期間限定付劇的東京大恋愛 最近、ダメなオトコとつき合っていませんか。

2001年/日本/カラー/ヴィスタサイズ/97分/ 製作:「東京マリーゴールド」製作委員会/電通/テンカラット/オメガ・プ□ジェクト/シィー・スタイル 製作協力:電通テック 特別協賛:味の素株式会社/「ほんだし」発売30周年記念作品 配給協力:ギャガ・コミュニケーションズ 配給:オメガ・エンタテインメント

2001年11月25日DVD発売/2001年11月25日ビデオ発売&レンタル開始 2001年5月12日より渋谷シネパレス、他にて全国同時公開を予定

公開初日 2001/05/12

公開終了日 2001/06/15

配給会社名 0010

公開日メモ 98年から放送された、味の素の”ほんだし”のコマーシャルが元。田中麗奈、樹木希林が母娘を演じた暖かい掛け合いに注目が集まり、99年にテレビ電通広告賞、ACC広告優秀賞ほか数々の広告賞を受賞。このコマーシャル製作チームで演出の市川準氏が監督。

解説


《ダメなオトコに恋した瞬間から、エリコの恋愛的成長は始まった》
最近、あきらかにダメなオトコが増えている。この映画の主人公・エリコがつき合うことになるタムラもまさにそう。アメリカに留学中の彼女がいるのに、その彼女が帰ってくるまでの一年間限定でエリコとつき合おうとするのだ。ずるいといえばずるいけど、それでもいいと思ってしまうのが惚れた悲しさ。彼の心が見えずにさんざん振り回され傷つけられてしまった結果、エリコが何に気付き、そのせつない状態をどうクリアしたか、それがこの作品のテーマである。自分の気持ちに素直な女のコか、期間を限定することで自分で自分を縛ってしまった恋愛を通して精神的にステップアップするリアルな成長物語なのだ。

《古いものと新しいものが違和感なく混在する、東京ならではのリアリティ》
この期間限定という一見ドライでいかにも今どきな関係をよりリアルに感じさせるのが、現代の東京という舞台。恵比寿や代官山など流行の最先端から昔壊かしい雰囲気の下町まで、さまざまな表情を持っている。そんなバラエティに富んだ街のなかから市川監督は約30ヵ方所をロケ地として選び、エリコの心の揺れとともにスクリーンに定着させた。現代の東京だからこそできあがったふたりの奇妙な関係。その変化とともに移り変わっていくさまざまほ雰囲気のスポット。どちらもまさに”今の東京”を体現している重要なファクターである。

《「恋愛におびえ、微妙に揺れる女心を、ぜひ田中麗奈に演じさせてみたい」そんな市川準監督の一言で、この映画は本格的に動き出した》
製作の発端となったのは、1998年から放送された味の素”ほんだし”のコマーシャル。田中麗奈と樹木希林が息の合った母娘を演じ、その何とも言えない暖かい雰囲気と絶妙な掛け合いに注目が集まった。そのCMを演出したのが、『東京兄妹』で芸術選奨文部大臣賞を、『東京夜曲』では第21回モントリオール世界映画祭最優秀監督賞などを受賞し映画監督としても評価の高い市川準。新進映画女優と個性派ベテラン女優、名監督がそれぞれの持ち味を遺憾なく発揮するこのCMは、1999年には、テレビ電通広告賞、ACC広告賞優秀賞ほか数々の広告賞を受賞するなど大好評を得て、チームの誰もが、満足できた仕事だった。当然CM撮影終了後も解散しがたく、「次はこのチームで映画を作ろう!」と一同は盛り上がった。

《原作は都会の恋愛を描くことに定評のある林真理子の短編小説》
この企画が現実のものとなったのが、市川監督が「一年ののち」という短編小説に出会ったときだった。著者は、東京のリアルな恋愛模様を描く手腕に定評があり、雑誌の恋愛特集ではストレートで含蓄のあるコメントを披露して人気の林真理子。都会で生きる若い女性の刹那的な恋を描いたこの林真理子の小説は、街にこだわりを持つ市川監督にも、都会的な田中麗奈のイメージにもぴったりだった。樹木希林は傷つき悩む主人公をそっと見守る母親役で決定。市川監督の熱意にスタッフは呼応し、CMスポンサーである昧の素も全面的なバックアップを約束。こうして映画『東京マリーゴールド』はスタートした。

《相手役に小澤征悦、斉藤陽一郎そして天才少女詩人・螢》
里中麗奈演じるエリコが惹かれるタムラ役には、世界的音楽家・小澤征爾を父に、人気ミュージシャンの小沢健ニを従兄弟に持ち、大河ドラマ「徳川慶喜」やCM「麒麟淡麗〈生〉」等幅広く活躍している小澤征悦。アメリカに彼女がいながらも、「1年間限定の恋」をエリコと続けるタムラをその独特の雰囲気で演じている。そしてエリコの中学の先輩・宮下には、青山真治監督『ユリイカ』や下山天監督『弟切草』など、今年に入って映画出演が続いている斉藤陽一郎。また弱冠15歳の天才少女詩人・螢が出演しているのにも注目。

●フレンチマリーゴールド
タイトルは監督自身がつけたもので、1年だけで実を結んで枯れてしまう花と1年限りの恋物語をかけあわせている。
花言葉は「嫉妬」「大人びた配慮」。
フレンチマリーゴールド・・・キク科。原産国はメキシコ。花の色は黄色、オレンシ、赤褐色などかあり、別名クジャクソウという。パリの公園からヨーロッパ各地に流出されている。特有の臭いがある。

