俺がずっとおまえの夢の番人になってやる。

2001年/日本/カラー/108分/ビスタサイズ/DTSステレオ 配給:アースライズ、アートポート

2002年11月22日よりDVD発売開始 2002年3月23日より新宿ジョイシネマ、池袋シネマサンシャインほか全国ロードショー公開

公開初日 2002/03/23

配給会社名 0014/0098

公開日メモ 芥川賞作家・辻仁成の劇場公開用映画第3作『フィラメント』は、「家族の再生」がテーマだ。監督だけでなく原案・企画・脚本・音楽も担当。激しく優しい物語、透明感と叙情感あふれる映像で、異才・辻仁成がこの時代のいびつさを鮮烈に描ききった。

解説


不器用な生き方しかできない人たちがいた。澤田写真館の人々——
26歳になっても定職に就かず、自らの感情を制御できない兄・今日太。男に騙されて結婚、結局出戻り、社会と隔絶して生きる妹・明日美。女装癖、女優に扮したセルフポートレイトが生き甲斐の父・篤次郎。パチンコ屋で知り合った若い男と出奔、10年後に戻ってきた母・加子。機能不全に陥っている家族……。彼らは共に暮らしながら、それぞれの居場所が見つからない。愛情を互いに確認することができない。
他人とうまくコミュニケーションできないがために切れやすく、「切れやすい電球」=「フィラメント」と呼ばれる主人公・今日太に大沢たかお、そんな彼を見守るように愛するヒロイン・明日美は映画初出演の「癒しの女王」=井川遥が演じる。現代アーティスト・森村泰昌(彼の作品は劇中でも使われる)、「ブリキの自発団」の銀粉蝶、村上淳など個性派が脇を固め、その映像に深みを与えている。
芥川賞作家・辻仁成の劇場公開用映画第3作『フィラメント』は、「家族の再生」がテーマだ。監督だけでなく原案・企画・脚本・音楽も担当。激しく優しい物語、透明感と叙情感あふれる映像で、異才・辻仁成がこの時代のいびつさを鮮烈に描ききった。

ストーリー



関西の九龍市−昔ながらの澤田写真館、そこに暮らす、すぐに見境のつかなくなるため「切れやすい電球」つまり”フィラメント”と呼ばれている主人公の今日太(26)と、写真館を営み女装癖のある父親篤次郎(55)、ヤクザと離婚したバツイチで夢遊病癖の妹明日美(23)。今日太の母親はパチンコ屋で知り合った若い男と駆け落ちしてもう十年になる。
ストリートギャングと称する不良仲間とオヤジ狩りを続けていた今日太だが、最近は興味を失い、向上心を持って務めてまともに働くよう心掛けていた。しかし、持ち前の切れやすい性格が災いし、何をやっても長続きがしない。今日も修行中のラーメン屋のオヤジをボコボコにしてしまった。
不良仲間の卓爾からは「おまえここんとこオモロナイで、そないにマジメに生きとったら若いヤツにシメシがつかへんやろ」更に追い討ちをかけるように「昔みたいに根性見せたれや」と巾5メートルのビルとビルの谷間を飛び超えるよう煽られる。やるせない思いで帰路につく今日太が夜道で見たものは、女装した父親の篤次郎だった。
 「変態を親に持つ子の気持ち考えたことあんのか!」と毒づくと「変態とちがう、変なだけや。みんなと違うことは素晴らしいことなんや」と切り返されてしまう。悄然とする今日太の救いは夢遊病癖の妹明日美だけだった。
 そんなある日、不良仲間の卓爾がヤクザから拳銃を奪いオヤジ狩りと称して、酔っ払いのオヤジを射殺してしまう。ヤクザに追われた卓爾は今日太を煽ったビルの谷間をジャンプしようとして転落死をしてしまう。
 悪いことは重なるもので、家に母親が帰ってきた。駆け落ちした男に棄てられたというのだ。罵倒する今日太を尻目に篤次郎が「家族は家族や、家族があることに感謝せな」と寛大に迎え入れてしまうのだ。
その夜、混乱の極致にある今日太を妹の明日美が一線を超えて受け入れる。
 翌日、篤次郎の提案で家族写真を撮ることとなる。十年ぶりの複雑な家族写真である。家族に再生の兆しが見えたのもつかの間、明日美がヤクザの元夫に犯されてしまう。
復讐に燃える今日太の手に篤次郎が手錠をかけた。「お父ちゃんにまかせなさい」
 子の恨みは親が成り代わり晴らすべく、篤次郎がヤクザ事務所へと向う。女装姿の篤次郎の眼には青い炎が燃えていた。  

スタッフ

監督・脚本・音楽・原案:辻仁成
製作:松下順一
企画:辻仁成
企画・プロデュ—ス:加藤東司、佐谷秀美
アソシエートプロデューサー:木谷祐介
プロデューサー:米山紳
ラインプロデューサー:山本章
撮影:蔦井孝洋
照明:疋田ヨシタケ
録音:橋本泰夫
美術:種田陽平、吉田悦子
編集:掛須秀一
提供:(株)イームービー
製作:(株)アートポート
企画:JINSEI FILM SYNDICATE
制作:(株)松下エージェンシー映像製作部

キャスト

大沢たかお
井川遥
森村泰昌
村上淳
不二子
銀粉蝶
松重豊

LINK

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