サイアム・サンセット
原題:Siam Sunset
人生はカラフルミラクルパワフル!!
ゆうばり国際ファンタスティック映画祭2001 ヤング・ファンタスティック・グランプリ部門・南俊子賞(批評家賞)受賞
1999年9月9日オーストラリア初公開
1999年/オーストラリア/カラー/シネマスコープサイズ/ドルビーステレオ/92分/日本語字幕:石田泰子 提供:(株)ワコー、㈱新日本映画社 配給:エスパース・サロウ
2002年04月25日よりDVD発売開始 2002年4月25日よりビデオ発売 2001年10月13日より銀座シネパトスにてロードショー決定
公開初日 2001/10/13
配給会社名 0087
公開日メモ 日本を始め世界中で大ヒットし、今や伝説の映画と化した『プリシラ』のプロデューサー、アル・クラーク。彼が再びオーストラリアのアウトバックを舞台にした、破天荒なファンタジック・ロード・ムービー『サイアム・サンセット』
解説
《あの『ブリシラ』から6年…再び世界中が熱狂!》
日本を始め世界中で大ヒットし、今や伝説の映画と化した『プリシラ』のプロデューサー、アル・クラーク。彼が再びオーストラリアのアウトバックを舞台にした、破天荒なファンタジック・ロード・ムービー『サイアム・サンセット』を届けてくれた。本作は1999年カンヌ国際映画祭批評家週間で観客賞受賞。続く韓国のプチョン国際ファンタスティック映画祭では『バッファロー’66』や『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』を制してグランプリを獲得。そして、ここ日本でも2001年ゆうばり国際ファンタスティック映画祭で、かつてクエンティン・タランティーノが『レザボア・ドッグス』で受賞した南俊子賞(批評家賞)を勝ち取り、世界中で観客、批評家の両方から熱い支持を集めている。
《世界最悪のバスツアーへようこそ》
イギリス人のペリーは、美しい妻、郊外に建つ心安らぐマイホーム、「色を作り出す」という魅惑的な仕事と、理想的な人生を歩んでいた。しかし、冷蔵庫が空から降って来るという(!?)前代未聞の出来事で最愛の妻を亡くしてしまう。哀れなペリーはその悲しみからなかなか立ち直ることができず、仕事にも身が入らない。気分一心、ビンゴ大会でたまたま当ったオーストラリア縦断バスツアーに参加するが、これがオンボロバスに、やたらと口うるさい運転手、そして一癖も二癖もある乗客達。そんな世界最悪のバスツアーときたもんだ。おまけに次々と起こる奇想天外なハプニング。加えて、新しいロマンスの芽生えと恋敵との死闘。ああ、ペリーの運命やいかに…?
《あの美形俳優ライナス・ローチがコミカルな投に挑戦!?》
主人公ペリーを演じるのはイギリスの正統派美形俳優ライナス・ローチ。今までは『司祭』やポ『鳩の翼』などシリアスな作品、役柄でその魅力を発揮してきた彼が、本作では次々と襲いかかる大災難に翻弄されドツボにはまっていく男をコミカルに演じている。「今まで出演した映画の中で、最高に楽しい作品だったよ。」と笑うライナス・ローチの新たな一面を垣間見ることが出来る。そしてペリーが最悪のバスツアーで出会い恋に落ちる女性グレースには、『トップレス』などニュージーランドのアート系作品で活躍しているダニエル・コーマック。主演女優選びに難航していたオーディション会場に現れた彼女を見た瞬間、監督は「やっとグレースに会った!」と叫んだエピソードがある程、役にはまっているコーマック。みずみずしい魅カを全身から発散させており、これを機に日本でもブレイク必至の注目の女優だ。そんな彼らの魅力を引き出し、とびっきり楽しくて心暖まる作品を演出したのは、これが長編映画初監督のジョン・ポルソン。トム・クルーズ主演のメガビット作『M:1-2』では俳優として陽気なオージー・ヘリパイロット役で出演。トム・クルーズの良きパートナー役を務めた。
《”色”が主役》