ストーリー




サーキット場でのデートを最後に、21歳のエリコ(田中麗奈)はつきあっていた彼と別れた。「さびしくなんてないわよ。ひとりでいるの、けっこう好きだから」彼の手前そんなふうに強がってはみたものの、恋人のいない毎日はやっぱりむなしい。真っ黒になりながら街中を走り回るバイク便からきれいなオフィスでの優雅な事務に仕事を180度変えてみても、オシャレな代官山や表参道であれこれ目移りしながらショッピングしてみても、退屈なのは変わらない。

そんなふうに空虚さと物足りなさをもてあましながら暮らしていたエリコに、久しぶりに恋の予感が訪れた。エリートサラリーマンとの合コンで出会ったタムラ(小沢征悦)だ。せっかくの合コンだというのに無口で、カラオケではいきなり真剣に演歌を歌ってしまうタムラ。その不器用でちょっとヘンなところがエリコはすごく気になった。数日後、エリコがゲートに誘うと、タムラは喜んで応じた。ところが恵比寿の写真美術館でのテートの最中、タムラはさりげなくショッキングな事実をエリコ告げる。「恋人はいるよ。今アメリカに留学中なんだ」。気の強いエリコはとっさに「恋人がいる人を誘ったりして悪かったわ」などと平静を装ったが、”それならなんで携帯の番号を教えてくれたわけ?デートに来るわけ?”と心の中では愕然とする。タムラの悪気のなさに余計にショックを受けて呆然としながら帰ると、家では母の律子(樹木希林)がアトリエで彫刻を作っていた。「作っているとね、途中で必ず見えなくなるときがあるのよね・・・」という律子の言葉に、エリコは何も見えない自分の心の中を思わずのぞきこんだ。

このこと以来タムラのことはあきらめかけていたのに、数日後またエリコに運命のいたずらがおこってしまった。下北沢の小劇場で、偶然タムラと再会したのだ。無邪気に笑いなから芝居を見るタムラを見るうちに、エリコは自分の本当の気持ちに気づく。「やっぱり彼が好き」そう思うと、タムラに彼女がいることなどは気にならなくなった。そしてまたふたりはデートするようになった。休日の静かな駒沢公園、懐かしい風情の深川不動、西麻布のおしゃれなバー…さまざまな表情を持つ東京中を歩きながらいろんな話をしてお互いのことを深く知るにつれ、タムラを想う気持ちをおさえきれなくなったエリコ。ある時、思いあまったエリコはとうとうタムラに告げてしまう。「彼女がアメリカから帰ってくるまでの1年間だけでいいから、わたしとつき会って」。それがどんなにつらいことになるかも考えずに・・・。

1年だけという期間限定、しかも彼女の影かちらちらと見えるような不安定は関係でも、ふたりで過ごす時間はエリコにとってはとても楽しく貴重なものだった。しかし残り時間は確実に少なくなっていく。タムラの存在はエリコのなかでどんどん大きくなってくるのに、タムラはニ人の女の間で揺れるそぶりもなく淡々と毎日を過ごしている。彼が自分のものにならなし、彼の心が見えないということが、こんなにつらいなんて。思い通りにならない恋に疲れたエリコは、庭を眺めながら、実を結んで1年で枯れるフレンチ・マリーゴールドに、自分のむなしく刹那的な1年間の恋を重ね合わ
せてせつなく思うのだった。

それでもあきらめきれはいエリコは、あくまで彼女と別れようとしない頑ななタムラと不毛な会話を繰り返し、疲れ果てボロボロになっていた。そんなとき、エリコのもとに中学の先輩・宮下(斉藤陽一郎)か1本のビデオテープが届く。何気なく見たそのビテオの中には、数ヵ月前にエリコが出演した野球用品のCMが入っていた。映っているのは、タムラと出会う前の、芸妓姿で力いっぱいボールを投げている元気な自分。それを見るうち、エリコの中で何かが変わった。エリコはようやく決心しようとしていた———————

スタッフ

監督・脚本:市川準
製作:塩原徹/小林栄太朗/横濱豊行/真塩・嗣
企画:遠谷信幸/立林茂之/牛山拓二
企画協力:大久保裕一/田中章弘
プロデューサー:`福山亮一/若尾一彦/石関克巳
協カプ□デューサー:川崎隆/増田悟司
音楽プロデューサー:丸山修
音楽:周防義和(サントラCDポニーキャニオン)
主題歌:『ラヴ・イズ・モア・ザン・ディス』唄:スーザン・オズボーン
劇中歌:『カゼドケイ』唄:螢(作詞:Hotaru/作曲・編曲:坂出雅海・lori)
原作:林真理子「一年ののち」(紀伊國屋書店刊『東京小説』収録)
撮影:小林達比古
照明:中須岳士
録音:橋本泰夫
美術:.間野重雄
スクリプター:黒河由美
編集:三條知生
スタイリスト:下田眞知子
助監督:高橋正弥
制作担当:毛利達也

キャスト

田中麗奈
小澤征悦
斉藤陽一郎
小林沙世子
長曽我部蓉子

石田ひかり
寺尾聰
樹木希林
三輪明日美
辻脩人
康すおん
井川修司
渡辺香奈
JACK WOODYARD
小野麻亜矢
菅原香織

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