ワンス・アンド・フォーエバー
原題:We Were Soldiers
この映画を通じて、戦争の物語というより愛情の物語を描きたかった。 戦争という出来事を通じて、人が愛しているものを描いてみたかった。 (監督ランダル・ウォレス)
2002年3月1日より全米公開
2002年/アメリカ/ドルビーデジタル、SDDS/スコープサイズ/2時間18分/ 原作:角川書店/サントラ:ソニーレコードインターナショナル/ スコア盤:ソニー・クラシカル・アンド・ジャズ/ 配給:ギャガコミュニケーションズ=ヒューマックス共同配給
2003年01月21日よりDVD発売開始 2002年12月21日よりビデオレンタル開始 2002年6月22日より日比谷映画ほか全国東宝洋画系にてロードショー公開
ビデオ時に変わった場合の題名 ワンス&フォーエバー
公開初日 2002/06/22
配給会社名 0025/0145
公開日メモ たった79人の新兵を率いて2000人の ベトナム軍と戦うことを強いられた男。 彼は部下とその家族に「生き延びても、 たとえ死んでも、必ず皆を祖国に連れて帰る」 と誓う。部下を次々と失いながら彼が戦場で 見たものとは…?ベトナムの真実を描き出す アクション超大作。
解説
“我々は‘死の影の谷’へ進んでい<。そこで君たちは隣の人間の後ろ姿を、彼は君たちの後ろ姿を見るだろう。
そして君たちは彼の肌の色も、また信仰も気にしたりはしない。我々は頑強で自信に満ちた敵との戦いに向かっている。
私は君たち全員を生きて連れ帰ると約束することはできない。
しかしこれだけは誓う。我々が戦いに臨んだとき、私は戦場に踏み出す最初の者となり、戦場から退く最後の者となろう。
誰ひとり置き去りにしたりはしない。生きていようと死んでいようと、我々は全員そろって家路につく−−。"
この言葉は戦地に部隊を率いる前日に、ハル・ムーア中佐が部下たちとその家族にあてたものである。
1965年11月14日、日曜日午前10時48分。ハル・ムーアとその若き兵士たちは‘死の谷'として知られるベトナムの地、イア・ドラン渓谷の‘Xレイ'地点に辿り着く。ムーアはその言葉どおり、最初に戦場に足を踏み入れた。そして400名の彼の部隊は、2000人の北ベトナム兵に瞬く間に取り囲まれる。これはアメリカ史上最も過酷な戦いの一つであり、北ベトナム兵とアメリカ兵の初めての主要な対戦だった。そしてこの戦いこそが、その後10年に及ぶベトナム戦争激化のきっかけとなったのだ。
『ワンス・アンド・フォーエバー』は、ベトナム戦争初期、イア・ドランの3日間の戦いに焦点を当て、彼ら兵士が−アメリカ兵も、ベトナム兵も−戦場で仲間を守り、家族や恋人を想いながら戦った全てを、そして残された人々が愛する人の帰りを待つというもうひとつの戦いの全てを描いた、ドラマティックな感動巨篇である。
さらに本作は、実際にこの悲惨な戦争を戦い抜いたハル・ムーア自身と、カメラを持って前線に飛び込んで行ったUPIの戦地特派員、ジョー・ギャロウェイの2人の共著である「We Were Soldiers Once...and Young」をもとにした、紛れもない実話でもある。このベストセラーノンフィクションに惚れこんだ監督のランダル・ウォレスが、8年の歳月と多額の私財を投じ、自ら脚本、製作も兼ねて、完全映画化にこぎつけたのだ。
今までの戦争を描いた作品と一線を画す、本作の最大の特徴は、まず、敵兵の気持ちを描いていることである。彼らもまたアメリカ兵と同じように、知将のもとで、恋人の写真を胸に戦っていたのだ。そしてもう一つは、いつ届くか知れぬ戦死の知らせに怯えながら、夫や恋人の帰りを待つ妻や女性達も、戦争に巻き込まれた犠牲者であったということを描いていることだ。