また、本作のもう一つの主役ともいえるのが”色”。ペリーの仕事は色を作り出すことであり、そもそも題名の『サイアム・サンセット』とは、ペリーが亡き妻と行った旅行先のタイで見た彼女の髪に映った夕陽の色。それは”平和”を意味しており、ペリーがその理想の色を探し求める姿は、理想の人生を追うことにこだわり続けてしまう彼の姿へと繋がって行く。人生には色々な事があるように、ペリーはバスツアーでの色々な出来事を経験して、自分の求める平和に行き着くのだ。その他、映画の随所で色が象徴的あるいは小ネタに使われており、このように色にスポットを当てている映画も珍しいといえる。
《暗い話題の多い今の世の中、笑って行こうぜ》
完壁な人生を送るなどそもそも無理な話。人生思い通りにならない事の方が多かったりする。だからといって、過去や失敗に囚われていては幸せなんて掴めない。何が起きても前向きに受け入れる気持ちがあれば、人生楽しくなるのだ!暗いニュースが多い現代に、『サイアム・サンセット』はそうしたメッセージをさりげなく伝えてくれる。そして本作を観た後、誰もがポカポカ陽気の日差しの中で日光浴をしているような、そんな暖かい気持ちに包まれるだろう。
ストーリー
色を作り出す仕事に携わるペリー(ライナス・ローチ)は、イギリスのとある郊外のマイホームに美しい妻と暮らす。休みの日に仲睦まじい2人は庭の芝生に寝ころび愛を確かめ合う。ペリーは空を見上げながら幸福を噛み締めこいた。すると、何かが2人目掛けて落ちてくるではないか。ぺリーがあっと声を発する間もなく、隣にいた妻に降りかかったのは、な、なんと冷蔵庫!妻を冷蔵庫に押し潰されるという驚天動地の出来事で失ったペリーは悲嘆に暮れる。
事故以来悲しみから抜け出せないペリーは、思う様な色が作り出せず仕事に行き詰まってしまい、心配した上司から休暇をとるよう諭される始末。丁度そんなとき、リフレッシュにと父親が誘ってくれたビンゴ大会で、オーストラリアを縦断するバスツア…が当る。悲しみを断ち切る為にも、また、自分の求める色か見つかるかもしれない、そんな思いを胸に彼はオーストラリアへ旅立っていった。
ペリーがオーストラリアの空港に到著すると、早速ジェントルなバスの運転手の出迎えを受ける。クリーンでデラックス、何ともゴージャスなバスに案内されたペリーは、これから始まる旅への期待に胸踊らせゆったりとしたシートに身を沈め一休み。ところが、運転手がチケットを確認すると、同じダーウィン行きのツアーでも会社が違うと言うではないか。仕方なくペリーはヘヴィなスーツケースを引きずりながら、外れのバス乗り場までとぼとぼと向かう。そこで待っていたのはオンボロバスに、やたらとルールに厳しい口うるさい運転手のビル(ロイ・ビリング)。そして、何かにつけてイギリス人に文句をつけたがるおやじや、頼みもしないのにギター片手に騒々しく歌いまくる男など、一癖もニ癖もある乗客達。早くもガラガラと音を立てて崩れる楽しい旅行への期待感。
「来るんじゃなかった」後悔に苛まれるペリーをよそにツアーは出発する。
ほとんどの乗客が寝静まってる夜、バスは道で一人の女性に助けを求められる。車が故障し、同乗させてほしいと頼む女性はグレース(ダニエル・コーマック)。彼女は恋人から金をこっそり盗み、逃げ出してきたのだった。一方、金をくすねられた恋人のマーティン(イアン・ブリス)は怒りに打ち震え、とても医者には見えないその悪役顔をさらに凄ませてグレースの後を追う。
ゴージャスなバスツアー客達がナイスなコテージに入って行くのを横目に、ペリー達一行はテントを組み立てていた。そう、彼らのお宿はオーストラリアの大自然をとことん味わえる粋なアウトドアだ…とは誰も思わない。野営する彼らを深夜突然の大地震が襲った。ペリーは妻の死以来、次々に彼の周りで起こるハプニングは自分のせいだと考え、オーストラリアに来てまでも何かに追われている、と恐怖に慄く。翌朝、彼はツアーから離脱しようと運転手のビルと他の乗客達に伝える。
