原題:hash!

21世紀的、子作り宣言。 『渚のシンドバッド』から5年、カンヌも揺れた!フランスにて大規模ロードショー決定!

第54回カンヌ国際映画祭・監督週間出品 2001年キネマ旬報ベストテン・主演女優賞(片岡礼子)受賞

2001年/日本/35ミリ/カラー/135分/ビスタサイズ/ドルビーSR/ 製作・配給:シグロ

2003年2月14日、15日特別レイトショー&スペシャルトークショー 2002年11月22日よりDVDレンタル開始 2002年4月27日よりシネクイント、梅田ガーデンシネマ他にておめでた!?ロードショー 2001年11月24日より長崎セントラルにて先行ロードショー公開

公開初日 2001/11/24

公開終了日 2001/12/14

配給会社名 0035

公開日メモ 『二十才の微熱』で鮮烈なデビューを飾り、さらに圧倒的な共感をもって迎えられた『渚のシンドバッド』から5年、橋口亮輔監督の新作『ハッシュ!』がいよいよ完成した。

解説



1本の傘から始まり2本のスポイトを経て彼らは……!?

《いろんなことあきらめてたんだけど、誰かとご飯食べたり、笑ったり、手をつないだり、なんかきれいだなとか、いいなとか、そういうこと、どんどん思えてきて》
『二十才の微熱』で鮮烈なデビューを飾り、さらに圧倒的な共感をもって迎えられた『渚のシンドバッド』から5年、橋口亮輔監督の新作『ハッシュ!』がいよいよ完成した。その脚本と演出はさらに力を増し、主人公たちの孤独感と憂鬱、そして葛藤を丹念に描き込み、リアリティと独特の可笑しみに彩られた、新たな世界に踏み込んでいる(本作は、今年5月の第54回カンヌ国際映画祭監督週間に正式招待され、上映中の会場は大興奮の渦に巻きこまれた)。
『ハッシュ!』の主人公は、30代の二人のゲイの男性と一人の女性。望むと望まざるとにかかわらず、人は一人であることをすでに自覚している年代である。しかしそれでもなお、彼らは他者と共にあることを選んでいこうとする。苦さの向こうに、あきらめの先に、新しい希望があることを感じとり、あらゆる現実的問題を克服し、新しい「家族」の可能性をさぐってゆく。
主役の三人には、『二十才の微熱』で女優デビュー以来、数々の映画で強烈な印象を残す片岡礼子、いまや映画・舞台でその演技力が高い評価を得ている高橋和也、そして、繊細な存在感が光る田辺誠一。三人三様の個性が遺憾なく発揮され、見事なアンサンブルを奏でる。さらに、秋野暢子、冨士眞奈美、光石研、つぐみ、沢木哲といった一筋縄ではゆかないベテランや新人たちが、それぞれの存在感を存分に披露している。

《傷つくことを怖れず、新たな一歩を踏み出すために——橋口亮輔》
人の一生のうちには、いくつかのスタートラインがあります。
ある人は学校の卒業だったり、就職、結婚、出産、愛する人の死だったりします。
そのたびに人は、揺れ動く自分に迷い不安にかられながらも、何とか現実と折り合いをつけ、気持ちをくくり直し、日々、人生に希望を見いだそうと生きています。
この物語は、そのスタートラインをアキラメから始めてしまった30代の一人の女性と二人のゲイのお話です。
この三人は、自分の単位は「1」で、決して「2」や「3」になることは生涯ないのだとあきらめていました。でも、それはちょっと違います。
誰も好きこのんで人生に何の希望も優しさも見出せず孤独に生きたいと思う人はいません。彼らだって、心のどこかでは「2」や「3」になっていく自分を願う気持ちはあるはずです。そして、彼らはその「2」や「3」をかつて経験したことがあるのです。
その幸福と思える時間を失い傷ついた経験が彼らを臆病にしています。もう、むやみに傷ついたり寂しくなったりするのは嫌だからです。荒野に踏み出す勇気が持てないだけかも知れません。
僕は、この三人が荒野に踏み出す勇気を持ち、もう一度人生を再生させていく様を『ハッシュ!』で描きたいと思いました。
38歳になる僕もまた、これからの人生をやっていくには勇気しかない。と思っています。

