない自分が見ず知らずの4人の人間を助けたのに残酷な結末だといって僧を責める。老僧は違命は逃げられないと言い姿を消す。そこへ寺の管理人が現れ、ここには僧がいないとジァッブに話すのであった。
【夜】
…雨の中、事故現場に向かい、悲しみに暮れるジァッブ。するとそこにいつもワーンがお金をめぐんでいた耳と口が不自由な老婦がいた。ジァッブはおもむろに小銭を彼女に渡した。すると喋れないはずの老婦が「神に御加護あれ」とつぷやく。その瞬間、ジァッブは時を越えて過去の時間に戻った。再び小学生を助けるために………

スタッフ

製作:アディサック・コーブラシット、ワラウット・タムロンラット
監督・脚本:オキサイド・パン
撮影:シントップ・ソーボーン
編集:ダニー・パン
音業:ジングルベル
プロダクション・デザイン:チャイウット・ユッタポン
SFX:セントロ・デジタル・ヒクチャーズ
    カレン・チュー、ジュリエット・チュイ、ジヤコ・ウォン、ベン・ラム

キャスト

ジァップ:サンヤー・クンナゴン
ワーン:ナンタリガー・タンマブリーダナン
ブラヴィット捜査主任:スチャオ・ポンウィライ
ベン(赤いシャツの少女):ウイチットラー・ダリヤクン

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