原題:JE RENTRE A LA MAISON

ゆっくり、ゆっくり・・・生きていくって、むずかしい。

2001年カンヌ国際映画祭コンペティション部門正式出品

2001年/ポルトガル=フランス/カラー/90分/35mm/1:1.66ヴィスタサイズ/ ドルビーSR/ 配給:アルシネテラン

2002年3月2日よりシャンテシネにて独占ロードショー

公開初日 2002/03/02

配給会社名 0013

公開日メモ 今年93歳を迎えるポルトガルの巨匠は、90年代以降、年に1本という驚異的なペースで作品を撮り続けているが、その長年の功績に加え、泉のごとく沸き上がるインスピレーションと創造性、その格調高い映像は、世界の誰もが認めるところ。そして、そんなオリヴェイラ作品の中でも、ここ10年間における最高傑作と2001年のカンヌ映画祭で絶賛され、フランスでも初登場10位のヒットを記録したのが本作『家路』である。

解説



カンヌも絶賛!ポルトガルの巨匠の近年最高傑作
『アブラハム渓谷』(93)、『メフィストの誘い』(95)、そして『クレーヴの奥方』(99)など、これまで多くの作品を発表してきたマノエル・ド・オリヴェイラ監督は、その度に評価を高め、数々の賞を獲得してきた。今年93歳を迎えるポルトガルの巨匠は、90年代以降、年に1本という驚異的なペースで作品を撮り続けているが、その長年の功績に加え、泉のごとく沸き上がるインスピレーションと創造性、その格調高い映像は、世界の誰もが認めるところ。そして、そんなオリヴェイラ作品の中でも、ここ10年間における最高傑作と2001年のカンヌ映画祭で絶賛され、フランスでも初登場10位のヒットを記録したのが本作『家路』である。

豪華な俳優たち
主人公である舞台俳優ジルベール・ヴァランスを演じるのは、フランスを代表するベテラン俳優ミシェル・ピコリ。人生も晩年にさしかかったところで、これからの生活や仕事について自問し始めるヴァランスの孤独や戸惑いが、経験豊かなピコリによって見事に体現されている。またオリヴェイラ監督のオファーに出演を快諾したのが、『メフィストの誘い』のコンビ、カトリーヌ・ドヌーヴとジョン・マルコヴィッチ。ドヌーヴは劇中劇の中で圧倒的な存在感を見せ、マルコヴィッチは抑制の効いた演技で、アメリカ人監督クロフォードという人物に独特の雰囲気を与えている。

光と闇のパリ
イルミネーションのきらめくエッフェル塔にコンコルド広場の観覧車やメリーゴーランド、セーヌ川をゆっくりと進む遊覧船、街中のカフェやブティック・・・。美しく光りに満ちたパリの風景がある一方で、オリヴェイラ監督は大都市パリに潜む危険な夜の世界も同時に描き出している。また、町並みとともにパリの風情を感じさせるのが、有名なシャンソン「パリの空の下」と「ミラボー橋」。また『クレーヴの奥方』では本人役でシューベルトを演奏していたマリア・ジョアン・ピルシュによるショパンの《別れのワルツ》や、ワーグナーの《歌劇「ローエングリン」前奏曲》といったクラシック音楽も効果的に用いられている。

