原題:The Arrival of Wang

2011年/イタリア/イタリア語・北京語/83分 配給:AMGエンタテインメント

2012年10月20日からシアターN渋谷にてロードショー

(c)2011 Manetti bros. Film

公開初日 2012/10/20

配給会社名 0644

解説

拷問反対。

「この映画は事件だ—。」
無名作品がヴェネツィア映画祭で最も話題に!
世界に名だたる一流紙で論戦を勃発させた問題作。

つぶらな瞳、クルクルとかわる表情はまるで仔犬、しかし、全体的にはイカ!その顔がスクリーンに映るたび、観客から脱力した笑いが巻き起こる。そんなアンバランスだけど愛嬌たっぷりな宇宙人がイタリア、ローマで秘密警察に確保された。宇宙人は「私の名前は、王( ワン) です。世界で一番多く使われてる中国語を勉強してきました。たくさんのお友達を作りたいです。」と語る。しかし、秘密警察は中国語で優等生発言を連発する王さんに陰謀を感じ、拷問を始める…。果たして王さんの真意とは!?この物語を描いたのは、イタリアで若者を中心に絶大なる人気を誇るマネッティ兄弟。監督は「人は隣人をどれだけ信頼すべきか、偏見とは何か、といった道徳的・倫理的問題を探求したかった。」 と語る。このインパクトある珍妙なキャラクターを使い非常にデリケートだがラジカルな美醜・人種など幅広い偏見の問題を描き切り、ベネチア国際映画祭他、各国の映画賞を受賞。衝撃的な内容は世界のメディアを駆け巡り、西欧vs 中国の有力紙で大論戦を巻き起おこした。

2011年、第68回ヴェネツィア国際映画祭
日本では「ヒミズ」のマルチェロ・マストロヤンニ賞受賞が大きく報じられていたその裏、現地では衝撃的な映画のプレミア上映が話題を攫っていた。その作品は3大映画祭で報じられるような有名監督作でもなく、世界的なスターが出演している訳でもなく、かつバジェット的にも厳しいものであったが、初回上映が終わるや否や「衝撃の必見作!」「今年一番の危険物!」「事件発生!」「観たら分かる!」と批評家たちがこぞって紹介し、国際的に報道されることとなる。

この映画に対し最初に反応したのは、米ウォール・ストリート・ジャーナル。記事の中で「この映画は中国の経済力と世界における影響力が強まり、西側に困惑と誤解をもたらしたことを示している。」 と評論。

これに、北京の夕刊 『法制晩報』 が反応する、「ストーリーには象徴的な意味がある。 通訳は王さんの到来を平和目的だと理解するが、中国語や宇宙語がわからない政府の役人たちは、王さんを侵略者だと決めつけた。 (中略) そして安全を理由に王さんを暗室に閉じ込める。 秘密警察はこの宇宙人をもともと理解したくなかったのだ」 とし、映画に中国人の外国進出を重ね合わせた 『ウォール・ストリート・ジャーナル』 への反論ともとれる主張を載せる。

これに多様な媒体が追随「台頭する中国への西側社会の不信。」「中国人差別を助長する。」「できるものなら中国で公開してみたらいい。」などと追随、論戦は国際問題にまで発展する。

一方、イタリアで公開されると映画ブロガーたちは『普通に王さんがキモ可愛い。』『ネタバレだけどラスト鬼!』『今年一番おもしろい!』『王さんの拷問シーンに泣いた。』などと別方向で盛り上がり、大ヒットを記録。未だかつて無いイタリア映画史上に残る話題作となった。

ストーリー

僕、王さんデス。中国語、ハナシマス。
ミナサント、仲良クナリタクテ、来マシタ。

中国語通訳のガイア宅に一本の電話がかかってきた。今から緊急で通訳をして欲しいというのだ。2 時間で2,300 ユーロという高給につられガイアは承諾するが、迎えの男、イタリア秘密警察のキュルティは彼女に目隠しを強要、辿りついた場所は厳重に閉鎖された真っ暗な地下室だった。闇の中で王と名乗る者の通訳をしろというのだ。キュルティは「目的は!?何かを企んでいるのは判っているんだ!!なぜ中国語なんだ!」と王を激しく攻め立てる。王の「地球で一番使われてる言語だし、たくさんの人とコミュニケーションがとれた方がいいと思って…。」という不思議な発言を、不信に思ったガイアは、表情が見えないと正しく通訳できないとキュルティに掛け合い、遂に電気がつくことに。と、机の向こう側にいたのは脚を縛られたイカにそっくりな宇宙人だった!拷問を持さない構えのキュルティと、執拗な取調べにも寂しげな顔をしつつ真摯に対応する王さんの間に入ったガイア。王さんに同情する気持ちが沸いてきた彼女は、王さんを上手く連れ出し、脱出する計画を練るが…。

スタッフ

監督・脚本;アントニオ・マネッティ、マルコ・マネッティ

キャスト

エンニオ・ファンタスティキーニ
フランチェスカ・クティカ
ジュリエット・エセイ・ジョセフ
リー・ヨン
アントネット・モロー
ロドルフォ・バルディーニ
ジャーデー・ジラルディ
フリオ・フェラーリ
アンジェロ・ニコタラ
カルメン・ジャルディーナ
マルコ・アイニテーロ
マッシモ・トリジアーニ
クラウディオ・ルーロ

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