URAMI〜怨み〜
原題:BRUISER
人間、続けますか。 『ゾンビ』の鬼才ジョージ・A・ロメロ最新作!
2000年/アメリカ/ヴィスタサイズ/ドルビーデジタル/上映時間:1時間40分 提供:コムストック、ポニーキャニオン、レントラックジャパン 配給:コムストック
2010年12月22日よりDVDリリース 2002年4月17日よりDVD発売 2002年03月15日 よりビデオ発売開始 2001年10月20日よりシアターイメージフォーラムにて”リベンジ”ロードショー!
公開初日 2001/10/20
公開終了日 2001/11/30
配給会社名 0028
公開日メモ 『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド/ゾンビの誕生』『ゾンビ』『死霊のえじき』の"ゾンビ三部作"であまりにも有名なジョージ・A・ロメロの8年ぶりの新作がついにやって来た。
解説
《『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド/ゾンビの誕生』『ゾンビ』『死霊のえじき』の”ゾンビ三部作”であまりにも有名なジョージ・A・ロメロの8年ぶりの新作がついにやって来た。》
“BRUISER(ならず者)”という名の男性雑誌の編集者であり、大人しくて真面目で目立たない主人公が、浪費家の妻にこき使われ、傲慢な上司に踏みにじられ、狡滑な証券マンに騙され、存在を否定される。そして、彼はある朝目覚めると「顔のない男」になっていた。まさにBRUISERと化した彼は怨みを晴らし始めるが…..。
「この映画には、私が映画を作れなかったこの数年間の怨みが込められている」
自ら脚本を書いたロメロ監督はそう語る。彼は93年の『ダーク・ハーフ』に続く企画を抱えていたが、ニューライン、MGM、20世紀FOXを6年間もタライ回しにされた。
ロメロはもともと自己資金で製作・脚本・監督・撮影まで一人でこなした『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド/ゾンビの誕生』(68)で登場した孤高の映画作家だ。彼の成功が『悪魔のいけにえ』(74)のトビー・フーパー、『ハロウィン』(78)のジョン・カーペンター、それにウェス・クレイヴンやサム・ライミなどのインディペンデント・ホラー作家を生み出した。その後もロメロは、ハリウッドから遠く離れた地元ピッツバーグで『ゾンビ』(78)『クリープショー』(82)なとを撮り続けたが、88年の『モンキー・シャイン』以降、ハリウッドでの映画作りに挑戦していた。
「でも、結局撮影に入ることすらできなかった。もうハリウッドには愛想が尽きたよ」
そして、インディペンデントに戻り、カナダ資本とカナダ・ロケで完成させたのが、この『URAMI』である。
主人公を苦しめるピーター・ストーメア扮する傲慢な編集長はロメロを振り回したハリウッドのエグゼクティヴがモデルだという。豪邸に住む彼は、狙った女性は片っ端から押し倒し、周囲には「オレがお前らを食わせてやってるんだ」と威張りちらす。
「彼は典型的なハリウッド人種だ。でも、人はみんな彼のような人間を憎みながらも憧れているんだ。特に最近のアメリカ人はね」
90年代後半のアメリカはバブル経済に狂っていた。誰もが株に手を出し、BMWやベンツに乗ることを目指していた。
「この映画の主人公も、必死で立派な家を買い、株式投資を始めるが、気がつくとカラッポの人間になっていた。高級車や豪邸は人生の目標にはならない。いくら高い物でも自分の中身を埋めることはできない。アイデンティティは金では買えないんだ。アイデンティティの喪失は今のアメリカの大きな問題になっている。それを象徴するのが、あの白い仮面だ」
