原題:TO DANCE WITH THE WHITE DOG

あなたにはあなたの「白い犬」が見えますか?

2001年/日本/99分/ 配給:東映

2002年11月29日よりDVDレンタル開始 2002年4月13日(土)より東映邦画系にて公開

公開初日 2002/04/13

配給会社名 0004

公開日メモ 一人一人の感動が生んだ奇跡のミリオンセラー日本中が泣いた大人のメルヘン、ついに映画化

解説



昨日まで隣で微笑んでいた人が、突然いなくなったとしたら。

朝、いつもどおりに見送ってくれた人と永遠の別れになってしまったら。

もう一度、もう一度だけでいいから会いたい。

あなたの愛が本物なら、愛する人は必ず側にいてくれる。

きっと姿かたちを変えてあなたの前に現れる……。

たとえば、カーテンを揺らす朝の風になって、

ひらりと目の前を舞う可憐な蝶々になって。

そして、どこからか現れた白い犬—。

──あなたにはあなたの「白い犬」が見えますか。

一人一人の感動が生んだ奇跡のミリオンセラー
日本中が泣いた大人のメルヘン、ついに映画化
 
 2001年夏、出版界を騒がせた、一つの”事件”が起こった。日本では無名に近いあアメリカの作家 テリー・ケイの小説「白い犬とワルツを」が、初版発売から6年も経て、突然すごい勢いで売れ始めたのだ。この勢いは止まるところを知らず、秋にはとうとう
140万部を越えるミリオンセラーとなった。
 いったいなぜ、こんな”奇跡”が起こったのか? きっかけは、ある本屋さんで働く男性が作った手書きのPOP。実際にこの小説を読んで、痛いほど胸を揺さぶられた彼の、”生きた言葉”が、多くの人々の心を動かしていった。彼の言葉に惹かれてこの本を手にとった人たちが出会ったのは、心の深い深いところまで温まる大人のメルヘンだった期待を遥かに超える感動がそこにあったからこそ、この物語は、これほどまでに大きな波紋となって、日本中に広がったのだ。

最愛の妻に先立たれた老人の前に現れた白い犬
妻の生まれ変わりのような犬との触れ合いが彼の心を癒してゆく
 
ある日突然、最愛の妻を亡くした老人。悲しみにくれる彼の前に、どこからともなく白い犬が現れる。白い犬は、自分一人でいる時にしか現れない。次第に老人は白い犬と過ごすのが心安らかで楽しい時間となっていく。一緒に妻の墓参りに行ったり、後ろ足で立ち上がって甘える犬の手をとって、ワルツを踊ったり……。白い犬は、まるで老人を心配して見守っているかのようだった。白い犬は妻の生まれ変わりかもしれない。そう思った彼は誰にも内緒で白い犬と妻との約束を果たすための旅に出る・・・・・。
 少しずつ美しいタペストリーを織り上げるように、毎日毎日丹念に積み重ねられた夫婦愛。人生のパートナーと共に生きることがいかに素晴らしいことか、じっくりと愛を育てることがどんなに心を豊かにしてくれるかをこの映画は教えてくれる。そして、その愛が本物ならば、奇跡すら起こることも……。観終わった後、心の中にいつまでもあたたかい陽だまりができている、これはそんな映画だ。
白い犬は幻なのか? 妻が白い犬の姿を借りて帰ってきたのか? 答えはエンドクレジットが流れる時に、この映画からの贈り物として、観る人一人一人に渡されるだろう。

主人公と同じ悲しみを経験する名優、仲代達矢が愛すること、そして生きることの全てを演じる

 主演は、日本が誇る名優・仲代達矢。彼は、この物語の主人公と同じように、5年前に女優で演出家の妻、宮崎恭子を亡くしている。そんな仲代にとって、「白い犬とワルツを」は特別な思いを込めた作品となった。妻・光恵役には藤村志保、娘役には南 果歩、若村麻由美。
監督は、今村昌平や岡本喜八、北野武ら数多くの名匠監督のもとで助監督を務めた月野木隆。音楽は「ピアノの画家」とも呼ばれ、心に沁みるメロディで世界中に多くのファンを持つ加古隆。脚本は「男はつらいよ」シリーズ他、自ら監督も手がけるベテラン森崎東。原作の味わいを最大限に生かしつつ、日本情緒豊かで忘れられないオリジナルのラストを用意した。