ご難続きのペリーに、更に問題発生。彼がツアーから抜ける予定の次の街に到着目前、大雨で道路が封鎖されて一行は迂回を余儀なくされたのだ。ペリーもツアーに同行せざるを得ない。そこへ追い討ちをかけるように新たなトラブルの火種が起こる。グレースを追ってきたマーティンが、ツアーに加わりたいとバスに乗り込んできたのだ。グレースの隣座席におもむろに腰を降ろし、悪役の薫りがプンプン漂うマーティン。グレースとの間に良い関係が芽生えつつあったペリーにライバル出現?何やらサプライズな展開に車内は緊張感に包まれる。
運転手のビルはもう一方のデラックスなツアーに、何かと敵対心をむき出しにする。相手が早く自的地に到着するのを狙っていると知るや、夜中に皆を叩き起こし出発。更に砂漠を疾走中に敵の姿を見つけるやいなや、アクセル全開、猛スピードで対抗。乗客の事などおかまいなしだ。しかし、このままではオンボ□のバスがどうにかなってしまう。危険を察知したペリーは、ビルにスピードを落とすよう説得するが、今や”暴走野郎”と化してしまったビルは聞く耳を持たない。それどころかペリーを突き飛ばす。まさにその瞬間ペリーの中で何かが吹っ切れた。バスのルーフをぶち破り、身を乗り出し、天に向かってシャウトするパワフルなペリー。
「俺はここだ!俺を狙え!かかってこい!」
もう恐れるものは何もない。そこには何かに怯え、全て悪い方に考えてしまっていた彼の姿は消え去っていた。
ところが、暴走を続けたバスは案の定転倒し乗客は投げ出されてしまう。皆、命に別状は無かったものの、バスが炎上した際取り残されていた”波乱を呼ぶ、悪役ムード満点男”マーティンは一人ファイヤー状態で重傷を負う。今やオンボロバスさえも失った一行は、灼熱の砂漠のど真ん中を歩いて行かねばならず、これ以上無い最悪のツアーになってしまった。
まるで人類創世を地で行くような漂流者と化した一行が辿りついたのは、このツアーには正にお似合いのボロボロモーテル。電話も無く、十分な食料もない廃嘘のようなこの場所で皆は助けを待つしかない。ある夜、そんな状況に耐えかねたグレースはペリーを誘い、モーテルの主人からボロ車を買い脱出を試みる。しかし、すぐに車は故障、動かなくなってしまう。二人は車の屋根に寝ころび、星空を見上げながらお互いの過去を語り合う。妻を亡くして以来久々に心から笑う事ができたペリー。この一件をきっかけに、良い感じになった二人は愛し合うようになる。ついにペリーとグレースが結ばれた夜、部屋の外で巻き起こった大きな嵐が一つのミラクルを生み出そうとしていた。
翌朝、グレースが外に出てみると、自然のいたずらがくれた素敵なプレゼントを前にして佇むペリーがいた。
「遂に見つけた。サイアム・サンセットだ。タイの海岸で妻の髪に映った夕陽の色なんだ。」
そんな思い出の色を前にペリーは全てを吹っ切り、グレースと壁に様々な色を塗りたくり、はしゃぎまくる。きるで今迄の人生を新しい色に塗り替えるかのように。
そんな二人のカラフルダンシングを邪魔する者が…。重傷を負っているマーティンが現れ銃をぶっ放す。元恋人を奪われた恨みをはらさんとペリーのこめかみに銃口を突きつける。もはや絶対絶命のペリー、せっかく灰色の人生から抜け出し、バラ色の未来に向かっているというのに、何て事だ。負けるなペリーがんばれペリー!
スタッフ
監督:ジョン・ポルソン
製作:アル・クラーク
脚本:マックス・ダン、アンドリュー・ナイト
製作総指揮:アンドリュー・ナイト、ピーター・ベイルビー
撮影監督:ブライアン・ブレーニー
美術監督:リチャード・ホッブス
音楽:ポール・グラボウスキー
編集:ニコラス・ビューマン
録音:ジョン・シーフェルベイン
衣装デザイナー:ルイーズ・ウェイクフイールド
キャスト
ペリー:ライナス・ローチ
グレース:ダニエル・コーマック
マーティン:イアン・ブリス
ビノレ:ロイ・ビリング
スチュアート:アラン・ブロー
ジェーン:レベッカ・ホッブス
ロイ:ピーター・ホスキング
アーサー:テリー・ケンリック
マリー:ビクトリア・ヒル
スタン:アラン・ロベル
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