一陽来復 Life Goes On
2017 年/DCP/5.1ch/16:9/81 分/制作・配給:平成プロジェクト
2018 年 3 ⽉ 3 ⽇(⼟)よりヒューマントラストシネマ有楽町他全国順次公開
©2017 Kokoro Film Partners
解説
今も、強く、優しい
あれから、6 年— めぐる 春
岩手・宮城・福島の
海と田んぼと、夫婦と親子の、心温まるドキュメンタリー
●忘れない、でも前に進む・・・鎮魂と生命讃歌の映画が誕生!
東⽇本⼤震災から 6 年⽬の岩⼿・宮城・福島 3 県で、前を向いて⽣きる⼈々の姿を追った⼼温まるドキュメンタリー。家族を失った夫婦、そろばん⼤好き少⼥、震災を⾵化させないための語り部、伝統を守り続ける農家、被爆した⽜の世話を続ける⽜飼い、新しい漁業を始めた漁師―。
多くは語らずとも、⼀⼈⼀⼈の6年間がいかに重かったか、推し量ることができる、笑顔。
東北の復興はまだ道半ば。でもここまでようやくたどり着いた。
また⼀歩、これからも歩いていく。
●岩手・宮城・福島の被災3県を縦横に映し出す初のドキュメンタリー
女性監督(初監督)による一貫した優しい眼差しで、東北の今を世界へ!
本作品は、特定の⼈物や地域の話としてではなく、岩⼿・宮城・福島で⽣きる市井の⼈々の姿を通じて、復興⽇本・復興東北を包括的に捉えた初のドキュメンタリー。
登場⼈物は多岐にわたり、断⽚的なストーリーに⾒えつつも、根底にはそこはかとない⽣命への賛歌が流れている。少ない⾔葉や場⾯の中からも、登場⼈物の震災後の6年間、あるいは⼈⽣そのものが透かし⾒えるような想像の余地を与える映像は、映画ならでは。
東⽇本⼤震災の衝撃と悲しみは世界中の⼈々に伝播したが、その中から⽣まれたたくさんの⼩さな希望や幸せも伝えたい。⽀援をしてくれた⽇本全国、そして世界中の⼈々に、美しい東北の⾵景と、強く優しい東北の⼈々の姿を届けたいー
ストーリー
宮城県・⽯巻市
遠藤伸⼀さんは⽊⼯職⼈。妻の綾⼦(リョウコ)さんとともに、震災当時同じ避難所で過ごした仲間のため、ゆるやかなボランティア組織を運営している。夫婦の 3 ⼈の⼦ども達は、津波の犠牲となった。「⽣きていて地獄があるのかと思った」という夫。「⼼のどこかで夫を責めていた」という妻…。仕事をする意味を失っていた伸⼀さんが、⽊⼯の仕事を再開したのは、津波の犠牲になったアメリカ⼈英語教師テイラー・アンダーソンの⽗アンディさん、⺟ジーンさんからの依頼による。伸⼀さん綾⼦さんの3⼈の⼦ども達も、テイラー先⽣に教わっていた。⼦どもが⽣きた証を作ることが、残された親の役⽬。基⾦(*1)を⽴ち上げて⾏動を起こすアンディさんに背中を押され、伸⼀さんは本棚を作った。それが「テイラー⽂庫」と名付けられ、アンディさんジーンさんの⼿により、⽯巻市内の⼩中学校に毎年寄贈されている。⼦を失った痛みを共有する伸⼀さん綾⼦さん夫婦と、アンディさんジーンさん夫婦は、以来、固い友情で結ばれている。
宮城県・南三陸町
リサトちゃんは 5 歳。3歳で始めたそろばんが⼤好き。リサトちゃんの⽗親は津波の犠牲になった。でもリサトちゃんは、写真の中の⽗親をパパと呼び、ママに怒られるときはいつでもパパが味⽅だ。「時間が解決するとは思わないけれど、いつか、⽗親のことを笑って話せるときがくるはず」とママは気丈に語る。
