原題:The Last Reel

第27回東京国際映画祭国際交流基金アジアセンター賞 2015年ASEAN国際映画祭助演男優賞/2015年ファーイースト映画祭 ブラックドラゴン賞/2014年カンボジア国際映画祭タレント・アワード 文部科学省選定(青年・成人向け)

2014年第27回東京国際映画祭「アジアの未来」部門・国際交流基金アジアセンター特別賞受賞 「遺されたフィルム」

2014年/カンボジア/カラー/105分 配給:パンドラ

2016年7月2日(土)岩波ホールにてロードショー

© HANUMAN CO. LTD.

公開初日 2016/07/02

配給会社名 0063

解説


1975年からカンボジアを呑み込んだ暗黒の3年8ヶ月20日。その間クメール・ルージュ(※)の圧政により、カンボジア国民の4分の1の人々が命を失い、知識人はもとより、一般大衆までをも巻き込む空前の悲劇が生みだされた。
『シアター・プノンペン』は、そんな悲劇の時代を潜り抜けた1本の恋愛映画を巡って繰り広げられる、壮大なヒューマン・ドラマである。

第27回東京国際映画祭国際交流基金アジアセンター特別賞に輝き、多くの話題を集めた『シアター・プノンペン』が、ついに日本公開を迎える。監督はカンボジア映画界初の女性監督ソト・クォーリーカー。アンジェリーナ・ジョリー主演『トゥームレイダー』(01)のラインプロデューサーを務めるなど、ハリウッドで活躍。2015年には、国際交流基金アジアセンターと東京国際映画祭による、映画製作共同プロジェクト<アジア三面鏡>の三人の監督の一人に選ばれている。本作では監督自らの体験を織り込み、カンボジアの歴史を新しい視点から描き、東京国際映画祭での受賞を皮切りに、2015年イタリア・ファーイースト映画祭でブラックドラゴン賞受賞など、世界各地の映画祭で絶賛された。

映画を愛する人々が命賭けで下した人生の選択…。哀しみと希望、絶望と憎しみ、そして愛…。緻密に練られたドラマチックなストーリー展開は、見る者を引き込まずにはおかず、まさに現代アジアの新しい熱気がスクリーンを通して伝わって来る。

主人公のソポンを演じるのはカンボジア期待の新鋭女優、マー・リネット。本作が映画初主演となる若手スターが、初々しい魅力で多感な年頃の女子大性とその母親の少女時代、という二役に挑み、2014年カンボジア国際映画祭でタレント賞を獲得。華麗なデビューを飾った。主人公の母親役を演じるのは、カンボジア映画界の大女優ディ・サヴェット。クメール・ルージュ時代を生き延びたカンボジア唯一の女優と言われ、名実ともにカンボジア映画界の大御所だ。また、映写技師役を熱演するソク・ソトゥンは、本作により2015年ASEAN国際映画祭助演男優賞を受賞。胸を打つ人間ドラマに、より一層の深みを与えている。

※クメール・ルージュ:Khmer Rouge(フランス語)
 カンボジア共産党のこと。指導者だったポル・ポト(本名はサロット・サル)の名前をとり、ポル・ポト派とも呼ばれている。

ストーリー


プノンペンに住むソポンは父親との諍いの挙げ句に家を飛び出し、不良たちと付き合いながら、廃屋となった映画館を根城にしていた。ある日、ソポンは映写室に放置されていたボロボロのフィルムを上映する。それは1970年代、クメール・ルージュがカンボジアを支配する直前に作られたメロドラマで、そのヒロインこそ、いま病の床にある母の若き日の姿であった。カンボジアの映画史に関心を持ったソポンは、ベテラン映写技師の助けを借りて、母の主演作の失われた最終巻をリメイクしようと行動し始める…。カンボジア映画は近年、リティ・パニュの『消えた画 クメール・ルージュの真実』(13)などのドキュメンタリーが注目されているが、本作は1973年に生まれた女性監督による劇映画である点、カンボジア映画の新しい息吹を感じさせる。母親役のディ・サヴェットは実際の往年の大女優で、TIFF12で復活上映されて大きな話題となった主演作『怪奇ヘビ男』(70)は記憶に新しいところ。

スタッフ

監督:ソト・クォーリーカー
製作:ソト・クォーリーカー
イアン・マスターズ
脚本:イアン・マスターズ
撮影:ボニー・エリオット
音楽:クリストファー・エルベス

キャスト

マー・リネット
ソク・ソトゥン
トゥン・ソーピー
ディ・サーベット
ルオ・モニー

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