原題:DYKKERNE

こどもたちの魂は、海のあぶくになりました。

2001年ロバート・フェスティバル(最優秀スペシャル・エフェクト賞受賞)

2000年10月13日デンマーク公開

2000年/デンマーク/デンマーク語/カラー/ビスタ/ドルビーデジタル/94分/日本語字幕翻訳:石田泰子 提供:丸紅株式会社 配給:M3エンタテインメント

2002年2月22日DVD発売&レンタル開始 2002年2月22日ビデオ発売&レンタル開始 2001年7月20日よりシブヤ・シネマ・ソサエティにて公開

ビデオ時に変わった場合の題名 デュカネ/U−461の謎

公開初日 2001/07/20

配給会社名 0024

公開日メモ 2000年カンヌ国際映画祭でのワールドプレミア上映で賞賛を浴び、同年11月デンマークでの公開を経て日本上陸を果たした本作は、2人の兄弟がとある夏休みに体験する、どこか懐かしくもスリルに満ちた冒険ファンタジーである。

解説


《「童話の国」から恥られてきた夏の思い出》
独創的な映像と繊細な心理描写で観る者を捉え、今年大ヒットとなった『ダンサー・イン・ザ・ダーク』。その監督ラース・フォン・トリアーを輩出した幻想的な国デンマークから.また新たな才能か届けられた。かの地は深青の海に囲まれ、「人魚姫」「マッチ売りの少女」ほか世界中の子供たちから愛されているアンデルセン童話発祥の国。厳しい現実を生きる親や子たちを有り余る愛情で包み込んだそれら名作の数々を土壌として『デュカネ/小さな潜水夫』は誕生した。2000年カンヌ国際映画祭でのワールドプレミア上映で賞賛を浴び、同年11月デンマークでの公開を経て日本上陸を果たした本作は、2人の兄弟がとある夏休みに体験する、どこか懐かしくもスリルに満ちた冒険ファンタジーである。

《神様を敬う信仰心と家族の愛》
北欧の大自然に囲まれなから、厚い信仰心と豊かな心を育んできたスカンジナビア地方の人々にとって、第ニ次大戦下でのナチスドイツの暴挙は絶えがたき忌まわしい過去であろう。50年という時を超えて再び現れた潜水艦の存在は、海の男として海神を崇めるおじいさんや、戦争で家族を失いひとり海辺に住むヘンクツな「骨おばさん」にとっては、忘れたくとも忘れられない記憶である。深海に眠る死者の魂を起こしてはならないという言葉も、しかし今や現代っ子の兄弟たちには迷信としか聞こえない。だが潜水艦の中には魂を縛り付ける謎の装置が今も動きつつけ、弟の魂も捕われてしまう。いざ生命の危機に瀕した時、信ずるへきものは綿々として先祖から受け継がれてきた神様や魂の存在と家族の祈りであり、本作の底辺に息づくのは、おじいさんから孫へ愛と生を伝えるあたたかい家族の絆の物語なのである。

《北欧を代表する、世界へ羽ばたく映画スタッフたち》
89年の『ヴァルビィの奇跡』で世界中の映画祭において絶賛され各賞受賞し、91年のゆうばり国際ファンタスティック映画祭でも最優秀作品賞に輝いた実績を持つ監督のオーケ・サンドグレンは、その後も『イノセント・ライフ』(93)のほかドキュメンタリーやオペラを演出する等豊かな才能を開花させ、本作でも海の神秘と生き生きとした人間ドラマを描くことに成功している。その監督が惚れ込んだ脚本には、72年生まれの若輩ながら99年ベルリン国際映画祭銀熊賞を受賞した『ミフネ』の共同脚本をはじめ”Valgaften”(98)で99年米アカデミー賞短編映画賞を受賞、そして2000年東京国際映画祭を経て今年3月に公開されたばかりの『キング・イズ・アライヴ』(OO)も手がけているアナス・トーマス・イェンセンが担当している。
99年の夏に12週間かけて撮影された本作は、デンマーク沖の大海原でのロケーションはもちろんのこと、セジェ□島や、巨大なスタジオを建設しその中でやはり巨大な貯水タンクを駆使して見事な海底シーンを造り出した。撮影に『ヴァルビィの奇跡』(89)、『ナイトウォッチ』(97)、『ミミック』(97)のダン・ローストセン。中でもディテールにこだわった潜水艦内部での霊魂のシーンは、特殊効果スタッフにデンマーク・スペシャル・エフェクト・サービスを呼び、観るものへ魂の神秘と対峙する密室での圧迫感を訴えかける事に成功した。

ストーリー



第ニ次世界大戦末期、デンマーク沖で敗走する一隻のナチスドイツ軍の潜水艦(Uボート)が撃沈された。ある秘密をたずさえたまま・・・。

それから50年後—————。
コペンハーゲンに住む2人の兄弟クリスチャン(ロバート・ハンセン)とその弟アスク(ラルフ。ホラナー)は、夏休みを過ごすために、おんぼろ船にのって質素な生活を営むおじいさんのユルゲン(オットー・ブランデンブルク)の住む港町へ遊びにやってきた。母子家庭で都会に暮らす兄弟にとって、大自然に囲まれ海が広がるこの島は格好の遊び場だった。