『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド/ゾンビの誕生』では人種対立と家族の危機、『ジョージ・A・ロメロ/悪魔の儀式』(未・72)では女性解放運動、『ザ・クレイジーズ/細菌兵器の恐怖』(73)ではベトナム戦争、そして『ゾンビ』では、ショッピングモールに代表される消費社会の欄熟……。ロメロは常に世相を作品に反映させてきた。
「現状がひっくり返るようなプロットを作ると、結果としてホラーになる場合が多いだげさ。ただ、『URAMI』には、先ほど言ったように個人的な想いが込もっている。これは『マーティン/呪われた吸血少年』(77〉『ナイトライダーズ』(81)と並んで僕が最も愛着のある作品なんだ」
キャストは『ロック、ストック&トゥースモーキング・バレルズ』のジェイソン・フレミング、『ダンサー・イン・ザ・ダーク』のピーター・ストーメアと、話題作に出演している実力派の俳優がそろっている。また、カルトなファンに人気のミスフィッツが作中で演奏を披露しているのも見逃せない。
ストーリー
ヘンリー(ジェイソン・フレミング)は『BRUISER(ならず者)』という男性雑誌の編集部に勤めるマジメで気のいいサラリーマン。念願かなって郊外に立派な家を建てたのだが、資金不足で内装まで完成できない。毎日残業してもローンの支払いに追い付かない。彼の収入の少なさをバカにする美しい妻ジャニーン(ニナ・ガービラス)になじられながら、今朝も節約のために歩いて出勤。その途中でヘンリーは大学時代からの友人ジミー(アンドリュー・ターベット)の運転するベンツに拾われる。ジミーは株式仲買人で、ヘンリーのコンサルタントとして投資を運営していたが、「市場が低調で」と言い訳するばかりでロクに利益をあげてくれない。
編集会議で、ワンマンで人を傷つけるのを何とも思わない編集長のミロ(ピーター・ストーメア)に同僚の前で笑い者にされたヘンリーを、専属カメラマンのロージー(レスリーーホープ)が慰めてくれた。しかし彼女は憎っきミロの妻なのだ。
クレジット・カード会社からの電話で持ち株がいつのまにか減っていることを知ったヘンリーはジミーを問い詰めるが、彼はシラを切るばかり。
妻ジャニーンを同伴してヘンリーはミロの豪邸で開かれたパーティに出席する。ジャニーンは周囲の目も気にせずにミロとの浮気に耽る。帰り道でヘンリーに浮気を責められたジャニーンは逆に「あなたはカスよ。存在しないも同然だわ」と夫を罵倒し、ミロと外泊すると宣言して出て行ってしまう。
一人部屋に残されたヘンリーは、彫刻家でもあるロージーが仮装パーティ用に作った白い仮面を見つめながら思う。上司にも、妻にも、友人にも、軽んじられ、存在を否定された自分は、まるでこの仮面のような「顔のない男」ではないか、と。
翌朝、目覚めたヘンリーの顔にはその白い仮面が貼り付いていた。剥そうとしても剥れない。本当に「顔のない男」になってしまったヘンリーに、もはや失うものなど何もない。そして、今まで彼をないがしろにしてきた連中への怨みを晴らすべく復讐を始めたのだが……。
スタッフ
監督・脚本:ジョージ・A・ロメロ
製作:ピーター・グランワルド、ベン・バレンホルツ
製作総指揮:アレン・ショア
共同製作:マーティン・ウォルターズ、リック・ショア
音楽:ドナルド・ルビンステイン
撮影監督:アダム・スウィカ
美術:サンドラ・キバルタス
衣装:アリーナ・パノヴァ
キャスト
ヘンリー・クリードロー:ジェイソン・フレミング
ミロ:ぺーター・ストーメア
ロージー:レスリー・ホープ
ジャニーン・クリードロー:ニナ・ガービラス
トニー・ディジモネ:トム・ワトキンス
マイク・ラコウスキ:ジョナサン・ヒギンズ
ジミー:アンドリュー・ターペット
トム・バートラム:ジェフ・モナハン
ケティー・サルダノ:ペアトリツ・ピザノ
LINK
□この作品のインタビューを見る□この作品に関する情報をもっと探す