みんなの学校
2014年/日本/カラー/106分 配給:東風
2015年2月21日公開
(C)関西テレビ放送
公開初日 2015/02/21
配給会社名 1094
解説
すべての子供に
居場所がある学校を作りたい。
大空小学校がめざすのは、「不登校ゼロ」。ここでは、特別支援教育の対象となる発達障害がある子も、自分の気持ちをうまくコントロールできない子も、みんな同じ教室で学びます。ふつうの公立小学校ですが、開校から6年間、児童と教職員だけでなく、保護者や地域の人もいっしょになって、誰もが通い続けることができる学校を作りあげてきました。
すぐに教室を飛び出してしまう子も、つい友達に暴力を振るってしまう子も、みんなで見守ります。あるとき、「あの子が行くなら大空には行きたくない」と噂される子が入学しました。「じゃあ、そんな子はどこへ行くの?
そんな子が安心して来られるのが地域の学校のはず」と木村泰子校長。やがて彼は、この学び舎で居場所をみつけ、春には卒業式を迎えます。いまでは、他の学校へ通えなくなった子が次々と大空小学校に転校してくるようになりました。
学校が変われば、地域が変わる。
そして、社会が変わっていく。
このとりくみは、支援が必要な児童のためだけのものではありません。経験の浅い先生をベテランの先生たちが見守る。子供たちのどんな状態も、それぞれの個性だと捉える。そのことが、周りの子供たちはもちろん、地域にとっても「自分とは違う隣人」が抱える問題を一人ひとり思いやる力を培っています。
映画は、日々生まれかわるように育っていく子供たちの奇跡の瞬間、ともに歩む教職員や保護者たちの苦悩、戸惑い、よろこび……。そのすべてを絶妙な近さから、ありのままに映していきます。そもそも学びとは何でしょう?そして、あるべき公教育の姿とは?大空小学校には、そのヒントが溢れています。みなさんも、映画館で「学校参観」してみませんか。
ストーリー
大阪市住吉区にある大空小学校。
2012年春、開校7年目の新学期が始まりました。講堂で児童を前に木村泰子校長が問いかけます。
「大空小学校は、誰が作りますか?ひとりひとりって誰ですか?自分って誰ですか?自分だという人、手を挙げてください!」
講堂にいるみんなが一斉に手を挙げました。大空小学校は、その街に住む子供なら誰でも通える公立の小学校。みんなでつくるみんなの学校です。
座親洋平先生はまだ2年目で、今年度初めて担任を持ちました。クラスは4年星組です。校長に背中を押されてやっと行動できることや、厳しく叱られたりすることもしばしば。他のクラスの先生たちに相談をしながら、涙ぐんでしまうこともあります。
「すべての子どもを多方面から見つめ、全教職員で育てる」がモットーの職員室では、校長をはじめベテランの先生が、経験の浅い先生を支え育てることも大切にしています。
大空小学校は、隣の小学校の児童数が増えすぎて新しく作られた、全校児童およそ220人の小さな学校です。そのなかで、特別支援が必要な子供は30人を超えます。それでも特別支援の教室は作らず、みんな同じ教室で学んでいます。
大空小学校に来たばかりの日野善文先生は、支援の必要な児童が特に多い6年生の担任になりました。初めてのことに戸惑い不安もあるなかで、教室の子供たちが自然に支え合っている様子をみて、彼らが6年間で築きあげてきたものを実感する、と話します。支え合うのは子供だけではありません。教職員は学年やクラスといった垣根を越えて子供たちを見守り、ボランティアや保護者たちもみんなで支えて合っています。
大阪市内の別の小学校から、4年空組にセイシロウが転校してきました。通称セイちゃんの最初の課題は、一日ちゃんと学校に居続けること。前の学校で特別支援のクラスに通っていたセイちゃんは、学校に居ることが不安で、一日1、2時間しか登校できなかったのです。大空小学校に来てからも何度も学校を飛び出すセイちゃんに、校長は強い口調で言いました。
「セイは空組の友達のことを信用せなアカンと思う。セイが人を信用してへんから、セイが居りにくいと思うんや。でも大空小学校は、みんなが自分で作っている学校です。セイが安心して居れないわけがない」
6年生のカズキは、もう5日間、登校していません。ようやく姿を現した彼は、ずいぶん痩せていました。両親が早朝から働いていて生活が不規則なカズキは、毎朝なかなか学校に来ることができず、先生たちが迎えに行くことで学校に通うことができていました。
「あの子が大空に行くんやったら、大空はやめとこう」
大空小学校開校2年目に新入生として入学してくるとき、カズキはこんな噂が立つ存在だったといいます。
2006年4月1日、大空小学校が開校した日に転校してきたひとりの子を、校長は忘れることができません。転入してくることを前もって知らされることなく、始業式で初めて出会ったその子が、講堂に入ってくるなり大騒ぎしながら走り回る姿を見て、つい「この子さえいなければ…」と考えてしまったと言う校長。新学期が始まると、毎日逃げ出そうとするその子を追いかけたり、逃げ出されてしまっては夜中まで警察からの連絡を待ったりという日々が続いていました。梅雨に入り、雨で廊下がぬれて滑りやすくなっていた6 月のある日、自分を追いかけて転んでしまった支援担当の女性の元に駆け戻ってきて、ぶつけたところをさすってあげているその子の姿を、校長とその場にいたクラスの子供たちは目の当たりにしました。それからは、何か具体的に支援の仕方を変えたわけでもないのに、その子は学校から逃げ出そうとしなくなったのです。それは、その子が変わったのではなく、その子を見るまわりの子供たちが変わったからだと校長は振り返ります。
スタッフ
監督:真鍋俊永
企画:迫川緑
プロデューサー:中尾雅彦、加藤康治、兼井孝之
撮影:大窪秋弘
撮影助手:堀貴人
編集:北山晃
編集協力:秦岳志
整音:中嶋秦成
音響効果:萩原隆之
題字:谷篤史
ナレーション:豊田康雄
キャスト
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