その町には美しく成長した幼なじみの少女マヤ(ローラ・オーゴー)が暮らしていた。思春期をむかえたクリスチャンとマヤにとって、再会は恋のはじまりでもあった。マヤの父は大金をはたいて最新設備の掃海艇を手に入れ、トレジャー・ハント(宝探し)の専門家エリック(ボア・オーウェ)らドイツ人を海へ案内し大もうけをしようとはりきっていた。けれど、おじいさんは宝物を探そうと海を荒らすエリックたちを快く思っていなかった。

あくる日、兄弟はマヤと一緒におじいさんの”アン・マリー号”で海へ出る。スキューバダイビングを楽しんだ帰りみち、兄弟たちを乗せた船は”7B”と呼ばれる海域を通過した際、不思議な現象に襲われる。突然、測深器が狂いはじめた船は、激しく揺れ停止してしまったのだ。クリスチャンとおじいさんは海峡中央のブイに引っ掛かっただけだと気にとめなかったが、その時アスクだけは敏感に感じ取っていた。「海の中で、何か声がしたんだ」と。

陸へ戻った彼らを勤務先からかけつけた母(ディッテ・グローベル)が出迎える。久しぶりに4人で食卓を囲み、夜を楽しく過ごすが、看護婦として働く母はふたたび仕事場へと戻っていく。その頃エリックたちは古びた非常ブイを発見していた。それは潜水艦の存在を確信させる代物だった。そしてエリックは、密かにある者に連絡を取る。探検隊も知らぬあることを彼は企んでいたのだ・・・。

ふたたび海へ出たクリスチャンたちは、昨日不可解な現象が起きた海域の探検を開始する。おじいさんの心配をよそにわくわくしながら深海のなかへ冒険にでる二人…そしてついに漆黒の艦体が姿を現す。それはかって世界を轟かし、脅威に陥れたナチス潜水艦の残骸だった。好奇心を抑えることが出来ず艦内へと進んでゆくクリスチャンとアスク。心配するおじいさんをよそに探検を続ける兄弟が、ようやく海からあがったのはだいぶ時間がたってからだった。

さっそく潜水艦について調べはじめたクリスチャンはついに、沈んでいたのがかつてナチスが極秘に開発した”ある宝物”をのせたまま沈没してしまった「U-461」であることを知る。世紀の発見に喜び、心躍らせるクリスチャンだが、何か不吉な予感を感じとるおじいさんは「死者に手出しはしないこと」と二人に告げる。

クリスチャンとマヤがニ人きりの時間を過ごすころ、アスクは戦争で家族を失ってからも防波堤で帰らぬ息子を待ち続ける”骨おばさん”ことランスコウ夫人(ユッテ・アビルストロム)の元をおとずれ、潜水艦の中で子供たちの叫び声を聞いた不思議な出来事を伝える。と、その時突然ニ人は突風に包まれる。それは骨おばさんに何か不吉な予感を感じさせるものだった。彼女はアスクにきつく”潜水艦にこれ以上近づいてはいけない”と忠告する。

しかし、宝物を見つけておじいさんを喜ばせたい二人は、おじいさんが寝静まるのを待ち、ちいさなボートに乗ってたった二人きりで潜水艦のもとへ向かってしまう。ふたたびたどりついた艦内。閉じられていた扉の向こうには、兄弟の想像を超えた物が存在した。それは「子供たちを閉じ込めたカプセル」が並ぶ、異様な光景。アスクと同い年であろう子供たちはドイツ軍の犠牲者となり、実験台にされていたのだ。驚きを隠せない二人。そこで事故は突然起こった。

カプセル中の生きているはずのない子供たちの叫びを聞き驚いたアスクは転げ落ち、意識を失ってしまう。アスクの叫び声を感じとった骨おばさんとおじいさん。クリスチャンの必死の救助によって母の勤める病院に担ぎ込まれるが、アスクはすでに生死の境をさまよう危険な状態だった。自分を責めるクリスチャンに骨おばさんは告げる。「アスクの魂が潜水艦の子供たちに捕らえられている。弟を救うには子供たちをカプセルから解放させなければならない」と。

骨おばさんの言葉を信じ、クリスチャンとおじいさんは再び船を走らせ潜水艦の元へ急ぐ。一人艦内へ辿り着いたクリスチャンは、アスクと子供たちの魂を救うため必死にカプセルを破壊する。しかし、その時「U-461」の秘密装置を狙うエリックたちが迫って来た。カプセルを独占しようとするエリックに殴られ、海底に投げ出されるクリスチャン。アスクを救う唯一の道が閉ざされようとしたその時、長い年月眠っていた潜水艦が突如光を放つ。
そして・・・。

スタッフ

監督:オーケ・サンドグレン
製作:ミケル・オーベル/ぺーター・ベック
脚本:アナス・トーマス・イェンセン/ベント・E・ラスムセン
撮影:ダン・ローストセン(DFF)
音楽:ニーノ・ヤコブセン/モーテン・ダインボル
編集:キャスパー・ライク
視覚効果:トーマス・ボーク・ニールセン
特殊効果:デンマーク・スペシャル・エフェクト・サービス
潜水艦操作:トーマス・クリステンセン

キャスト

クリスチャン:ロバート・ハンセン
アスク:ラルフ・ホラナー
マヤ:ローラ・オーゴー
おじいさん:オットー・ブランデンブルク
ランスコウ夫人(骨おばさん):ユッテ・アビルストロム
エリック:ボア・オーウェ
シーモン:イェスパー・アスホルト
トーベン:ビャーネ・ヘンリクセン
母親:ディッテ・グローベル
アンドレ:ビョーン・フロベア
ニールス:オーヴエ・クリスチャン・オーウェ
医師:ラスムス・ハクセン

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