ストーリー


 あまりにも突然、あまりにもあっけなく、妻の光恵が死んだ。結婚生活の幸せな思い出だけを残して……。

 40年前、妻(藤村志保)と出会った頃、看護婦になりたかった彼女は自分の夢をあきらめ、造園業を営む私(仲代達矢)と結婚した。それからというもの、妻のおかげで私は仕事に専念し、今では樹木医としてその腕を認められている。
 その日の朝も、いつものように妻に見送られて、私はトラックで山へと向かった。ところが、樹木の診察を終えて帰宅すると、いつもにこやかに出迎えてくれる妻の姿がない。
裏庭へまわった私の視界に飛び込んできたのは、妻が倒れているという信じられない光景だった。すぐに運んだ病院に、近くに住む二人の娘、長女の由恵(南果歩)と次女の恵美(若村麻由美)も駆けつけた。妻は不意に意識を取り戻すと、私に指を3本立てて何か言おうとする。私はとっさに「わかったから安心しろ」と言ってしまった。それで安心したかのように妻は静かに息を引き取った……。
 お通夜の間中、いったい何をしていたのか全く思い出せない。ただ、妻の古くからの友人で在日韓国人の洪さん(横山道乃)が、大声をあげて泣いていたのだけは覚えている。
その夜から私は作業小屋で眠ることにした。二人の寝室には妻の気配があちこちに残っていて、息をすることさえ苦しかったのだ。私が白い犬を初めて見たのは、小屋に落ち着いた時だった。裏口をすっと横切ったのだ。まるで私の所在を確かめるかのように。ほんの一瞬だったが、雪のように真っ白なその姿がなぜか心に残った。それ以来、白い犬は少しずつ私に近づくようになった。
 翌日、告別式も終わり、みんなが帰って家の中ががらんとした。離婚してから孫娘と二人暮しの恵美は、この家に引っ越して来たいと言ったが、冗談じゃない。気持ちはうれしいが、まだまだ娘に世話をしてもらうような歳ではない。そんな時、洪さんの一人息子の秀一(豊原功補)が現れた。世話になった妻に別れのあいさつをしに来たのだ。以前、秀一は私の弟子として働いていた。しかし、気まずい別れをしたままになっていて、久しぶりの再会だった。
 母親に言われて私を山まで送った秀一は、そこで私にずっとためていた怒りをぶつけ始めた。「俺が死んで、栄一郎が生きていればよかったと思っているのだろう」と。栄一郎というのは、私たちの息子だ。子供の頃、私の仕事場で遊んでいて、突然倒れてきた大きな木の下敷きになって死んでしまった。その現場で同級生の秀一も一緒に遊んでいたのだった。
秀一は自分だけが助かってしまったことにずっと負い目を感じていたのだ。
 その時、私は不意に光恵が示した3本の指の意味に気づいた。私たちは、栄一郎の分骨山の桜の木の下に埋めて、ここに必ず戻ってくるよと誓ったのだった。
 妻のいない生活になんとか慣れようとしているが、ふとしたことで彼女の面影が立ち現れて、体中に痛みが走る。この間も、妻が亡くなる直前に注文してくれていた私のシャツが宅配便で届いた。まるで天国からの贈り物みたいに。
 私が淋しさに耐えかねていると、白い犬がどこからともなく現れて、そっと寄り添ってくれる。後ろ足で立ち上がり、私に飛びついてきたので、その手を取って一緒にワルツを踊った。若い頃、妻と踊った、あのメロディを思い出しながら。
 ところが、どうしたわけか白い犬は他の誰かがいると、決して出てこようとしない。そのため、娘たちは私が幻覚を見ているのではないかと心配している。妻の死のショックから現実と夢の区別もできなくなったと疑っているのだ。
 妻の四十九日が近づいてきた。私は彼女の想いを果たすため、ある冒険を決意した。
オンボロトラックで、英一郎のいるあの桜の木に光恵も連れて行ってやるのだ。しかし、20年以上経って風景も変わっている遠い山の中、今の私に行き着けるかどうか。娘たちに話せば必ず反対されるに決まっている。そうだ、白い犬と一緒に行こう。あいつがいると、なんだか妻が側にいてくれるみたいで心が安らぐのだ……。

スタッフ

エグゼクティブプロデューサー:吉田尚剛
企画:鍋島壽夫
プロデューサー:片岡公生、貝原正行、水野純一郎
原作:テリー・ケイ(新潮文庫刊)
Copyright(C)1990 by Terry Kay
Japanese motion picture rights arranged with Terry Kay
c/o Harvey Kinger,Inc.,New York through Tuttle-Mori Agency,Inc.,Tokyo
脚本:森崎東
音楽監修・メインテーマ作曲・編曲:加古隆
撮影:小林達比古
照明:中須岳士
美術:原田哲男
録音:河合博幸
編集:石島一秀
助監督:山下智彦
監督:月野木隆
製作:『白い犬とワルツを』製作委員会
   創映新社、シネカノン、アスミック・エースエンターテインメント、
   衛星劇場、アミューズメントメディア総合学院、東京映像工房、
   カルチュア・パブリッシャーズ、ポニーキャニオン

キャスト

仲代達矢
若村麻由美
豊原功補
南 果歩
藤村志保

LINK

□公式サイト
□この作品のインタビューを見る
□この作品に関する情報をもっと探す