全世界に先駆け、全米では3/1に公開し初登場第1位を獲得、出口調査では男女・年齢問わず全てのカテゴリーでA以Lの高い評価を得た。辛口の批評で知られるニューヨークタイムズ紙などでもアメリカが初めてベトナム戦争の真実に向きあったと絶賛されているのは、こういった本作のメッセージを受けてのことであろう。
主演のハル・ムーアには『ブレイブハート』でもランダル・ウォレスとコンビを組んだメル・ギブソンを配し、ジョー・ギャロウェイ役にはバリー・ペッパー、ムーアの気丈な妻にマデリーン・ストウ、他にもクリス・クライン、サム・エリオットなどの名優が脇を固めている。また、製作スタッフには『ブレイブハート』、『ダンス・ウィズ・ウルブス』、『プライベート・ライアン』などのアカデミー賞スタッフが、ランダル・ウォレスの情熱の元に勢揃い。かつてないリアリティを見せつける。
1人の人間が戦うこと、そして死んでいくことがどれほどの悲しみを伴うことか。100%兵士である人間など、ここには存在しない。戦場にいた人は誰かの息子であり、誰かの夫であり、兄弟であり、父親であった。愛する家族があり、恋人があり、夢があった。
歴史の中ですりつぶされた戦場の兵士たちを、そして敵さえも顔の見える1人の人間として描き、人間として「戦争」と正面から向きあって描くことでその命の尊厳を伝えた本作は、歴史的一作と決言えるだろう。
ストーリー
1964年。ジョージア州フォート・ベニングにあるアメリカ陸軍基地に、一台のステーション・ワゴンが到着した。ハンドルを握るハロルド・G・ムーア中佐(メル・ギブソン)は、ベトナムへ赴く兵士たちのリーダーとして選ばれた男。同時に、妻のジュリー(マデリーン・ストウ)と5人の子供たちにとっては、良き夫、良き父でもあった。
基地でのムーアの仕事は、ジャングルと山地に囲まれたベトナムの高地にヘリで降り立つという無謀とも思われる作戦を遂行できるだけの知恵と経験を、新兵たちに身につけさせることだった。プラムリー上級曹長(サム・エリオット)を右腕に、兵士たちの特訓を開始するムーア。彼が真っ先に部下たちに叩き込んだのは、戦場では仲間同士が守りあうしかないという同胞愛の心だった。若き少尉ジャック・ゲイガン(クリス・クライン)ら部下は、その教えを深く胸に刻みつけていった。
そのジャックに娘が誕生した。妻バーバラ(ケリー・ラッセル)と共にアフリカで孤児のために、働いてきた彼は、戦争で孤児が増えることにやりきれない思いを抱いていた。父親になりいっそうその思いを強くしたジャックは、ムーアに問いかける、「兵士であり、父親であるというのはどんな気持でしょうか?」と。それは、ムーアにも答えの出せない問題だった。
実験性を帯びたヘリ部隊、第七航空騎兵連隊は真っ先にベトナムへ派兵されることになった。その司令官である彼は、困難な作戦を前に、出兵のセレモニーの席で、部下とその家族を前にこう誓う。「私は君たち全員を生きて連れ帰ると約束することはできない。しかしこれだけは誓う。戦場において、私は戦場に踏み出す最初の者となり、戦場を退く最後の者になろう。ひとりとして置き去りにはしない。命があろうとなかろうと、我々は全員そろって家路につく」。
1965年11月14日現の叫ぶ谷〜イア・ドラン
1965年11月14日。ムーアの部隊は、南ベトナム中央高地に位置するイア・ドランの谷に降り立った。対峙する指揮官は、チュー・フォン山の山腹に陣をかまえる北ベトナム軍の知将アン中佐(ドン・ズオン)だ。
