ルー・サロメ 〜ノーカット版 善悪の彼岸〜
原題:Al di là del bene e del male
善悪の彼岸 ノーカット版
1977年/イタリア フランス 西ドイツ/カラー/127分/R-18 配給:彩プロ
2006年2月18日、新宿K's cinema他にてロードショー
(C)LOTAR FILM Roma/CLESI CINEMATOGRAFICA Roma
公開初日 2006/02/18
配給会社名 0106
解説
天才哲学者ニーチェや詩人リルケの心を虜にし、ヨーロッパ19世紀末を華麗に彩った才媛ルー一・サロメ。帝政ロシアのペテルブルグ出身のルー・ナロメ(1861〜1937)は、若い頃ヨーロッパに出て一流の知識人と交流し、数多くの著作を残した。彼女は、19世紀の男性社会のなかで自由を求め、自由奔放で力強い生き方をした。彼女が望んだのは「男と同じように自由に行動する」ことであった。彼女の夢は、2人の男性と”三位一体”の共同生活を送り、彼らとともに勉強し、議論することであった。ルーは、ローマで若手哲学者レーとニーチェと出会い、”三位一体”の共同生活を始める。若い女性が2人の男と共同生活を送ることは、当時としては大胆であり、スキャンダルであった。ルー・サロメの現代性は、古いモラルや社会的な因襲に縛られずに自由を追求したことにある。
レー・プリッツ、カールと、彼女の前には次々と恋人が現れる。彼らはルーにプロポーズをするが、ルーは「結婚なんて感情の牢獄よ」と言って結婚を受け入れない。学者のカール・アンドレアスは、自分の体にナイフを刺してルーに結婚を強要する。結局ルーは結婚を受け入れる。しかしルーは生涯、結婚に縛られることなく、自由にヨーロッパを旅行し、何人もの恋人を作った。多くの恋人にとってルーは世紀末のファム・ファタルであり、嫉妬と独占欲に苦しめられた。それは彼女があくまでも自由を求め、決して恋人たちに妥協しなかったからである。ルー・サロメが活躍した時代は19世紀末から20世紀前半であるが、彼女は現代の自由な女性たちの先駆者である。
『ルー・サロメ』は、19世紀末のヨーロッパを舞台に、歴史上のλ物ルー・サロメを軸に哲学者ニーチェとパウル・レーの友情をいきいきと描いた青春腔画である。彼らの残した足跡を遭轡擁職一マ磁購ネツィスそしてドイツ各地で・ロケが行われた。女流監督カヴァー二は、『愛の嵐』では倒錯したセックスを描いて世界に衝撃を与えたが、『ルー・サロメ』では人間の本性と性の問題に焦点を当て、性描写を一層押し進めた。古代ローマの遺跡での男色者たちの性の饗宴、ライプツィヒの売春宿、ヴェネツィアでの神と悪魔の踊りなど、カヴァー二ならではの頽廃的な映像が異彩を放っている。映画の原題は、ニーチェの著作「善悪の彼岸」(1886年)から取られている。
日本では1985年に、『善悪の彼岸』のタイトルで116分の英語版が公開されたが、その時の修正は40箇所以上に及んだ。今回のイタリア語版・ノーカット版では修正箇所は4箇所のみで、数多くの問題の場面が復元された。
ストーリー
1882年春、ローマ。女権論者フォン・マイゼンブしク女史(カルメン・スカルピッタ)のサ「ロンで若い哲学者パウル・レー(ロバート・パウエル)は、魅力的なロシア人女性ルー・サロメ(ドミニク・サンダ)と知り合い、彼女に魅了される。古代ローマの遺跡を散歩しながら、パウルはいきなりルーに求婚する。しかしルーは、「結婚なんて牢獄と同じ」と言い、ふたりの男性と共同生活をしながら学問をする夢を語る。そこでパウルは、友人の哲学者ニーチェ、通称プリッツ(エルランド・ヨセフソン)を仲間に入れることを提案する。
プリッツはたちまちルーに心を奪われ、彼女をナウムブルグの実家に招く。しかし、プリッツを崇拝する妹エリーザベト(ヴィルナ・リージ)は、ルーに激しい嫉妬を抱き、ヒステリーの発作を起こす6ルーは、プリッツを残してライプツィヒに向けて発つ。エリーザベトは、母親(エリーザ・チェガー二)や婚約者フェスター(ウンベルト・オルシー二)を味方につ嫉プリッツからルーを引き離そうとする。しかしプリッツは家族と決別し、ルーとパウルが待つライプツィヒに向かう。
ライプツィヒで”三位一体”の共同生活が始まる。希望に燃える彼らは、記念写真を撮る。しかし共同生活は、ルーをめぐるプリッツとレーの嫉妬が原因で崩壊する。パウルは医学を勉強するためにベルリンに向かい、ベルリンでパウルとルーは友人として同棲する。一方、傷心のプリッツは、友人の音楽家ペーター・ガスト(フィリップ・ルロワ)がいるヴェネツィアへ行き、仮面をつけた裸の悪魔の幻影を見る。悪魔はドゥルカマーラ博士(アメデオ・アモディオ)と名乗る。その後、プリッツはベルリンへ行き、自殺を灰めかす手紙をルーに送る。ルーは、プリッツが滞在するホテルに向かうが、プリッツへの同情を断ち切る。ホテルでプリッツは阿片の副作用で震え、パウルが彼に付き添う。
ベルリンではルーの前に新たな恋人が現れる。大学教授のカール・アンドレアス(ミヒャエル・デゲン)である。カールはルーに求婚するが断られ、自分の体にナイフを刺して結婚を無理やり承諾させるのだった…
スタッフ
監督:リリアーナ・カヴァーニ
製作:ロバート・ゴードン・エドワーズ
原案:リリアーナ・カヴァーニ
脚色:リリアーナ・カヴァーニ、フランコ・アルカッリ、イタロ・モスカーティ
撮影:アルマンド・ナンヌッツィ
音楽:ダニエル・パリス
美術:ネッド・アジャーニ
編集:フランコ・アルカッリ
キャスト
ドミニク・サンダ
エルランド・ヨセフソン
ロバート・パウエル
ヴィルナ・リージ
フィリップ・ルロワ
LINK
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