原題:concent

あなたを、感じたい

2001年/日本/35mm/カラー/ヴィスタヴィジョン/1時間53分/モノラル/R−15指定 配給:オフィス・シロウズ、メディアボックス

2002年07月26日よりDVD発売&レンタル開始 2002年2月2日より正月第2弾テアトル新宿にて『官能=感応』のロードショー

(C)2001 BS-i、アミューズピクチャーズ、ジャパンホームビテオ、オフィス・シ□ウズ

公開初日 2002/02/02

配給会社名 0220/0099

公開日メモ 新世紀ヲ代表スルベストセラー作家・田口ランディノ問題作、待望ノ映画化。果タシテ、コノ物語ノ果テニアルノハ、変身カ、進化カ、ソレトモ解体カ。コノ物語ハ、アナタノ心ノ組成ヲ反転サセル。

解説



新世紀ヲ代表スルベストセラー作家・田口ランディノ問題作、待望ノ映画化。果タシテ、コノ物語ノ果テニアルノハ、変身カ、進化カ、ソレトモ解体カ。コノ物語ハ、アナタノ心ノ組成ヲ反転サセル。

ミレニアムを代表する作家・田口ランディ

■“IT”という言葉さえすでに死語になりかけている現代、インターネットという新しい社会の窓を持った現代人は、この“窓”を通して様々なものと出会い、発見しています。その中でも、最大の発見の一つが田口ランディという新しい才能です。
■およそ文学というジャンルでは、印刷技術が確立されて以来、何世紀にも渡ってハード面での進化はありませんでした。しかし、田口ランディの出現によって、インターネットと出版は融合されたのです。メールマガジンやウェブマガジンを基にして、田口氏は数多くの著書を出版しています。
■しかし、田口氏の真の姿を語るには、こうしたハード面だけでは到底済まされません。例えば、ネットコラムニスト・田口ランディが取り上げる題材の多岐さを見るだけでも、彼女の特質の一片が垣間見えます。社会問題・時事問題からはじまって、精神世界や風俗、女性のライフスタイルからSEXにまつわるものまでがそこには混在しています。そうした稀有な混沌こそ、あらゆる情報がランダムに凝縮されているインターネットという世界を体現しているように思われます。
■そうした中から、田口氏が長編書き下ろし小説の題材としてチョイスしたのが精神世界=「こころ」の問題です。
■あらゆる面でのデジタル化=定量化・計量化が進んでいる現代でも絶対に他のものに置き換えることが出来ないのが「こころ」の動きです。この「コンセント」では田口氏は“OS”や“バージョンアップ”といったコンピューター用語を駆使して「こころ」の動きを見事に描き出し、現代人の感性に強烈に訴えかけました。この原作が危険で強い魅力を発散し続け、熱烈な支持者を持つ理由はそこにあります。

そして「コンセント」は昇華する

■「引きこもり」、「官能と感応」、「死と再生」———原作にちりばめられたこうした“キーワード”は映画「コンセント」の中でもいたるところで散見されます。一見無秩序のようでいて、しかし、確かに一定のベクトルの作用を受けている・・・その力の根源を見つけ出すこと=人は自分が誰なのかを知ることでもあるのです。
■この物語のヒロイン・ユキは、現代に生きるすべての者にとってすでに病理ですらなくなったこうした響きを、誰よりも鋭敏に感じ取ってゆきます。その道行きの途中では、彼女は彼我の境界面を行くばかりか、解体すらも体験するのです。
■過剰な熱量を保持して、暴走《オーバーロード》しながらも、しかし、彼女は一つの回答であるかもしれない“再生”=“再構築”=“環境のリセット”を試みるのです。
■映画「コンセント」はこうした物語を紡いでゆきます。言い換えれば、ヒロイン・朝倉ユキの兄の死によって始まる“死の匂い”を纏ったこの物語は、彼女が己の個と向き合うことで逆説的に個と世界の繋がりを認識し、新たな世界観を獲得することで、一筋の光を見出す“再生への序曲”として昇華するのです。

