原題:The Dish

歴史を作るのは、無名の人々の絶え間ない歩みだ。 世界はなんと素晴らしいのだろう。 人間は何と大きな夢を見つづけて、実現していくのだろう。

2000年トロント国際映画祭観客賞受賞 2000年サンダンス映画祭正式招待作品

2001年3月14日全米初公開

2000年/オーストラリア/カラー/102分/ヴィスタサイズ/ドルビーSRD/ オリジナル・サウンドトラック:カルチュア・パブリッシャーズ 特別協力:カンタスオーストラリア航空会社 提供・配給:日本ヘラルド映画

2003年04月25日よりビデオ発売&レンタル開始 2003年04月25日よりDVD発売&レンタル開始 2002年7月6日よりシネスイッチ銀座にてロードショー公開

(c)MM The Dish Film Productions Pty Ltd.

公開初日 2002/07/06

配給会社名 0058

公開日メモ 歴史を作るのは、無名の人々の絶え間ない歩みだ。世界はなんと素晴らしいのだろう。人間は何と大きな夢を見つづけて、実現していくのだろう。

解説


 1969年7月、N・アームストロング、E・オルドリン、M・コリンズの3人の宇宙飛行士が乗り込んだあのアポロ11号のミッションは、人類初の月面歩行を衛星放送で世界に流すこと!二一ル・アームストロングによる人類初の月面第一歩と彼の残した”これは人間の小さな1歩だが、人類にとっては大きな飛躍である”の言葉は、世界中の6億人が衛星中継によって見た忘れられない場面である。しかし、この歴史的瞬間のライブ映像がいかにして私たちのもとに届いたかは、あまり知られていない。そして、その任務を命じられたのは南半球、オーストラリアの片田舎のアンテナだった。
NASAの科学者達は思わず叫んだ、”羊しかいないオーストラリアで宇宙事業が行える筈がない!”と。しかし、本作は宇宙事業に単にまつわる物語にとどまらず、巨大な夢を陰で支える無名な田舎の人々を描き出す感動の人間賛歌であるからこそ、私達の胸を打ち世界中で大ヒットしたといえる。加えて、トロント国際映画祭で最も注目を浴びている観客賞を受賞したことも記しておこう。
 オーストラリアでおこった月面歩行にまつわるこの歴史に残る瞬間を『月のひつじ』はチームワークとテクノロジー、NASAの科学者の情熱、ハニーサックル・クリークとパークスという要素を称えつつ1つの話に集約、完成させた。1969年7月の数日間、オーストラリアの科学者達は自分達がアポロ11号の飛行プログラムとの鍵を握っている重要な立場に置かれたことを知る。彼らの任務とは…月面歩行の映像をとらえ、かつて見たことのない歴史的映像を世界中にTV中継することであった。しかも生放送で。しかし、こんな世界的規模のイベントには、必ずといっていいほどいくつかの難関があるのである…。
 パークスのパラボラアンテナの責任者クリフを演じるのはオーストラリア出身の世界的なスター、サム・ニ一ル。ニ一ルはジェーン・カンピオン監督『ピアノ・レッスン』(93)では1993年度オーストラリア・アカデミー賞の最優秀助演男優賞にノミネートを果たし、同年ニユージーランド・エンターテインメント・オブ・サ・イヤーに輝いた。またステイーヴン・スピルバーグ監督作『ジュラシック・パーク3』(01)にも出演し、『月のひつじ』の製作チームと共に『Two Paddocks』も製作に乗り出すなど精力的にこなしている。クリフをサポートするミッチを演じるのはメルボルン・シアター・カンパニーで数々の舞台出演するベテランながら、本作で映画デビューしたケヴィン・ハリントン。若き科学者グレンにはテレビ、舞台で活躍する新進気鋭のトム・ロング。NASAからパークスに出張してきたエリートのアルには『MlB 2』『スクリーム 3』などのハリウッド大作にも多く出演するパトリック・ヴォーバートン。パークス町長で誰よりも月面着陸を夢見てパラボラアンテナを実現させたボブにはオーストラリア・アカデミー最優秀助演男優賞にもノミネートされているロイ・ビリング。ボブの妻メイにはケイト・ブランシェットとも共演をする実力女優ジェネヴィーブ・モーイ。グレンの恋人ジェニーには『M:I-2』での声の出演を果たしたエリザ・ソニート。アメリカ大使にはボブ・フォッシー監督やスチュワート・ローゼンバーグ監督作品にも出演し、ブロードウェイでも活躍するジョン・マクマーティン。町長ボブの息子ビリーを数多くのCMに出演する現在14才のカール・スニールが熱演。本作のスタッフで特筆すべきは、監督、製作、脚本の担当者がいないことである。ワーキング・ドッグという1つのチームの5人(S・シラウロ、T・グレイスナー、J・ケネディ、R・シッチそして製作のM・ハーシュ)が一緒に作り上げ、日本では未公開ながら、オーストラリアで1,000万ドルの大ヒットとなった『The Castle』に次ぐ第2作が本作だ。本作の内容と同じく、皆で力をあわせて奇蹟を実現する素晴らしさが描かれ、クリエイティブチームの存在が遺憾なく発揮されていると言えるだろう。編集は『ムーラン・ルージュ』で02年アカデミー賞編集部門にノミネートされているジル・ビルコック。音楽は『ビッグ・リボウスキ』『ファーゴ』を担当し、ニューヨーク・フィルハーモニー・オーケストラのアシスタント・コンダクターに任命されるエドモンド・コイ。ロケ地であるオーストラリアのパークスにあるこのパラボラアンテナ、”THE DISH”(原題)はサッカー場程の広さの楕円に1,000トンもの重さがあり、実質的にどこにでも焦点を定めることができる巨大なアンテナである。今もここを訪れる人は後を絶たない。

