原題:Am I Beautiful?

その時、天使が見えた。 ドイツ映画界の黄金コンビ、ドーリス・デリエ+フランカ・ポテンテ遂に登場!

98年ベネチア国際映画祭クロージング作品 98年トロント国際映画祭特別招待作品

1998年/ドイツ映画/116min/カラー/ヴィスタサイズ/ドルビーステレオ 配給:エスパース・サロウ

2001年9月28日DVD発売&レンタル開始 2001年9月28日ビデオ発売&レンタル開始 2000年9月シネマ・カリテにてロードショー!

公開初日 2000/09/02

配給会社名 0087

公開日メモ その時、天使が見えた。 ドイツ映画界の黄金コンビ、ドーリス・デリエ+フランカ・ポテンテ遂に登場!

解説

「私って、綺麗に生きてるかな?」と、自らに問いかけてみる———

どこまでも広がる青空、乾燥した空気。何もない草原には大きな雄牛の看板がぽつんと佇んでいる。ここはスペインのはずれ。太陽の陽射しは赤茶けた大地に、そして、そこをまっすぐに貫く道路にさんさんと降り注ぐ。車は開放的な景色を象徴するかのようにスピードを上げて進んでゆく。
ドイツ・ミュンヘン。雨の多いこの街は灰色の雲に覆われ、吐く息もまだ白い。道路は大渋滞し、排気ガスが景色を更に灰色に染め上げる。クラクションを鳴らしても車は一向に進まない。そんな対照的な二つの街に無造作に散らばった幾人かの登場人物。そして彼らを取り巻くいくつかのエピソード。
本当の自分をさらけ出すのが怖くて自分自身を偽ってしまい、そんな自分が孤独で同情してもらいたくて、さらに嘘を重ねてしまうリンダ。愛する人を失い、留守番電話のメッセージに残されたその人の声を聴くために何度も電話を掛けてしまうエルケ。大切な人の死を現実のものとして受け入れられずに、いつまでも悲しみに暮れてしまう老人。そして、新しい誰かとの出会いで、止っていた日常が次第に「光」を取り戻してゆく。喪失と再生が当たり前のように繰り返される日々。その繰り返しの波に揺られて浮かんだり沈んだりする感情。どこにでもある様な、時に不器用で滑稽な、けれども胸に突き刺さるような登場人物たちの姿を通して、「ありのままの自分で恐れずに生きてゆくことから全てが始まる」と言うメッセージが暖かく伝えられてゆく。
主人公・リンダを演じるのは『ラン・ローラ・ラン』で赤毛を振り乱してベルリンを走り回ったフランカ・ポテンテ。本作では『ラン・ローラ・ラン』でのポップなイメージとは一変して、喪失から再生へと向かって自らを乗り越えてゆくリンダを深みを持って演じている。
監督はドイツ国内で絶大な人気を誇り、日本でも『愛され作戦』などが公開されて話題となったドーリス・デリエ。彼女が登場人物たちの日常を流れる感情をコミカルに、そしてユーモアたっぷりに描く。ヴェンダース、ファスビンダーに代表された“ニュー・ジャーマン・シネマ”が終焉に向かう頃、で理恵は“ニュー・ジャーマン・シネマ”のイメージを払拭する作品『メン』を発表した。そして、この『メン』はハリウッドの大作を抑えて86年ドイツ国内の一番のヒット作となった。今日においてデリエは、昨年日本でも公開された『バンディッツ』『ラン・ローラ・ラン』などの“ポスト・ニュー・ジャーマン・シネマ”の草分け的存在として高く評価されている。『アム・アイ・ビューティフル?』完成の2年前、長年の間彼女の作品の撮影監督を務め、公私共にパートナーであった夫の死に直面したデリエ。その経験を通して彼女が得た“強さ”がこの映画に暖かさとやすらぎを与えている。

この『アム・アイ・ビューティフル?』は98年9月に本国ドイツにおいて公開され、公開期間4ヶ月間にも関わらず、ドイツ国内では98年の年間第5位の動員記録を達成するヒット作となった。また、98年のヴェネチア国際映画祭クロージング作品の他、トロント国際映画祭特別招待作品にも選ばれるなど、世界的にも高い評価を得ている。この映画の原作は、監督・デリエが書いた『bin ich schon?』。97年に『あたし、きれい?』(集英社刊)と題して日本でも出版されている。

綺麗な人生なんてどこにも無い。それでも、私達は「わたしって、繍麗に生きてるかな?」と自らに問いかけながら、新しい自分になりたいともがきながら、そして何だか不器用で、もどかしい自分に苦笑いしながらも一歩づつ前へ進んでゆくのだ。