*『コンセント』の英語表記“CONCENT”は古語で音などの調和・一致の意

個性溢れるスタッフ・キャスト

■そのヒロインには市川実和子。数々のファッション誌や『東京コレクション』などでモデルとしてスタートした後、「アナザへブン」のヒロイン役でスクリーンデビューを飾った彼女が、この難役に挑戦します。
■ユキの同僚のカメラマンには、「ナビィの恋」「新・仁義なき戦い」「式日」と注目の監督の作品群に連続出演の村上淳。作品ごとに色合いを変化させる実力と独自の存在感を、この作品でも発揮することが期待されています。
■ユキの友人・律子にはつみきみほ。「櫻の園」では毎日映画コンクールの女優助演賞を獲得するなど、その実力には定評があります。さらにユキの兄を演じる個性派・木下ほうかをはじめ、精神科医・山岸にリリパット・アーミーなど関西の演劇シーンで注目を集める小市慢太郎、特殊清掃員には札幌での舞台活動で注目の斎藤歩が映画初出演します。
■さらにユキの大学時代の教授・国貞にはこれも演劇界で常に異彩を放っている芥正彦がこれも映画初出演するほか、ベテランの夏八木勲、二木てるみらに加え、りりィ、不破万作といった多士済済な顔ぶれが脇を固めます。
■そしてこの「コンセント」の映像化に挑むのはのは「櫻の園」、「12人の優しい日本人」、「コキーユ〜貝殻」、そして最新作「カラフル」など、精緻な演出力と独自の映像感覚を誇る中原俊。田口ランディという稀代の才能との出逢いは、映画史に新たなページを記すことが期待されます。
そして脚本は「お引越し」、「学校の怪談」シリーズの奥寺佐渡子。従来のイメージとは真逆のこの素材をどう料理するか注目が集まります。
■撮影は、崔洋一、篠原哲雄、瀬々敬久、橋口亮輔ら注目の監督たちの作品を担当してきた上野彰吾。中原監督とは「コキーユ」以来の顔合わせとなります。照明には「失楽園」「バトルロワイヤル」の小野晃。録音は「櫻の園」「秘密」の林大輔があたります。また、美術を担当するのは中原組の常連で、「楢山節考」以降の今村昌平作品を担当してきた稲垣尚夫。衣装デザインは「ナビィの恋」「風花」などの小川久美子が担当。編集には「顔」や「傷だらけの天使」シリーズなどの阪本順治作品で知られる深野俊英。さらに今回はハイビジョン撮影ということで、東通から宇津野裕行がビデオエンジニアとして参加します。
■音楽は「青い凧」「女人、四十」「あ、春」「風花」を担当した注目のアーティスト、大友良英があたります。さらにメインテーマはNHKのドキュメンタリー「世紀を越えて」で大ブレイクしたアディエマスが担当。昨年来のヒーリング系ミュージック大流行の立役者でもある、このプロジェクトチームによる“現代の新しいクラシック”の世界と、映画「コンセント」の出会いは必見です。
さらにもうひとつの話題がハイビジョン24Pによる撮影という新システムの採用です。「スターウォーズ」シリーズの新作でも使われている、この新世紀にふさわしいシステムで全編を撮影する劇場用映画として「コンセント」は誕生します。

ストーリー



雑誌のフリーライターをしている朝倉ユキには引きこもりの兄がいた。ある日、その兄が独り暮らしのアパートで餓死しているのが発見される。アパートを訪ねたユキが最初に目にしたのは、今まさに掃除を始めるかのように、「コンセント」に繋がれたままの掃除機だった。
それからというものユキは、嗅覚異常に悩み始める。きっかけは同僚のカメラマン木村の体から兄と同じ“死”の臭いを嗅いだことだった。ほどなく木村はガンに冒されていることが判る。ふと気が付くと、あちこちに“死”の臭いは溢れていた。なにげなく寄ったビデオショップ、電車の中…。
ユキはかつての恋人で、指導教授でもあった心理学教授・国貞にカウンセリングを求める。しかし、ユキには安息は訪れない。ついには兄の影がユキの視覚にまで入って来るようになった。そしてユキは思い出す。昔、兄と見たドキュメンタリー映画の中にあった、“自分の体から伸びているコードがコンセントに繋がっている時だけ動くことが出来る少年”の話を。
そんな中でユキは、大学の同窓生であり、今はシャーマニズムの研究家である律子や、精神科医の山岸らと出会う。彼らもユキの身を案じ、様々な解釈をユキに提示する。解離性障害者の中には、自発的にトランス状態になることが出来る者がいるという。そのことを彼らは一様に「コンセントを抜く」と表現するというのだ。
ユキの精神は解体の境界にあった。兄はなぜ生きることを止めたのか。そして繰り返し現れる「コンセント」とは一体何なのか。圧倒的な情報がユキを引き裂きかねないほどの勢いで押し寄せる。しかし、暴走の渦に巻き込まれながらもユキは真実をその奔流の中に見出してゆく。それは本当の自分へと《覚醒》するための第一歩でもあった…。

スタッフ

企画:佐々木史朗、見城徹
製作:鈴木孝之、宮下昌幸、升水惟雄、佐藤美由紀
プロデューサー:渡辺敦、東康彦、久保田傑
原作:田口ランディ『コンセント』(幻冬舎文庫)
脚本:奥寺佐渡子
撮影:上野彰吾(J.S.C.)
照明:小野晃
録音:林大輔
美術:稲垣尚夫
衣裳デザイン:小川久美
編集,衆望予{菱茸≡
スクリプター:川野恵美
ビデオ・エンジニア:宇津野裕行
ヘア・メイク:小田多佳子
助監督:武正晴
制作担当:福土茂
製作技術:東通
協力:ボノボ、イマジカ
音楽:大友良英
メインテーマ:アディエマス
       『IMMRAMA〜ユキへ〜』(東芝EMI/Virgin)
監督:中原俊

キャスト

ユキ:市川実和子
木村:村上淳
律子:つみきみは
ユキの兄:木下はうか
山岸:小市慢太郎
特殊清掃員:斎藤歩
葬儀社の男:不破万作
亜子:りりイ
アパートの大家:梅沢昌代
国貞:芥正彦
ユキの母:二木てるみ
ユキの父:夏八木勲

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