原題:The Butterfly

辛 韓国映画祭2003/HOT ! KOREAN FILM FESTIVAL 2002 上映作品 2001年東京国際映画祭シネマプリズム・オープニング作品 2001年ロカルノ国際映画祭主演女優賞(キム・ホジョン) 2001年トロント国際映画祭デイスカバリー部門 2001年ロンドン映画祭コンペ部門

2001年/韓国/35㎜/カラー/113分

公開未定

公開初日 2003/01/25

公開終了日 2003/02/14

配給会社名 0337/0049

公開日メモ 韓国の現在の風景をそのまま近未来の設定に代え、そこにタルコフスキー作品を想わせる「水」の蠱惑を加えこんだSF意欲作。

解説



韓国の現在の風景をそのまま近未来の設定に代え、そこにタルコフスキー作品を想わせる「水」の蠱惑を加えこんだSF意欲作。全篇、色彩から現実性を奪い、画面の肌理の粗々しさや浮遊感をもたらす、デジタルカメラによる手持ち撮影が貫かれている。結果、作品全体が「デジタル・ゴシック」と呼ぶべき現代的美学を湛えることになった。酸性雨に冒された街、辛い記憶を忘却することのできるウィルスを求め集まる人々、その背後にある管理恐怖。ヒロインもまた忘却ウィルスを得るためドイツから韓国へ訪れ、ガイドの少女、それに運転手とチームを組み国内放浪を開始する。そして最終的に訪れるドンデン返し……それらが複雑にして夢幻的な話法で語られつつ、一方で「記憶」は人間の同一性に不可欠な生存理由だという哲学も語られる。
『異邦人』(98)で監督デビューしたムン・スンウクの第二作。前作がアン・ソンギ演ずるポーランドのテコンドー師範役と同地の若者の交情を描く作品だったから、この壮麗な廃嘘美への移行は意外と映るかもしれない。ヒロイン=キム・ホジョン(『フランダースの犬』の主人公の妻役)の疲労感にみちた中年の美しさ、ガイド少女「ユキ」役カン・ヘジョンの妖精的魅力−−そのふたつの競合も作品に蠱惑を添えている。

本作は韓国初の本格近未来SF作品として、2001年度ロカルノ映画祭、トロント国際映画祭に招待され、大きな話題を集めた。監督はポーランド国立映画アカデミー出身で、『トリコロール』三部作の名匠クシシュトフ・キエシロフスキの弟子筋にあたる。

ストーリー



公害の影響で酸性雨の降りしきる、韓国のある都市。ここには辛い記憶を全て消し去る「忘却のウィルス」が存在するという噂を求め、世界中から人々がやって来る。
ドイツ系韓国人アンナもまたこのウィルスを求めてやって来たひとり。辛い記憶を忘却できるウィルスを入手するためアンナは韓国を訪れる。ガイドにはユキという少女、運転手にはKという男が雇われ、三人はウィルス生息地のしるしだという蝶々の舞う場所を探し求める。彼らは巨大な建築現場へ。その過程でアンナは酸性雨に打たれて体が不調となり、意識にも過去の辛い記憶が浮上してくる。看病するユキは妊娠していたが、彼女を快く思わなかったKは鉛中毒者として当局に通報、チームは崩壊する。だが収容施設内で臨月を迎えたユキにアンナは偶然会う。死を覚悟して出産を望むユキのためアンナはK運転のクルマで病院を探すが……。

スタッフ

監督・脚本:ムン・スンウク
撮影:クォン・ヒョクチュン
録音:チョン・ジンウク
サウンド・ミキシング:パク・サンウォン
編集:キム・ドギョン、イ・ジャンウク
音楽:チョン・フニョン

キャスト

アンナ:キム・ホジョン
ユキ:カン・ヘジョン
K:チャン・ヒョンソン

LINK

□この作品のインタビューを見る
□この作品に関する情報をもっと探す