原題:薫衣草

一足の靴のために天国からやってきた僕・・・エンジェル 一つの思いのために現実から逃避している私・・・アテナ 天使がくれた恋。

2000年12月21日香港公開

2000年/香港/カラー/107分/1:1.85/アメリカンビスタ/ドルビーSR 字幕翻訳:寺尾次郎 提供:ツイン、キングレコード、読売テレビ 配給:ツイン、キングレコード

2003年08月27日よりビデオ発売&レンタル開始 2003年08月27日よりDVDリリース 2003年1月25日よりシネ・リーブル池袋にてロードショー公開

公開初日 2003/01/25

配給会社名 0251

解説



恋人を亡くし生きる気力を失ったアロマテラピストのアテナ。そんな彼女の前に、ある日突然天使が現れる一
人の心を癒すのが仕事のアロマテラピストと天使が大都会で出会い、互いの傷を癒し合いながら自分たちのテーマである“愛”に目覚めてゆく姿を、時にはコミカルに、時には叙情的に描いたユニークなラヴ・ファンタジーが、この『ラベンダー』。演じるのは『世界の涯てに』(97)『アンナ・マデリーナ』(98)に続いて3度目の共演となる名コンビ、金城武とケリー・チャン(陳慧琳)。若さに円熟味を増して、演技者として最盛期を迎えつつある2人はこの作品でもそれぞれの個性を発揮。可笑しくも甘く切ない男女の微妙な心情を、繊細に表現しているのが見もの。
監督・脚本は『飛一般愛情小説』(97)でデビュー以来、『わすれな草/半支煙』(99)等で香港映画に新風を吹き込んでいるイップ・カムハン(葉錦鴻)。前2作品で披露したストーリーテリングの斬新さと独特のロマンティシズムを今作でも存分に披露。2000年のクリスマスシーズンに香港公開され大ヒットを記録している。
そして魅力的な共演者たち。金城扮する天使に恋するアテナの隣人チャウチャウをコミカルに演じるのが、98年に歌手デビュー以来、香港の音楽シーンをリードし続けているイーソン・チャン(陳変迅)。インパクトのあるキッチュな演技で第20回香港フィルムアワード(香港電影金像奨)の助演男優賞にノミネートされている。主な登場人物は以上の3人だが、ゲスト的に薬味の味わいでちらっと登場する3人の役者が豪華。まず、過去の自分の恋愛をしみじみと語る中年女性に『グリーン・デスティニー』(00)で燻し銀の魅力をみせた武侠映画の大女優、チャン・ペイペイ。恋人を失って意気消沈するアテナを励ますために街に現れる天使たちを、『美少年の恋』(98)『漂流街』(00)等のテレンス・イン、それに『食神』(96)等のチャウ・シンチー(周星馳)作品の脚本や監督で知られるヴィンセント・コック(谷徳昭)が演じ、遊び心に溢れた大人のメルヘンに一役買っている。
さらにそこに一流のスタッフたちも結集した。撮影はスタンリー・クワン(關錦鵬)監督の『ホールド・ユー・タイト』(98)『異邦人たち』(00)やアン・ホイ(許鞍華)監督の最新作『男人四十』(01)等、作家性の強い問題作を多く手がけているクァン・プンラン(關本良)、美術と衣装は共に『ラヴソング』(96)で香港フィルムアワード撮影、美術賞に輝いた実績のあるイー・チュンマン(デイヴィッド・プーンと共同)とドーラ・ン(99年『パープル・ストーム』でも衣装賞を受賞)、音楽はケリー・チャンやニコラス・ツェー等、香港の人気アーティストたちのアルバム・プロデュースでも知られ、この映画の主題歌も手がけたロナルド・ン(伍樂城)で、撮影、美術、音楽、主題歌のそれぞれの部門で第20回香港フィルムアワードでノミネートされている。