毎朝「語り部バス」を運⾏しているホテルでは、従業員も語り部。伊藤俊さんは、今では⽖痕が⾒えなくなった景⾊を前に、(あの震災を)「なかったことにしたくない」と⼒強く語る。犠牲になった⽅々の最後の瞬間の写真を⼿に、「この⼈達の、⽣きたかったという思いを、⽣きている私たちが忘れてはいけない」と、⽇々語り継いでいく。
個⼈商店主も頑張っている。酒屋を再興した⺟・佐藤紀⼦さんと娘・知⼦さんは、津波で流された店の借⾦を今も少しずつ払い続けている。「世の中は⽢くなかった」と笑う⺟と娘。今年も樽でボジョレーヌーボーを仕⼊れて販売する。⼤きな体の花屋さんも懸命に店を再興した。ホテルの中国⼈研修⽣への⽣け花教室では、⽇本の花道の精神を伝える。
アワビの開⼝でアワビ獲りをする後藤⼀磨さんは、⽔質検査するとこの海は 50 年若返ったと⾔う。⼈間の経済活動で汚れた湾を、⾃然が⼀掃してくれた。津波の知られざる⼀⾯を語る。
牡蠣漁師の後藤清広さんは、震災後全く新しい⽅法で牡蠣養殖を再開した。⾃然の恵の利息で⽣かされているのを忘れていた、20 年後も継続できる養殖を⽬指したと。清広さんがいる⼾倉地区の牡蠣養殖は、⽇本で初めて、養殖⽔産物の国際エコラベル ASC 認証(*2)を 2016 年に取得した。
福島県・川内村
福島第⼀原⼦⼒発電所から 30km 圏内に位置する秋元美誉(ヨシタカ)さん・ソノ⼦さん夫婦は、全村避難指⽰が出された中でも避難せずに、村で⽥んぼを作り続けた。「農業は農業で⽣きていく他ない」と、収穫した⽶・野菜を⾃ら放射能検査に出した。その結果は、放射線検出せず。その後2013 年に脳卒中で倒れたが、今は息⼦達に農作業を肩代わりしてもらいながら、四季折々の農業⾏事を⼤切に継承している。
商⼯会会⻑の井出茂さんは、村の新しい取り組みとして、ワイン⽤ぶどうの栽培地を紹介する。アメリカのハンフォードという町の例に習ったブドウ栽培。ぶどうには放射線が移⾏しないというレポートを元に、汚染された⼟でも安⼼して栽培できるという。元来過疎化が問題となっていた村の将来をかけた。茂さんは⾔う。⾃分たちは被害者、電⼒会社が原因者、という対⽴構図では何も解決しない。この時代に⽣きる者は皆共犯者、だから復興はパートナーとして取り組むのだと。
村では消防団の練習が⾏われた。避難指⽰が出された福島県双葉郡の中では、川内村消防団だけが唯⼀復活した。⾒守る婦⼈会も、炊き出しに精を出す。
岩⼿県・釜⽯市
⼤津波に襲われた釜⽯の鵜住居(うのすまい)町では、神社の秋祭りに⼤勢の⼈が集まる。神輿も道具も⾐装も流されたが、ここまで復興してきた。なぜ⼈は失くしてもなお、神社に集まるのか
…。総代の⼆本松富太郎さんは、神社は鵜住居の象徴であり、町⺠を⼀つにするのが神社だと⾔う。お祭りには神輿、神輿には⻁舞が⽋かせない。避難所として⼈を救った神社は、代々受け継がれて来た祭りの⽂化を通じて、町⺠の復興の拠り所でもあった。
鈴⽊堅⼀さんは、津波で、妻・息⼦夫婦・孫の4⼈を亡くした。今は仮設で⼀⼈暮らし、震災前はやったことがなかったという⼿料理でもてなす。⾃宅を再建して、仏壇を仏間に納めるまでは、元気に働くと、遠くを⾒つめる。
福島県・浪江町