ストーリー

広い空がどこまでも続くスペインの草原。暑い午後。まっすぐに貫く道の片隅に薄いワンピースに身を包んだリンダ(フランカ・ボテンテ)が立っている。小さなバッグとミネラルウォーターが彼女の持ち物の全てだった。そこへ、ドイツのナンバープレートを付けた車が止った。車を運転しているのは40才くらいの太ったドイツ人男性・ヴェルナー(グスタフ=ペーター・ヴェーラー)。車に乗り込んだリンダに彼が話し掛けようとすると、リンダは彼にカードを渡した。そこには「私はろうあです」と書かれている。車が先に進む中、リンダは突然バッグを車の窓から空高く投げ捨てた。おどろくヴェルナーにリンダは力なく微笑む。その後二人はとあるモーテルに入る。そこでヴェルナーはベルトを外し服を脱ぎ、そのベルトで自分を叩くようにリンダに頼むの。仕方なしにリンダは彼を叩く。

同じモーテルでの隣の部屋では、クラウス(シュテファン・ヴィンク)がミュンヘンのブティックで仕事中の元恋人・フランツィスカ(アニカ・ドブラ)に電話を掛けていた。二人の思い出の地であるこの街で仲を取り戻したいクラウス。だが、一方のフランツィスカはクールな態度を貫き通す。電話を切ってフランツィスカの店へ中年女性のリタ(イリス・ベルベン)がやって来た。

真っ赤なカシミアのセーターに一目惚れをしたリタ。現金を持ち合わせていなかった彼女は、閉店時間に間に合うようにと急いで現金を取りに家へ戻るが、夫のフレッドは裸で彼女の帰りを待ちわびていた。そんな夫の機嫌を損ねないために、リタは急いで彼の欲望を満たす。しかし、最近ダイエットに成功したばかりの彼女の頭の中はカロリー計算でいっぱいだ。事を終えて再び服を纏ったリタは急いででセーターを買いに店へ戻った。

店を閉めたフランツィスカは滝のように降る雨の中、車で家路を急ぐが、突然エルケ(マリア・シュラダー)の車にぶつけてしまう。怒鳴りながらフランツィスカの車に乗り込んで来たエルケは、座席においてあった彼女のウェディング・ドレスに興味を持つ。フランツィスカの勧めでドレスを纏ったエルケ。近くの食堂のトイレの鏡で純白のドレスに包まれた姿を見つめながら、エルケは突然の事故でフィアンセを失った事、そして留守番電話のメッセージに残された彼の声を聞くために今でも電話をしてしまう事を打ち明ける。一方のフランツィスカは出会って8週間しか経っていないフィアンセ・ホルガー(ミヒァエル・クレム)と結婚の準備をしていることを話す。

その頃スペインでは、傷心のクラウスが草原に捨てられたリンダのバックをみつけ、「私はろうあです」と書かれたカードを手にしていた。その裏面には「リンダへ」と書かれ、あるメッセージが添えられている。その直後、クラウスは亡き妻の骨壷を抱えた老人(ディートマ・ショーンヘル)に出合う。老人はその骨壷を妻の故郷であるドイツに埋めに行くところであった。スペインの居酒屋で意気投合する二人。そこへ偶然リンダが現れ、例のカードと一輪の花を渡しては店の客からお金を受け取っていた。それを見たクラウスは彼女がリンダだと知って話し掛けるが、リンダは振り切るように逃げ出してしまう。

逃げ出したリンダは中年のドイツ人男性・ポド(ウーヴェ・オクセンクネヒト)の車をヒッチハイクする。車の中で二人はやがて会話を始める。リンダはろうあではなくそう装っていただけなのであった。夜も更け、ホテルについた二人は別々に部屋を取るが、後にリンダがポドの部屋を訪れ結局二人は夜を共にする事になる。リンダは、自分は不治の病にかかっており、いたたまれなくなって病院から逃げ出してきたと真摯な表情でポドに告げる。彼は死んだ妹の話をしてリンダを必死に励ますが、翌朝、彼女の背中に日焼けの跡を認め、全てが嘘だったと知り怒って部屋を後にする。残されたリンダは途方に暮れる。

スタッフ

監督:ドーリス・デリエ
製作:ベルト・アイヒンガー、マーチン・モスコヴィッツ
製作総指揮:ノーベルト・プロイス
脚本:ドーリス・デリエ、ロルフ・バーセドウ、ルート・シュタットラー
撮影:テオ・ビアケンズ
編集:イネス・レグニエ
音楽:ロマン・ブンカ
衣装:ヨシオ・ヤバラ

キャスト

リンダ:フランカ・ポテンテ
クラウス:シュテファン・ヴィンク
フランツィスカ:アニカ・ドブラ
ウナ:ゼンタ・ベルガ
ヘルベルト:ゴットフリート・ジョン
エルケ:マリア・シュラダー
リタ:イリス・ベルベン
フレッド:オリヴァ・ネゲレ
シャルロッテ:ニナ・ペトリ
ロベルト:ヨアヒム・クロル
ヴェラ:ハイケ・マカシュ
老人:ディートマ・ショーンヘル
ホルガー:ミヒァエル・クレム
ポド:ウーヴェ・オクセンクネヒト
ダヴィド:オットー・サンダー

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