ストーリー


見ず知らずの三人を偶然が結びつける。
ペットショップで働く直也(高橋和也)は、気ままなゲイライフを送りながらも人生に何か物足りなさを感じていた。
土木研究所で働く勝裕(田辺誠一)は、ゲイであることを隠している。同僚のエミに好意を寄せられるが、それさえ拒めない優柔不断な自分を情けなく思っている。
歯科技工士の朝子(片岡礼子)は、人との関わりをアキラメたような生活を送っていた。好きでもない男とセックスして、空っぽの気持ちを誤魔化すのだった。
付き合いはじめた直也と勝裕。しかし偶然出会った朝子の出現で、彼らの平穏にいくかに見えた関係が揺れ動きはじめる。
朝子は勝裕がゲイだと知ったうえで、ある相談を持ちかけた。「結婚とか、付き合うとかではなく、子供がほしいの」と。
その朝子の決意は、直也と勝裕、そして個々の家族の心に大きな波紋を起こしていく。
ある日、京都から勝裕の家族が出てくる。勝裕と朝子の関係を嫉んだエミが、興信所に調べさせた朝子の情報を、勝裕の兄夫婦や直也の母親に送りつけていたのだ。
直也、勝裕、朝子、直也の母親、勝裕の兄夫婦、一同が揃う中、勝裕の兄嫁は朝子を問いつめる。かつての2回の中絶経験や自殺未遂のこと、男関係が激しかったこと。「子供を二人も殺すような人は母親になれない」と朝子を罵る勝裕の兄嫁。朝子は、兄嫁に思わず手をあげるが、そのまま気絶してしまう。
皆が帰った後、目を覚ました朝子は「小さかったころ誰かに死ぬほど抱きしめられていたら」という言葉を残し、寂しく去ってゆく。
数日後、直也と勝裕は朝子を気遣いアパートを訪ねる。
その後、関係が深まりつつあった三人に突然、悪い報せが舞い込んだ。勝裕の兄が交通事故で亡くなったのだ。
取り壊された勝裕の実家の跡地に立つ三人。夕暮れの川原を歩きながら、うずくまり声をあげて泣く勝裕を、ただそばにいて受けとめる直也と朝子。
朝子の引越しを手伝った後、朝子の新居で、勝裕の次は直也と子供を作るとスポイトを見せる朝子に、三人の笑いが弾けていた。自分たちなりの家族を作れるのではないか。漠然としながらもその可能性に目は向いていくのだった。

スタッフ

監督・原作・脚本:橋口亮輔
撮影:上野彰吾
照明:矢部一男
録音:高橋義照
整音:斉藤禎一
美術:小川富美夫
装飾:大坂和美
スクリプター:西岡容子
衣装:宮本まさ江
ヘアメイク:豊川京子
俳優担当:城戸史朗
キャスティング・プロデューサー:上田直彦
助監督:藤江義正
宣伝プロデューサー:竹井正和(リトル・モア)
企画・製作:山上徹二郎
製作:石川富康、塚田博男
音楽:ボビー・マクファーリン
   主題歌「Hush Little Baby」(ボビー・マクファーリン、ヨーヨー・マ)
製作・配給:シグロ
製作協力:(株)衛星劇場、(株)テレシスインターナショナル、芸術文化振興基金助成映画

キャスト

栗田勝裕:田辺誠一
長谷直也:高橋和也
藤倉朝子:片岡礼子
栗田容子:秋野暢子
長谷克美:冨士眞奈美
栗田勝治:光石研
永田エミ:つぐみ
マコト:沢木哲

斉藤洋介
深浦加奈子
岩松了
寺田農

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