ストーリー


その才能と長いキャリアを世に認められている舞台俳優ジルベール・ヴァランスは、現在ウージェーヌ・イヨネスコの戯曲「瀕死の王」のべランジェ1世を演じている。舞台の評判は上々だ。ある夜の公演後、ヴァランスのエージェントであり古くからの友人のジョルジュは、彼の妻と娘そして娘婿3人が交通事故で亡くなったことを告げた。病院に運ばれた時には、既に手遅れだったという。突然の悲劇にヴァランスは言葉もなく、急いで病院へと向かった。しばらくすると、ヴァランスの生活はうわべだけの平静を取
り戻した。残された孫セルジュとの新しい生活が始まり、いつものように舞台にも立っていた。ヴァランスは今、ウィリアム・シェイクスピアの戯曲「テンペスト」の主役プロスペローを演じている。孫の面倒は、ずっと以前から働いてくれている家政婦のギレルミーヌが見てくれていた。セルジュはヴァランスにもよくなついていて、学校へ行く前には顔を見せにやって来てくれる。
部屋の窓からふと外を見やると、庭でセルジュがギレルミーヌと一緒に自転車で遊んでいた。その様子を微笑ましく感じながらも、暗がりの中、ヴァランスは家族の写真をじっと見つめてうなだれた。パリの街はせわしく流れ、またヴァランスの日常も日々過ぎていった。行きつけのカフェに立ち寄り、いつもの席で新聞を
片手にコーヒーを1杯、そしてリハーサルと公演の毎日。街を歩けば、ファンに囲まれ、サインを求められた。ある日、ヴァランスがショーウィンドーを眺めながら町を歩いていると、靴屋の店先で茶色の革靴に目がとまる。試しに履いてみると、足に馴染んで履き心地もいい。ヴァランスはその靴を買うことにした。エージェントのジョルジュは古い友人のことを心配して、ある夜ヴァランスをバーに誘った。新しい生活のことなどを聞きながら、突然、家族を亡くした孤独を癒すには恋愛はどうかと勧める。実は、舞台で共演中の若手女優のシルヴィアが、ヴァランスにお熱だというのだ。しかし友人にも仕事にも恵まれ、映画と舞台が生きがいのヴァランスにとって、今情事を始める気にはならない。強引な言い方をしたと謝るジョルジュ。バーを後にしたヴァランスは、夜道を1人で歩いていた。すると突然、若い男が注射器を片手に脅してきた。上着や時計、おまけにお気に入りの新しい靴も取られ、ヴァランスは裸足で家へと向かうのだった。
 翌日エージェントへ行くと、ジョルジュからテレビ映画の主演
の話を持ちかけられる。流行のセックス、ドラッグ、暴力が満
載の作品で、大物俳優を起用したいらしいとの話にヴァランスは激怒する。ずっと映画と舞台を中心に活躍してきたヴァランスにとって、知名度がさらに上がり稼げるというだけで、ポリシーを曲げるわけにはいかないのだ。しかもベッドシーンの相手はあのシルヴィアだという。自分向きの作品があったら呼んでくれとジョルジュに言い放ち、ヴァランスはエージェントを後にする。買い物を済ませ、いつものカフェに向かうと、店先で男が手巻きオルガンを弾いていた。聞こえるのは「パリの空の下」のメロディ。チップを渡し、カフェへ入るヴァランス。舞台の合間に少し時間ができたウァランスは、セルジュを学校に迎えに行ったり、家では一緒にラジコンで遊んだりするようになった。毎日朝の挨拶に枕もとへやって来るセルジュを送り出し、部屋の窓から登校風景を微笑みながら見守るのが日課になっていた。しかし、ふと気がつくと、机の上の写真たてを手に取ってしまうのだった。
 ジョルジュからの緊急の呼び出しに睡眠を邪魔されたヴァランスは、半分怒りながらエージェントにやって来た。アメリカ人のクロフォード監督が彼にジェームズ・ジョイス原作「ユリシーズ」の米仏合作映画に代役で出演して欲しいというのだ。マリガン役の俳優が事故で入院してしまったからだという。小さな役で撮影は3日後から、しかも英語作品という条件に、少し考えたいと申し出たウァランスだったが、結局マリガン役を引き受けることにした。撮影が始まった。実際の年齢よりずっと若い役なので、か
つらを付けメーキャップを施す。すっかり変わった自分を見て、考え込むヴァランス。通し稽古に入ると、完壁に覚えたはずなのに、スムーズに台詞が出てこない。監督に演技も直され、ヴァランスはいくぶん蹟略していた。台詞を覚え切れていない
ヴァランスを気遣ったクロフォード監督は、今日の撮影は中止
にした口家に帰り、台詞を暗記するウァランス。セルジュが帰
宅すると、ソファーで疲れたように眠っているヴァランスの姿
があった。
次の撮影日、今回は全てが順調に進むかに見えた。しかし、ヴァランスは突然言うのだった。「私は家に帰る。休みたい」と。
彼は突然スタジオから立ち去った…。

スタッフ

監督・脚本:マノエル・ド・オリヴェイラ
製作:パウロ・ブランコ
文芸顧問:ジャック・パルジ
撮影:サビーヌ・ランスラン
編集:ヴァレリー・ロワズルー
録音:アンリ・マイコフ
調整:ジャン=フランソワ・オジェ
美術:イヴ・フルニエ
衣装:イザベル・ブランコ
助監督:ゼ・マリア・ヴァシュ・ダ・シルヴァ
記録:ジュリア・ビュイゼル
製作担当:フィリップ・レイ
メイク:エマニュエル・フェーヴル
ヘアー:フィリップ・マンガン

製作:マドラゴア・フィルムシュ(ポルトガル)
ジェミニ・フィルム(フランス)
フランス2シネマ

キャスト

ミシェル・ピコリ
アントワーヌ・シャペー
レオノール・シルヴェイラ
カトリーヌ・ドヌーヴ
ジョン・マルコビッチ

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