原題:GUENEVERE

私を、大人の女にしてください。

99年サンダンス映画祭最優秀脚本賞/99年ドービル映画祭審査員特別賞

1999年9月12日全米公開

1999年/アメリカ/104分/ 配給:KUZUIエンタープライズ

2002年07月25日よりDVD発売開始 2001年6月20日ビデオ発売&レンタル開始 2001年1月より銀座シネパトスにて公開

公開初日 2001/02/03

配給会社名 0030

公開日メモ 私を、大人の女にしてください。

解説


男は自分の女たちを、「アーサー王伝説」に登場する気高く美しい、男を翻弄する子悪魔のような魅力を持つ王妃の名になぞらえて、”グイネヴィア”と呼んだ。

父親以上に歳の離れた、自由で奔放に生きる写真家、コニー。
保守的な家庭で育ち、窮屈さから解放してくれる何かを求めていた20歳の若く美しい女、ハーパー。彼は若い女を誘惑する最低の男だったのか?それとも、一流のアーティストに育てあげた最高の男だったのか?少なくとも、コニーがハーパーを大人の女にした男であることは確かだった…。

97年のカンヌ映画祭でグランプリに輝いたアトム・.エゴヤン監督の「スウィート・ヒアアフター」で、その繊細かつ深みのある演技に世界中の批評家たちから絶賛を寄せられたサラ・ポーリー。「写真家の女たち」は、エゴヤンの「エキゾチカ」やクローネンバーグの「イグジステンズ」で惜しみなく見せた、ナイーブながらも透明感ある妖艶なサラの素の魅力とともに、アブノーマルな男女の関係をミステリアスにロマンティックに、そしてセクシーに描いた作品である。

サラが演じる20歳の若くて美しいハーパーの人生は、一流大学の法科への進学という両親の敷いたレールに乗って進んでいた。大人の世界への岐路にあって、いまだアイデンティティを見つけられずにいるハーパー。
密かにレールからの抜け道を探していた彼女は、姉の結婚式で写真家コニーと出会い、自分の秘めた内面に容赦なく入り込んでくるコニーに、やがて自らを解き放ち心も体も許していくようになる…。コニーはハーパーを、”グイネヴィア”と呼んだ。
それには秘められた訳があった…。

アウトサイダーな年の離れた男女の、アブノーマルで運命的な恋。コニーと一緒に暮らし始めたハーパーは、周囲からの非難や思惑をよそに、アートから文学、政治にわたる彼の刺激的なレクチャーに自信を与えられ、隠されていた才能を開花させていく。そして、彼との恋愛関係によって、女としての本能に目覚め、精神的にそして肉体的に本物の大人の女へと成長していくのだった。男は女をもてあそんだのか?女は男を利用したのだろうか?しかし、一つだけ間違いなく言えるのは”グイネヴィア”と呼ばれ彼を通りすぎていった女たちの心の中には、「かけがえのない唯一の男」への永遠の愛が存在しつづけるということだった。
男によって育てられ、しだいに輝きを増していく女の姿を豊かな感性で描き出したのは、ブルース・ウィリス主演のヒット作「キッド」や「好きといえなくて」「ジャングル・ジョージ」の脚本を手がけてきた女性監督オードリー・ウェルズ。監督するのはこれが初めてだが、サンダンス映画祭の最優秀脚本賞、ドービル映画祭の審査員特別賞を受賞する華々しいデビューとなった。

監督やプロデューサーたちはハーパー役に「スウィート・ヒアアフター」でその魅力を知りつくしていたサラ・ポーリーを思い浮かべ、彼女と会った瞬間に即決。”どの台詞も自分に当てはめて考えることができた”と語るサラは、ハーパーの成長と変化、その心の揺らぎをデリケートに、そして妖しく表現している。

一方、コニーには「フライング・ゲーム」でアカデミー賞にノミネートされたほか「インタビュー・ウイズ・バンパイア」や「ことの終わり」で知られる実力派俳優スティーブン・レイが選ばれた。男の魅力とその下に隠された行き場のない悩みの間で危ういバランスを保つ複雑なキャラクターを、独特の色気を漂わせて演じている。また、ハーパーの母にはベテラン女優ジーン・スマート、とまどうハーパーに助言する”グイネヴィア”の一人ビリーには、「バウンド」で知的でセクシーな女を見事に演じ、日本でも多くのファンを獲得したジーナ・ガーションと、実力派が次々とキャスティングされた。