ストーリー


 これは事実に基づいた物語である。NASAは月時代の幕開けを行うため、1969年、7月アポロ11号を発射する。中にはN・アームストロング、E・オルドリン、M・コリンズの3人が乗り込んでいた。
NASAは当初、カリフォルニア州ゴールドストーンにある設備を利用し月面歩行の映像をとらえようとしていた。一方、ほぼ地球の反対側にあるオーストラリア、ニューサウスウェールズ州にあるハニーサックル・クリークとパークスでほ同じく科学者たちが、アメリカの強大なパラボラアンテナをバックアップするための伝播望遠鏡を準備、待機していた。しかし、打ち上げのスケジュールが当初の予定より遅れたことにより、パークスの望遠鏡が、この偉大な瞬間を捕らえることのできる理想的な位置にあるアンテナになった。かくしてニール・アームストロングの月面歩行の映像はオーストラリアから世界中に発信するという要請をニクソン大統領から受けることになる。
 NASAの科学者たちはその時、羊しかいない国で宇宙事業ができるのかと疑った。直径63メートル、重さ1,000トン。非常に精密なパークスのアンテナ”ディッシュ”はアポロ11号を追跡し、音質やデータを受信することになったが、最大の任務に月面着陸の生中継だった。アポロ11号が発射される一週間前に、オーストラリアにやってきたNASAのアルは、到着累々、アメリカとの違いにカルチャーショックを受け、さらにこの一大イベントに反対する人々に直面する。彼をアシストするはずの同僚達は世界最高のヒューストンの仕事ぶりとは雲泥の差。一方、オーストラリアの3人の科学者もこのアメリカ人の気難しいやり方と切迫感に頭を抱えてしまう。
 7月17日木曜日。オーストラリア西岸上空を飛行中。アームストロング船長は「いい旅になる」とコメントした。世界中が月への夢を大きく膨らませた。そして、パークスの町は一挙に大統領、首相、ジャ
ーナリスト達が押し寄せた。町長のボブはパラボラアンテナを誘致した第一人者だが今まで”ほら吹き”とか”夢想家”と密かに人々から嘲笑されていたのが、何と現実になったから、ボブの妻メイは公式行事に着ていく服が何枚合っても足らないほどだった。娘マリー、息子ビリーも、テレビから放送されるアポロ11号のニュースに釘付けとなった。もちろん、電波望望遠を操作する4人の科学者達は人生を賭けるほどの重圧を感じていた。
 やがて、アポロ11号が月へ向かって飛び立った数日後、大きな障害がパラボラを襲い、地球に残っている”ヒーロー”たちはアポロ11号との交信が一時的に途絶えてしま,たことに気がつくのだった。
彼ら科学者に加え、パークス市長のボブ・マッキンタイアー(ロイ・ビリング)、オーストラリア首相(ビル・ブラウン)はたまたパークスの町の名声と評判のためにも、3人のオーストラリアの科学者とアメリカ人の同僚達はアポロ11号との再交信に奮闘する。命の危険もある恐ろしい悪天候の状況下でいかにこのオーストラリア人とアメリカ人のチームが1つになって歴史的瞬間の映像を世界にもたらすことが出来るのか?

スタッフ

監督:ロブ・シッチ
脚本・製作:サント・シラウロ、トム・グレイスナー、
      ジェーン・ケネディ、ロブ・シッチ
製作:マイケル・ヒーシュ
ライン・プロデューサー:デボラ・コエイト
編集:ジル・ビルコック
音楽:エドモンド・コイ
演奏:メルボルン・シンフォニー・オーケストラ
セカンド・ユニット・ディレクター:サント・シラウロ

キャスト

クリフ・バクストン:サム・ニ一ル
ロス・“ミッチ”・ミッチェル:ケヴィン・ハリントン
グレン・ラサム:トム・ロング
アル・バーネット:パトリック・ウォーバートン
メイ・マツキンタイアー:ジェネヴィーヴ・モーイ
ルディ・ケラーマン:ティラー・ケイン
大統領:ビル・ブラウン
ボブ・マッキンタイアー:ロイ・ビリング
レン・パーヴィス:アンドリュー・S.・ギルバート
マリー・マッキンタイアー:レンカ・クリパック
キ一ス・モリソン:マシュー・ムーア
ジャニー・ケラーマン:エリザ・ゾニート
アメリカ大使:ジョン・マクマーティン
ビリー・マッキンタイアー:カール・スニール

LINK

□公式サイト
□IMDb
□この作品のインタビューを見る
□この作品に関する情報をもっと探す
http://www.thedishmovie.net/
ご覧になるには Media Player が必要となります