観察映画第4弾

2013年/日本/170分
配給:東風

2012年10月20日、シアター・イメージフォーラムにてロードショー、他全国順次公開

©2012 Laboratory X, Inc.

公開初日 2012/10/20

配給会社名 1094

解説


 日本を代表する劇作家で演出家の平田オリザと、彼が主宰する劇団・青年団。芸術家集団としての彼らが、高度に資本主義的な現代社会で生き残るために、どのような戦略を描き、どんな活動をしているのか。『演劇1』(観察映画第3弾)が「平田オリザの世界」に焦点を当てたとすれば、『演劇2』(観察映画第4弾)は、「平田オリザと世界」を描いた長編ドキュメンタリー映画である。
 東京・駒場にある「こまばアゴラ劇場」を拠点とする青年団は、約60人の俳優と約20人のスタッフが所属する、かなりの大所帯である。にもかかわらず、青年団は観客の鑑賞体験を最大化するため、原則として200席以上の劇場では公演を打たない。観客動員が期待できるスターシステムも採用しない。しかも、現実世界を原寸大で再現した、精密モデルのような演劇を実現するためには、1演目につき2か月以上の長い稽古期間が必要になる。チケット収入だけで劇団を運営することは、事実上不可能である。実際、青年団の経済は、政府や財団からの助成金抜きには成立し得ない。
 しかし、長引く不況と政府の財政難のあおりを受け、国や地方の芸術関連予算は年々削られる傾向にある。日本が誇る青年団も、いつ助成金を失い解散を余儀なくされないとも限らないのである。
 この逆境に対して平田が採った戦略は、即効性よりも将来性を見据えた遠大なものだ。つまり、アゴラ劇場を開放すると同時に、青年団で蓄積された知識やノウハウを社会と広く共有することによって、演劇が社会にとって必要不可欠であることを人々に納得してもらおうというのである。
 その主戦場は、教育だ。日本の小・中・高校では、音楽や美術とは異なり、演劇が教えられることは極めて稀だ。平田はその状況に異議を唱え、子供の発達段階に合わせた演劇教育プログラムを開発すると同時に、自ら全国津々浦々の学校へモデル授業をしに出掛ける。そして、現場の教師や行政職員に対して、子供のコミュニケーション能力を育てる上で演劇がいかに役立つかを説く。
 また、文化行政を担う官僚や、政治家に対する働きかけにも積極的だ。平田は講演会、『芸術立国論』などの著書、政治家との懇談会、地方の演劇祭、更にはメンタルヘルス大会など、あらゆる場面で、演劇を利用した地域の活性化や国づくり、国際交流の可能性を唱えるのだ。
 他方、平田と青年団は助成金に頼らずに劇団を経営していく方向性も模索している。海外進出はそのひとつであり、平田は現在では毎年数本、フランスなどの劇場で自作を発表している。また、演劇史上初めてロボットを俳優として使用し、世界的な注目を集める「ロボット演劇」にも、安定した集客を見込めるヒット作としての期待がかかる。平田オリザは、演劇の枠組みを確実に広げつつある。
 果たして、青年団の芸術は、いや演劇というコストも時間もかかる超アナログな芸術は、21世紀を生き残れるのか?『演劇2』は、演劇と社会、究極的には芸術と社会の関係を問い直す。それはとりもなおさず、演劇を通して現代社会を見つめ直すことでもあるのである。

ストーリー



スタッフ

監督・製作・撮影・編集:想田和弘
製作補佐:柏木規与子
助手:荒木貴生

製作:ラボラトリーX
助成:独立行政法人国際交流基金
ドキュメンタリー助成プログラム

キャスト

平田オリザ
青年団・こまばアゴラ劇場の皆さん

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