時には幻想的で時にはほろ苦い物語を引き立てる洗練された映像は、「プリティ・ウーマン」などで知られるチャールズ・ミンスキー。クローズアップを多用して俳優たちの内面を描くことに成功している。二人の日常がエロティックに描かれるアトリエなどのシーンが印象的だが、その美術を手がけたのはルイ・マルとも仕事をしたことのある、スティーブン・マッケイブ。オープニング音楽から読み取れるように、美しく幻想的でかつ哀しみを漂わせるメロディを生み出したのは、TV版「バッフィー・ザ・ヴァンパイア・スレイヤー」で1998年のエミー賞に輝いた、クリストフ・ベック。ウェルズ監督は主旋律を女性ボーカルに歌わせたいと考えていたが、これにサラ・ポーリーが自ら立候補。「スウィート・ヒアアフター」でも美しい声を披露していた彼女だが、今回も映画に艶やかな雰囲気をもたらして、ベックを感嘆させた。

ストーリー



画面に映し出されるモノトーンのポートレイト。ハーパー(サラ・ポーリー)はこれを見ながら、彼のことを思い出していた。”彼は最低の男だった。いや、最高の男だったのかもしれない。少なくとも私を大人の女にしたのは確かだ。彼は私のことをグイネヴィアと呼んだ……”。
5年前。ハーパーは法律家の両親に言われるまま、ハーバード大学の法科に進もうとしていた。自分が何を望んでいるのか、彼女自身にも分からなかった。
ただ、家族の誰もが一人前の人間として認めてはくれず、虚しい違和感だけが募っていた。ある日、ハーパーは姉の結婚パーティで中年の写真家、コニー(スティーブン・レイ)と出会う。
いつも家族から無視されている彼女にとって、自分にまっすぐ目を向けてくれる彼は新鮮な存在だった。数日後、結婚式の写真を受け取りに行った彼女は、ロフトに招き入れられ、その奔放なライフスタイルに興味を引かれる。
金はなくとも創造性に溢れた生活。両親に欠けているものの全てが彼には備わっているように思えた。ハーパーはコニーに魅了された。彼女は家族に大学に落ちたと嘘をついて家を出ると、コニーのロフトへ向かう。
コニーはハーパーを迎え入れる代わりに条件を出した。本を読み、勉強し、何かをクリエイトすること。ハーパーは自分の才能に疑問を感じつつも、「僕を信じろ」というコニーの言葉に従って写真の世界へとのめり込んでいく。コニーはよき指導者であるだけでなく、情熱的な恋人でもあった。知性の面でも肉体の面でも、ハーパーは新しいことを次々と学んでいった。コニーとの生活は刺激に満ち、彼女は生き生きと輝いていった。
しかしある日、彼女は自分がコニーにとっての唯一のグイネヴィアではなかったことを知る。
コニーの仲間の一人ビリー(ジーナ・ガーション)を訪ねたハーパーは、彼が何人もの若い女たちを誘惑してグイネヴィアとして”教育”してきた過去を知らされる。しかも彼にはアルコール依存癖があり、時として浴びるように酒を飲んでは意識不明に陥った。ショックを受け、別れることを決意して実家に帰るハーパー。しかし、彼女の21歳の誕生日を祝う家族の空気は、居心地の悪いものでしかなかった。
ハーパーは再びコニーのもとに戻った。彼は病院で治療を受け、二人の関係を修復するためにロスへの旅行を提案する。しかし、その旅は悲惨なものだった。金もなく、作品も売れず、酒に体を蝕まれていくコニー。
彼はそんな自分のありさまに、ハーパーが自分のもとを去る時が来たことを理解する。
4年後。今や写真家として成功したハーパーは、新しいグイネヴィアからの連絡を受けてコニーのもとに戻ってきた。そこには美しく成長した歴代のグイネヴィアたちも集まっていた。
彼女たちは皆、コニーの人生が作り上げた”作品”だった。死期の迫ったコニーを目の前にして、女たちは彼が自分の人生にどれだけ大きな影響を与えたか、そして、自分を大人の女に育ててくれた男への絶対的な愛を実感する。コニーは、自分が育て上げてきた美しきグイネヴィアたちに囲まれ、彼女たちの永遠の愛の中で眠りにつくのだった。

スタッフ

監督&脚本:オードリー・ウェルズ
プロデューサー:ジョナサン・キング&ブラッド・ウェストン
エグゼクティブ・プロデューサー:エヴィ・ラーナー、
      ダニー・ディンボート、トレヴァー・ショート、
      ホウ・フリン、ステファン・シムチョウィッツ、
      ジョン・トンプソン&ボア・デヴィッドソン
美術監督:スティーブン・マッケイブ
撮影監督:チャールズ・ミンスキー
衣装:ジュネヴィエーヴ・ティレル
音楽:クリストフ・ベック
編集:ドディ・ドーン

キャスト

ハーパー・スローン:サラ・ポーリー
コニー・フィッツパトリック:スティーブン・レイ
デボラ・スローン:ジーン・スマート
ビリー:ジーナ・ガーション
シンディ:サンドラ・オー
リンダ:ジャスミン・ガイ

LINK

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