ストーリー


アテナ(ケリー・チャン)はアロマショップを経営しながら、閉店後の店でアロマテラピーの講義もしている女性。さびしい時、若返りたい時、ゆっくり眠りたい時、いろいろな気分にあわせた香りの調合法を無数に知っている。
だが彼女自身の毎日は味気なく、家と店を往復するばかり。食事はいつもインスタントラーメン。そして、毎日かならず買って帰る風船にメッセージを書きなくって空へ飛ばす一「あなたがいなくてさみしい」。

アロマオイルを垂らしたお風呂に浸かっては、ひとり涙を流すアテナ。そんなある嵐の夜、大音響とともに何かがテラスに落下してきた。それは、背中の羽根が傷ついてしまったものの、たしかに本人が名乗るとおり、エンジェル=天使だった!こうしてエンジェル(金城武)とアテナは出会う。
アテナにもらった初めての靴に大はしゃぎするエンジェル。アテナの隣人チャウチャウはエンジェルを毎晩のようにゲイ・クラブに連れ出してくれる。初めてのお酒、初めてのタバコ、初めてのダンス。エンジェルは下界の生活を大いに謳歌する。

やがてアテナが夜ごと流す涙の理由をチャウチャウが説明する。チャウチャウの幼馴染だったアンドリューとアテナは愛し合っていたが、特殊部隊に入っていたアンドリューは熱中症であっけなく死んでしまったのだ。エンジェルが天国に戻るときにアンドリューへのプレゼントを持って行ってもらおうと、アテナは毎日両手に一杯の買い物をしてくるようになった。アンドリューを忘れられないアテナと、そんなアテナのことが気になるエンジェル。ある日、アテナに靴を捨てられたエンジェルは、大切なものを失う悲しみを初めて知り、同時に「本当の愛」とは何かがわかり始める。

テレビのニュースで、バチカンがクリスマス・ミサに天国への扉を開けると報じている。エンジェルが帰るときが来たのだ。アテナとエンジェルはヨーロッパへ飛ぶ。アテナの希望で南仏のラベンダー畑に寄って、花束を手に入れる。アンドリューへの贈り物だ。バチカンへ向かう汽車を待つあいだ、駅のベンチでエンジェルは生まれて初めて涙をこぼし、アテナへ愛を告げるが、受けとめてもらえない。愛をもらえないエンジェルは寝台車の中で衰弱していく。エンジェルによって天国にいるアンドリューの姿を見ることができたアテナは、目を開けるとエンジェルがぐったりしていることに驚き、キスの雨を降らせる。このときアテナは自分もまたエンジェルに強く惹かれていることに気づくのだった。

夜が明け、エンジェルが飛び立つときが来た。靴をはいて空へ羽ばたいたエンジェルは、一旦アテナのもとに戻って口づけをしてから、大空へ消えていく。ひとりになったアテナは、食堂車へ行き、もりもり食べ始める。一滴の涙がこぼれるが、もう悲しみの涙は流さないとばかり、穏やかに微笑んでいる。
ある夜、アテナがいつものようにアロマ・バスに浸かっていると、ふたたび何者かがテラスに落ちてきた。それは、あの靴をはき、エンジェルと同じ顔をした男だった……。

スタッフ

監督・脚本:イップ・カムハン
美術監督:イー・チュンマン
撮影監督:クァン・プンラン
美術指導:デイヴィッド・プーン、ウォン・ビンユン
衣装担当:ドーラ・ン
編集:モーリス・リ
オリジナル・ソング:ロナルド・ン
主題歌:「薫衣草」ケリー・チャン
オリジナル・サウンドトラックCD:キングレコード
ノベライズ=アクセス・パブリッシング刊
製作:ゴールデンハーベスト、UFO

キャスト

金城武
ケリー・チャン
イーソン・チャン
チャン・ペイペイ
ヴィンセント・コック
テレンス・イン

LINK

□公式サイト
□この作品のインタビューを見る
□この作品に関する情報をもっと探す