2日前、米軍キャンプに奇襲攻撃をかけ、米軍がこの地まで追って来るように仕向けたアン中佐の軍は、ムーアが偵察隊を送り出したのを見計らい、すかさず攻撃を仕掛けてきた。おどろくべき数の北ベトナム兵。ムーアたちはヘリの着陸地点(Xレイ)に釘付け状態になり、へリック中尉率いる偵察隊も最前線で孤立してしまう。すさまじい敵襲の最中、増援部隊と弾薬の移送任務を帯び、ヘリを果敢にXレイに着地させるパイロットのクランドール少佐(グレッグ・キニア)。激戦の模様に恐れをなした救急ヘリが出動をためらうなか、キャンプとXレイの往復を繰り返すクランドールのヘリ部隊は、補充の兵士を運び、負傷兵を連れて帰るという気の滅入るような任務に死力を尽くす。
戦況が好転する兆しが見えないまま、イア・ドランの谷には夕暮れの気配が忍び寄ってきた。ヘリック中尉の死後、偵察隊の指揮はサヴェージ軍曹(ライアン・ハースト)が受け継いでいたが、彼らを救出しようとするムーアの試みは頓挫するばかり。そんな中、クランドール少佐の操縦する最後のヘリに乗って、UPIの戦地特派員ジョー・ギャロウエイ(パリー・ペッパー)が前線にやって来た。「なぜここへ来た?」とたずねるムーアに、「戦争を理解するには、ライフルよりもカメラを構えるほうがいいからさ」と答えるギャロウェイ。しかし、その言葉とは裏腹に、まもなくギャロウェイにもライフルを構えざるをえない局面がめぐってくる。
残された家族、もうひとつの戦い
一方その頃、フォート・ベニングの宿舎には、イア・ドランで命を落とした兵士たちの計報を伝える電報が届けられていた。その電報が非情にもタクシーで事務的に配達されているのを知ったジュリーは、自分自身さえも壊れそうな不安の中、配達人になろうと決意。バーバラと共に、夫を失った妻たちの元を訪ね歩く。自分の腕の中で泣き崩れる女たちを慰めながら、ジュリーは、この辛く悲しい使命を最後までやり抜こうと誓うのだった。
北ベトナム兵も同じ戦争を戦っていた。彼らもまた、妻や家族を思い、胸に写真や日記を抱いて、決死の覚悟で前線へ飛び出して行く若き兵士らであった。
激戦の果てに…
それぞれの思いを抱いてイア・ドランに夜明けがやって来た。どうにか一夜を持ちこたえたサヴェージたちの偵察隊を救おうと、ムーアは自ら救出隊の先頭に立つ。だが、それを待ちかねていたように、アン中佐は主戦部隊を投入し、猛攻を仕掛けてきた。ライフルを手に応戦するギャロウェイ。司令部に無線で「ブロークン・アロー」のサインを送るムーア。それに応じて2機の戦闘機が出動、ベトナム兵の潜む森にナパーム弾を投下するが、ナビゲーションのミスによって味方の砲撃手もナパームの火の粉を浴びてしまう。重傷の火傷を負ったのは、「今日子供が生まれる」と言っていた日系の兵士。激痛にうめく彼をクランドールのヘリに乗せたギャロウェイは、あらためて自分の武器が何だったかを思い出す。ライフルをカメラに持ち替えた彼は、傷つき、叫びながら戦う兵士たちの生の姿をファインダーにおさめていった。
2日目の夜。負傷兵たちの様子を見回っていたムーアは、並べられた遺体の中に、ジャックの姿があるのを知って拷然とする。なんと多くの息子たちを死なせてしまったことか……。だが、彼にはまだやるべきことがあった。「命があろうとなかろうと、部下を全員連れて帰郷する」。その誓いを果たすべく、ムーアはアン中佐の意表をついて接近戦に持ち込む作戦を立てる。それは、彼自身が死を覚悟して臨む戦いだった。
スタッフ
監督:ランドール・ウォレス
製作:ブルース・デイヴィ、スティーヴン・マケヴィティ
ランドール・ウォレス
製作総指揮:ジム・レムリー
原作:ジョー・ギャロウェイ、ハル・ムーア
脚本:ランドール・ウォレス
撮影:ディーン・セムラー
音楽:ニック・グレニー=スミス
キャスト
メル・ギブソン
マデリーン・ストー
サム・エリオット
グレッグ・キニア
クリス・クライン
ジョシュ・ドーハーティ
バリー・ペッパー
ケリー・ラッセル
エドウィン・モロー
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