福島第⼀原⼦⼒発電所から 15km に位置する「希望の牧場」で、約 300 頭の⽜の世話を続ける吉沢正⺒さん。避難指⽰が出されても⽌まり、ディーゼル発電機を起こして⽜の世話を続けた。この⼀帯で多くの⽜飼いが、⽜を置き去りにしたり、命令に従って殺処分にしたり、悲惨な現実があった。しかしそれが間違っていたと誰が⾔えようか。正しさはいく通りもある、と、被爆して経済価値をなくした⽜の⾯倒を⾒る吉沢さんの⾔葉は重い。
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*1 … テイラー・アンダーソン記念基⾦(Taylor Anderson Memorial Fund)
⽶・ヴァージニア州出⾝のテイラー・アンダーソンさんは、JET プログラム(語学指導等を⾏う外国⻘年招致事業)で 2008 年に来⽇し、宮城県⽯巻市の幼稚園と⼩中学校の⽣徒たちに英語を教えていた。震災当⽇、テイラーさんはその⽇の勤務先だった万⽯浦⼩学校で児童を避難させたのち、⾃転⾞で⾃宅に戻る途中津波の犠牲になったと⾔われている。享年 24 歳。
テイラーさんの⽗⺟・アンディさんとジーンさんは、震災後まもなく、全⽶から集まって来た震災への寄付⾦を基に、テイラーさんの⺟校であるセント・キャサリン⾼等学校の協⼒を得て基⾦を設⽴。そして被災地の皆に⻑く寄り添いたいという強い希望により、アメリカの NPO を引き継ぐ形で、2014 年 7 ⽉に、現在の⽇本法⼈ NPO「テイラー・アンダーソン記念基⾦」が誕⽣。アンディさんとジーンさんは以来毎年、⽯巻を訪問し、被災した⼈々の様々な活動をサポートしている。
テイラー・アンダーソン記念基⾦ ウェブサイト
http://tamf.jp/
*2 … ASC 認証(Aquaculture Stewardship Council:⽔産養殖管理協議会)
WWF(世界⾃然保護基⾦)と IDH (オランダの持続可能な貿易を推進する団体)の⽀援のもと、2010 年に設⽴された、独⽴した国際的な⾮営利団体 ⽔産養殖管理協議会(ASC)が認証するエコラベル。環境や地域社会に配慮した養殖業だけが取得できる国際的な認証。
2016 年 3 ⽉ 30 ⽇、宮城県漁業協同組合志津川⽀所の⼾倉事務所が⼿掛けるカキ養殖が、⽇本では初めて ASC(⽔産養殖管理協議会)の漁業認証を取得した。
⽔産養殖管理協議会(ASC)ウェブサイト
http://www.asc-aqua.org/ja/
スタッフ
監督:尹美亜(初) 撮影監督/共同監督:辻健司(初)
ナレーション:藤原紀⾹ ⼭寺宏⼀
プロデューサー:益⽥祐美⼦
アソシエイトプロデューサー:岡本英之 スーパーバイザー:鈴⽊靜雄
構成:⻄尾孔志 編集:岩切裕⼀ ⾳楽監督:引地康⽂ ⾳楽:井内⻯次 題字:⼩林芙蓉
制作・配給:平成プロジェクト
製作:⼼の復興映画製作委員会(幹事社 平成プロジェクト)
キャスト
<⽯巻市> 遠藤伸⼀ 遠藤綾⼦ Jean Anderson Andy Anderson
<川内村> 秋元美誉 秋元ソノ⼦ 井出茂
<南三陸町>奥⽥江利⾹ 奥⽥梨智 阿部憲⼦ 伊藤俊 佐藤紀⼦ 佐藤知⼦
佐藤典明 後藤⼀磨 後藤清広
<釜⽯市> 前川智克 ⼆本松富太郎 柏崎久雄 鈴⽊堅⼀
<浪江町> 吉沢正⺒
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